アイロボットがロボット掃除機「ルンバ」の新型を一挙6モデル - 本社CEOが来日して事業状況と戦略を説明

2025年4月17日(木)7時0分 マイナビニュース


一部で「事業継続困難」という報道がなされたアイロボットが新製品を発表した。代名詞のロボット掃除機「ルンバ」のラインナップを一新し、一気に6モデルを投入。これまで以上にターゲットやライフスタイルを明確化しつつ、それぞれのニーズに応える。
発売は4月18日からで、一部製品はオンラインストア販売のみ。メディア向けに行われた発表会には、アイロボット本社のCEO、ゲイリー・コーエン氏が来日してスピーチした。
新製品は3カテゴリーに分かれ、いずれも「ClearView LiDAR」(光を用いた物体検出と距離計測)を搭載。家中の間取りをすばやくマッピングし、エントリーモデルも間取りを把握するようになった。従来のエントリーモデルでは未対応だった、アプリ上で進入禁止エリアを指定するなど細かい掃除の設定を実現した。
○日本市場向けのシンプルなロボット掃除機。本体にゴミを圧縮して溜めるモデルなど
エントリークラスの「Roomba 105 Combo ロボット(3万9,400円)」「Roomba 105 Combo ロボット+AutoEmpty 充電ステーション(5万9,200円)」「Roomba 205 DustCompactor Combo ロボット(5万9,200円)」は、シンプルな普及価格帯モデル。3機種ともカラーはホワイトとブラックを用意する。
本体の底面は、ゴム製のシングルブラシ、水拭き用の薄型マイクロファイバーモップパッド、エッジブラシというシンプルなつくり。これまで上位モデルのみの機能だった「スマートスクラブ」にも対応し、汚れている床の上を前後に動いてゴシゴシていねいに水拭きする。
注目したいのは「Roomba 205 DustCompactor Combo ロボット」だ。集めたゴミを圧縮し、ロボット掃除機の本体内に溜める。想定容量は最大60日間分だ。
自動ゴミ収集機能付きの充電ステーションは大きくなりがちで、部屋の中でも場所をとるが、「Roomba 205 DustCompactor Combo ロボット」の場合はロボット掃除機が置けるスペースだけあればいいので、一人暮らしの部屋でも導入しやすい(小型の充電ドックは必要)。
○水拭き能力を向上させたミドルクラス「Roomba Plus」
ミドルクラスの「Roomba Plus」は2機種を用意。円形モップが特徴で、子どもやペットがいる忙しいファミリーや、しっかり水拭きがしたい人向けだ。水拭き機能は「Roomba Plus」がもっとも充実している。
ラインナップは、「Roomba Plus 405 Combo ロボット+AutoWash 充電ステーション(9万8,800円)」「Roomba Plus 505 Combo ロボット+AutoWash 充電ステーション(12万8,400円)」。
○新モデルのなかで最大の吸引力を持つ「Roomba Max 705」
ペットオーナーや部屋数の多い家に住む人を想定したモデルが「Roomba Max 705」だ。今回の新製品は基本的に、従来のベストセラーモデル「ルンバ 600シリーズ」と比較したとき「最大70倍」の吸引力なのに対し、「Roomba Max 705」は実に「最大180倍」というパワーを持つ。
機能面では、2本のゴム製デュアルアクションブラシでカーペットに入り込んだゴミをかき出すほか、カーペットを認識して吸引力を自動でパワーアップする「カーペットブースト機能」を搭載している。「Roomba Max 705」の価格は9万8,800円と、10万円を切ったことが大きなポイントといえるだろう。水拭き機能は搭載しない。
新しいルンバのラインナップをまとめると、モップの水拭きを充実させたモデル、パワフルな吸引力が魅力のモデル、小型化した充電ステーションを備えたモデルなど、1台ずつ個性のある内容だ。ロボット掃除機のトレンド機能や人気の機能をおさえ、選択肢の幅を持たせることで、ユーザーの多様なニーズに応える。
「ロボット掃除機が欲しい」と思ったとき、新ルンバのどれかはきっと自分のライフスタイルにマッチするだろう。気になったモデルをサブスクリプションで試せる点も、所有へのハードルを下げる(一部モデルを除く)。ロボット掃除機そのものの機能だけでなく、“選べること”が新ルンバの魅力といえそうだ。
○新CEOに就任したゲイリー・コーエン氏が来日
米国のアイロボット本社では、2024年4月に新しいCEOとしてゲイリー・コーエン氏が就任した。今回のスピーチでは、「日本は北米に次ぐ2番目に大きな市場で、アイロボットにとって価値が高い市場。今回の新製品には日本のユーザーを想定したものが含まれている」と改めて語った。
コーエン氏はCEO就任後、会社の変革に着手。ビジネスモデル、ロボットの開発、製造方法を一新した。さらに、新製品を迅速かつ効率的に投入できるよう、アジアのパートナーも開拓している。その変革によって今回、6モデル同時発表という、これまでにないスピード感を実現した。
また、先日の決算発表に関して、「企業として存続の危機」「事業継続困難」と報じられた件についても触れた。
コーエン氏「最新の決算発表に関して、一部報道において不完全な情報が流れました。事実は次の通りです。
財務基盤の強化策を講じており、事業戦略の見直しを行っています。戦略見直しの一環として、債務の借り換え、売却、そのほか戦略的な取り引きの可能性を検討しています。すべてポジティブなアクションです。また、戦略見直し期間中、主要な融資先と協力的かつ建設的な協議を積極的に継続しています。
本日の新製品や今後の新製品は、従来品に比べて利益率が向上しており、2025年の前年比の収益成長に貢献すると見込んでいます。重要なことは、2025年3月のプレスリリース(2024年10〜12月期の決算発表)が当社の事業運営、製品開発、事業運営、世界中へのサービス提供に直接的な影響を及ぼすことはないということです」
戦略の見直しや新製品の投入によって、収益成長を見込んでいることや、事業の継続に問題がないことを強調した。今回の新製品は既に北米や欧州でも販売をスタートしており、アイロボットは世界中で通常通り業務を行っていることを伝えた。
伊森ちづる 家電・家電量販店ライター。家電量販店の取材や家電メーカーの取材、家電製品のレビューを中心に活動。売り手、メーカー、ユーザーという3つの視点で家電を多角的に見るのが得意。雑誌、ニュースサイト、ラジオ、シンクタンク、自治体での情報提供など、多方面で活躍中。最近は、テクノロジー×ヘルスケア、テクノロジー×教育などにも関心あり。趣味は音楽鑑賞(クラシック)とピクニック。 この著者の記事一覧はこちら

マイナビニュース

「アイロボット」をもっと詳しく

「アイロボット」のニュース

「アイロボット」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ