荻原博子「増えない年金に、今すぐできる対策。早朝の通販番組で衝動買い、してませんか?保険も見直して貯蓄に回そう」
2025年4月18日(金)12時30分 婦人公論.jp
経済ジャーナリストの荻原博子さんが、お金に関するお得な情報をわかりやすく解説する新連載「トクする!荻原博子のマネーNEWS」。今回は「増えない年金、対抗策は」です。(イラスト:さかがわ成美 「婦人公論」2025年4月号より掲載)
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増えない年金、対抗策は
5年に1度、年金を見直す年金制度改革。今回の焦点は、厚生年金保険料の積立金を活用して、物価や賃金の上昇率よりも給付水準を低く抑える期間を短くすることで、実質的に基礎年金を増やすというものでした。
けれど、これを実施するには1〜2兆円の国庫負担が毎年必要になるため、最終的には2029年以降に持ち越されました。
ですので、年金が増えるまでじっと待つより、働けるうちは働くことも大切かもしれません。総務省の労働力調査(2023年)によると、65〜69歳の働く男性の割合は61.6%、女性は43.1%。70〜74歳では、男性42.6%、女性26.4%が働いています。収入さえあれば、将来の不安は和らぐのではないでしょうか。
ただし、この世代の方が働く時は、一定の収入があると厚生年金がカットされる「在職老齢年金制度」にご用心。
現在は、賃金と基礎年金を除いた厚生年金の合計額が月50万円を超えると、厚生年金部分が減額されるようになっています。ただ、働く方の増加に伴い、厚生労働省はこの額を、26年4月から月62万円に引き上げることを検討中です。
早朝の通販番組は見ない
では、働いていない場合は、どうすればいいでしょうか。
まず、やたらにモノを買わないことです。すでに山のようにモノに囲まれて生活している人は多い。それなのに、通信販売などで衝動的に買い物をしてしまう。
雑誌の『女性自身』が通販番組についてとったアンケートでは、シニアが高価な宝飾品や服、バッグ、布団などを最も買う時間帯は、早朝の5時から6時なのだそう。
家族がいれば、「よく考えて」と言われるような買い物も、この時間帯なら邪魔されない。業者も心得たもので、この時間を狙って、日常では経験できないようなめくるめくショッピングタイムを演出しているようです。
ですから、早朝の通販番組は見ないと決め、早起きしたら散歩にでも行きましょう。お金がかからず、健康になります。
また、惰性で払っているお金を見直すのも大切。たとえば公益財団法人生命保険文化センターの調査によると、生命保険は、55〜59歳の払込額が最も多くて年間約40万円。80〜84歳でも年間約37万円になります。
でもこの年代は、すでに子どもが独立していて死亡保障はあまりいらないし、医療費も安いので医療保険もそれほど必要ない。だとしたら、思い切って貯金に回すことも考えましょう。
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