「『子供を連れてこないで』と近所のスーパーを出禁になった母。少し離れた店に自閉症の兄を連れて行くと...」

2024年2月4日(日)20時0分 Jタウンネット

シリーズ読者投稿〜あの時、あなたに出会えなければ〜 投稿者:Sさん

Sさんには障害のある兄がいる。子供の頃、家族で人出の多い場所に出かけるとアクシデントが起こることが度々あり、両親は周囲に迷惑をかけないよう、とても気をつかっていたそうだ。

それでも近所のスーパーからは出入り禁止を告げられ、少し離れた店に行かざるを得なくなって......。

<Sさんの体験談>

私には自閉スペクトラム症の兄がおります。

兄はこだわりが強く、いわゆる多動もあり、子供の頃は、買い物などの外出をした場合、両親がお店の人や買い物に来ている周囲の人に謝らずに帰宅する事は無いような状態でした。

「弁償しなくていいからもう来ないで」

当時、世の中には障害者・障害児への理解や社会的な配慮がほぼ浸透しておらず、兄の持つ障害は「親の子供に対する躾」の問題として見られる事が多い時代でした。

両親は兄が他人に迷惑をかけぬよう、気を配る事が常の状態でしたので、家族でのレジャーは山登りやアウトドアが多く、なるべく人の集まらない所を選んで私たち兄妹を楽しませる工夫をしてくれていました。

兄が6歳の頃、「換気扇・扇風機のプロペラをつかむ」「水道の蛇口を全開にして一日中流す」「噴水や川などの水を見ると全力でダッシュする」という行動がありました。

加えて、「山づみにされたお店の商品を崩してまわる」というものがありました。これは両親が最も困っていた行動の一つです。

スーパーに入り、山づみにされた商品が目に入った瞬間に全力ダッシュでまっしぐら。3歳の私をおんぶした母が両手で兄を必死につかんでいても、目当てのものが目に入ってしまうとあっという間に走って行ってしまい、どうにもならない事が多かったようです。

兄の走り出す速さに母は追いつかず、近所のスーパーや八百屋さんでは商品を倒して回る状態に。お店にご迷惑をおかけすることが続き、「子供を連れてこないで」「弁償しなくていいからもう来ないで」と出禁になったそうです。

「同じ事があった場合はお代をいただきます」

近所の店に入れなくなった私たちは、自宅から少し離れたローカルスーパーチェーン・Rへ買い物に行くことになりました。

そしてその日、兄が見つけたのは、山積みにされた瓶詰のインスタントコーヒー。やはり全力ダッシュで倒してしまい、瓶は割れ、通路はガラスの破片とコーヒーだらけに。

母はお店の責任者の方に「弁償する」と申し出たのですが......。

「子どものやった事だから大丈夫です。ただ、また同じ事があった場合はお代をいただきます」

責任者の方はそうおっしゃり、何事もなかったかのように散乱している商品を片付け始めたそうです。

母は今でもその時のお店の方の対応に感謝をしています。私も今、2児の母となり、母の気持ちが分かります。

お店の方、両親を安心させてくださり、心からありがとうございます。私の両親も私も、今でもRのファンです。

誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!

Jタウンネットでは読者の皆さんの「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。

読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度〜)、体験の時期・場所、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。

(※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談を編集して掲載しています。あらかじめご了承ください)

Jタウンネット

「子供」をもっと詳しく

「子供」のニュース

「子供」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ