脚を逆向きにつけた少女が再び走れるように! 骨肉腫を克服した驚異の“がんサバイバー”

2023年3月18日(土)11時0分 tocana

 骨肉腫で脚を切断した少女だったが、なんと逆向きに再び接続した脚と義足で走れるようになり、スポーツに打ち込めるようになったという——。


足首を膝として機能させる回転形成術

 英スタッフォードシャー・タムワース在住のアメリア・エルドレッド(当時7歳)は2017年8月に骨肉腫であると診断された。


 治療のためには手術で脚を切断することを余儀なくされたのだが、陸上競技とダンスに打ち込んでいたアメリアにとって、脚力を奪われることは何よりも不幸であった。


 そこで王立国立整形外科病院の外科医は、アメリアに回転形成術(rotationplasty)という特殊な手術を行ったのである。病院によると7歳の少女の左足を膝の上で切断した後、膝下の下腿を180度回転させて再び接続したのだ。これによりそれまで足首だった関節を新たな膝関節として適用させることができたのである。


 米オハイオ州立大学の腫瘍内科医(オンコロジスト)、ジョエル・マイヤーソン氏によれば、膝の上から脚を失った患者が義足で歩く場合、それまでよりも70%多くのエネルギーを必要とすることになるが、脚が膝の下で切断された場合、エネルギーコストはわずか20パーセントしか増加しないと説明している。


 この回転形成術で脚を切断して腫瘍を取り除き、その後に下肢を180度回転させて再接続することで、失った膝の代わりを足首が担うことが可能になったのである。


 足首が膝関節として機能することで、患者はより機能的な膝下用の義足を装着できるのだ。たとえばパラリンピックの陸上競技選手のようなブレードタイプの義足を使うことが可能となる。


 この驚くべき手術により、アメリアは病気を克服し、義足を着用して再びスポーツに打ち込むことができるようになったのである。



ダンスと陸上競技に打ち込む日々を取り戻す

 骨肉腫と闘ったアメリアは、ブレードタイプの義足のおかげで演技、ダンス、ランニングの夢を取り戻すことができた。


 昨年の1月、彼女は初めてブレードタイプの義足を着けて走りはじめ、当初はぎこちなかったもののコツをつかみながら技術を習得し、その走りはどんどん滑らかになっているそうだ。


「彼女はダンスとランニングが大好きで、今では両方できるようになりました。彼女のかつての足首は膝関節として機能し、ブレードはそれにフィットします」と母親のミシェルさんは語る。


「骨肉腫になる前はいつも陸上競技大会に出場していましたが、この新しいブレードで彼女の人生が取り戻せました」(ミシェルさん)


 ダナ・ファーバー癌研究所によると、回旋形成術は12歳未満の子供に行われることが最も多いという。12歳未満であると一般的に足首を膝関節として使用するように脳を再訓練するのが容易であるということだ。


 オーソドックスな四肢温存手術を思春期までの子どもに施す場合、成長で伸びた手足と揃えるために複数回の手術が必要になるのだが、一方でこの回転形成術では成長期の子供に施してもほとんどの場合、1度の手術で終わらせることができるのも利点の1つである。また回転形成術を受けた患者は、下肢の神経が保存されているため、従来の切断手術後に発生する「幻肢痛」も回避できるということだ。


 今後アメリアは各種の競技会に参加することを予定しており、かつてのようにスポーツに打ち込む日々が再び幕を開ける。骨肉腫を克服した“がんサバイバー”としても今後の活躍を期待したい。



参考:「The Sun」、「Live Science」ほか

tocana

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