美輪明宏「〈思いやり〉は言い換えれば、相手の立場でものを考えること。そのために必要なのは〈想像力〉。世界はすべてつながっている」【2025編集部セレクション】
2025年5月21日(水)12時0分 婦人公論.jp
2024年上半期(1月〜6月)に『婦人公論.jp』で大きな反響を得た記事から、今あらためて読み直したい1本をお届けします。(初公開日:2024年03月12日)
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歌手、俳優の美輪明宏さんがみなさんの心を照らす、とっておきのメッセージと書をお贈りする『婦人公論』に好評連載中「美輪明宏のごきげんレッスン」。
3月号の書は「思いやり」です。
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思いやりは、基本中の基本
思いやりは、私たちが幸せに生きていくために持つべきものの、基本中の基本。「もっとも大事なこと」と言ってもいいかもしれません。
最近は、小さな子ども連れのお母さんが電車に乗ってくると顔をしかめたり、子どもが泣くと舌打ちしたりする人もいるようですね。そういう人たちは、自分も幼子だった日があったことに思い至らないのでしょう。
もしかしたら、つねにイライラしてしまうほど、息苦しい生活をしているのかもしれません。思いやりの心を失った人が多くなると、世の中全体が殺伐としてしまいます。
世界をよりよくするには
思いやりの心を言い換えれば、「相手の立場になってものを考える」ということ。そのために必要なのが、想像力です。世の中には、追い詰められてやむにやまれず悪行に走る人もいます。もちろん罪は償わねばなりませんが、もし仮にその人が理不尽に追い詰められた結果の行いなら、そういった弱い人や困っている人を追い詰めた原因や、一部の人だけがいい思いをしている思いやりのない社会を憎むべきだと気づくはずです。
身近な人に対してはもちろん、戦火から逃げまどっている人や、世の中の不条理のせいで苦しんでいる人に対しても、想像力を働かせ、思いやりの心を持っていただきたい。
さらに、動物や植物、昆虫など生きとし生けるものすべてに思いやりの心を発揮できれば、人としての格が上がります。この世界はすべてつながっており、皆、相互に助け合うことで成り立っていますので多くの人が思いやりを持てたら、この世界はもう少しよくなるのではないでしょうか。
思いやりのある人は、心の美しさや品格が自ずとにじみ出てきます。皆さまもぜひ、そうした本物の「美しさ」をめざしてください。
●今月の書「思いやり」