金利上昇の中で、初心者向けのお金の増やし方をファイナンシャルプランナーが解説。元本保証の「個人向け国債」に注目を【2025マネー記事セレクション】
2025年4月18日(金)12時30分 婦人公論.jp
(写真提供:Photo AC)
2024年に『婦人公論.jp』で反響を得た「マネー」に関する記事から、今あらためて読み直したい1本をお届けします。(初公開日:2024年11月29日)
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所得税がかかるボーダーラインを表す「年収103万円の壁」という言葉に注目が集まっています。共働き夫婦にとって避けては通れない<お金の悩み>について、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんは「夫婦生活はお金がかかる。だからこそ『話し合い』や『見える化』しないと、共働きでもお金は貯まらない」と指摘します。そこで今回は、柏木さんの著書『共働きなのに、お金が全然、貯まりません!』から「個人向け国債」について解説します。
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まずは「変動金利の国債」を買ってみましょう
「個人向け国債」は安心、安全の元本保証
貯金では定期預金の金利が上がったとしても、少しずつでしょう。あまり大きな期待はできません。
そこでおすすめなのは「個人向け国債」です。原則元本保証なので安全に運用したいと考える人には向いています。
国債には固定型と変動型があります。これから金利が上がることが予想される局面では、変動型だと利回りが上がり、プラスになることが期待されます。
国債の変動型は10年ものがあります。変動10年は毎年2回金利が見直されます。
これから10年間は、金利は上がることが期待されますので、毎年2回、その金利が利子として受け取れるのです。しかも万が一、長期金利が下がっても、0.05%が保証されています。
一方の固定型には3年と5年ものがあり、その国債が発行された時の金利で固定されます。
例えば、固定3年と固定5年は基準金利が0.05%となっている場合、0.05%で確定しており、それ以上の増減はありません。
3年後、5年後に旅行したいとか、何かイベントがある場合は、固定型もありでしょう。
今後、金利上昇がますます進むと……
今後、金利が上がるとすると、半年ごとに決まる変動のほうが早く上がりますが、金利上昇がもっと進めば、いずれ固定3年や固定5年の国債の金利も上がる可能性があります。
日銀の植田和男総裁は、国債の買入れを少しずつ減らし、国の保有残高も減少していくとしています。
『共働きなのに、お金が全然、貯まりません!』(著:柏木理佳/三笠書房)
日銀が国債買入れを減らしたり、市場で国債や手形を売ったりすると、結果的に市場の通貨流通量を減らすことになり、金利を上昇させる効果があります。
これを「売りオペ(売りオペレーション)」と言いますが、インフレで物価上昇の傾向にある時には、物価を下落させるために実施する方法です。
日銀の国債に対する態度には曖昧な点が多いですが、今後は長期金利が上昇傾向にあることは間違いありません。
内閣府は「中長期の経済財政に関する試算」にて、2030年度に10年国債利回りが2.7%に上昇する成長実現ケースを示しています。
金利が上昇気配の今が注目
国債は、満期時に元本が返済されますが、発行時に決められた利息で一定期間ごとに利子が支払われます。買った後は自分で売買もできますが、その時の需要と供給に応じて価格が変動します。
現在は金利が上昇気配で、国債売りの圧力も高まっている時期。すると国債価格が下がり、利回りが上がります。
例えば、わかりやすく満期までの期間が1年で、額面が100円で、利率が1%の債券があったとしましょう。
この債券を発行時に1000円分購入した場合、額面の1000円に利子10円の1010円が受け取れます。
しかし、この債券の人気が低迷して価格が995円に下がった時に購入した場合、満期では、額面との差の5円の利益と10円の利子を合わせて15円が受け取れます。
この時、利回りは約1.5%になっています。価格が下がると利回りが上がり、利益が増えるのです。つまり、国債の変動型10年は、利率が上がっている今が注目なのです。
覚えておくべきこと
ここで大事なことは、日頃から金利に敏感になり、国債の購入時には利回りが上がると得をする、ということを覚えておくことです。
ただし、「もう少し利回りがよくなってから」と先延ばしにしていると、結局、買うタイミングを逃してしまうので、どこかで決断することも大切です。
国債の仕組みはやや難しいですが、次の図を確認していただき、興味があれば購入を検討するといいでしょう。国債は郵便局や銀行などの窓口で説明してもらえます。
<『共働きなのに、お金が全然、貯まりません!』より>
また、1万円ほどから購入でき、小さいリスクで始められます。最初の1年間は換金できませんが、それ以降は1年分、つまり過去2回分の金利を払えば(その分を受け取るのを諦めれば)換金できます。
※本稿は、『共働きなのに、お金が全然、貯まりません!』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
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