人気プロダクトデザイナー・秋田道夫さん流、センスが紡ぐ「コミュニケーション」。心地いい人づきあいを長く続けるために大切なことは…
2025年3月14日(金)12時30分 婦人公論.jp
(写真提供:Photo AC)
「センス」と聞くと、肩に力が入って窮屈という印象を受ける方もいるのではないでしょうか。「センスは『磨く』対象となるような堅苦しいものではなく、だれもが自分のものとしてたのしめるもの」と話すのは、SNSのフォロワーが10万人を超える人気プロダクトデザイナー・秋田道夫さんです。そこで今回は、秋田さんの著書『無理をせず、無駄を楽しむ センスのはなし』から、秋田さんが日常の中で大切にする「生き方のセンス」の一部をご紹介します。
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アイデアは相手への「観察」から生まれる
センスやアイデアが「枯れる」という感覚を、わたしは持ちあわせません。
実際のところ、いろんな仕事をいただくなかで「アイデアが湧かないなぁ」と困った経験は一度もないのです。
強調したいのは、これは才能ではなく技法であるという点です。
アイデアは自分の奥底にある泉から湧きだすものだというイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。
わたしの場合、アイデアは自分ではなく“相手”の中にあると考えます。
「アイデア」が姿を現すメカニズム
学生時代の試験対策で「答えは問題文の中にある」と教わった記憶が、どなたにもあるはずです。
つまり、「何をしてほしいか」という答えは相手の要望の中に必ずあるんです。
耳を澄まして、相手の顔をじっと観察しながら、「何をしてほしいか」を見つけたら、素直にそれに応えてあげたらいい。
それを受け取り感じ取った人が、形にしたときにはじめて、「アイデア」が姿を現す。そんなメカニズムだと理解しています。
会話は「腹八分目」で次の約束につなげる
心地いい人づきあいを長く続けるために大事なのは「過剰になりすぎない」ということです。
相手に期待をしすぎない。依存しすぎない。
(写真提供:Photo AC)
さらっと風通しのいい関係が理想です。
会話が盛り上がったとしても、全部は出しすぎない。
自分が知っていることを全部出し切ってしまったら、次に会うときに「ネタ切れ」になってしまいますから。
ちょっとした工夫でつくれる幸せ
「まだ話し足りないな」「もっと聞きたいな」と感じる程度の腹八分目の会話に抑えるのがポイントです。
「では、この続きはまた今度」と、次の会話の約束ができる関係になれるのは幸せなこと。
そしてその幸せは、ちょっとした工夫でつくれるのです。
※本稿は、『無理をせず、無駄を楽しむ センスのはなし』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
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