この先結婚できないかも...婚約解消からの立ち直り方が知りたい
2025年5月26日(月)6時0分 大手小町(読売新聞)
「婚約解消された、したことありますか?」と題する34歳の男性からの投稿が、ユーザー投稿サイト「発言小町」に寄せられました。1年半付き合っていた彼女と別れたというトピ主さん。プロポーズをして、婚約指輪を受け取ってもらい、「1か月後にお互いの両親にあいさつに行こう」と話していた矢先での別れだったそうです。こういった婚約解消はよくあるものなのか、この危機をどうやって乗り越えればいいのか、アドバイスが欲しい、と尋ねています。

「婚約解消はよくあることなのか」とのことですが、書類のやり取りや親族との調整がそれほど必要ではない分、離婚より決断しやすい傾向はあるのかもしれません。それでも、結婚という大きな決断を白紙に戻さなければならないわけで、身にこたえることでしょう。
婚約解消から立ち直って再び未来を向くという作業は、たとえるなら、良いところまで書き上がっていた文章や絵を消して、もう一度、書き直す作業に似ていると思います。せっかく書いたものを消してやり直すとなれば、「面倒だな」という気持ちになるのが人の常。すごろくゲームでいうならば、「スタートに戻る」「◯マス戻る」になった時のガッカリ感や徒労感のようなものが、彼女を失った悲しみとともに生じているのではと想像します。
何より、結婚は人生プランを大きく左右する出来事です。「また一から結婚相手を探して、価値観をすり合わせる作業をするのか」「結婚しない人生を考えていくことになるのだろうか」等々、人生プランの大幅な修正作業が必要なため、
いっそのこと、「気持ちがすっきり晴れないのは当然。婚約解消は大きな出来事だったのだから」と開き直ってみるのも一案です。前を向いて歩み出そうと思えるようになるまで、自分のペースで日々を過ごす、寄り道をするような期間があっても構わないと考えてみては。彼女と出会う前の自分が興味を持っていたことや、婚約中に後回しになっていたことはありませんか。「そういえば、こんなことをやりたいと思っていたな」ということが頭に浮かんだら、そこから行動を始めてみてはいかがでしょうか。
投稿には、「この先結婚できないのでは?とも思ってます」という記述があり、トピ主さんの将来への不安が伝わってきます。
結婚相手がまた見つかるかが定かではないうちは、「あのとき婚約解消にならなければ……」といった思いが浮上することもあるでしょう。毎日が順調なときには、「あれで良かったのだろう」と思えても、心身の状態が悪いときには、「どうしてああなってしまったのか」と考えて落ち込み、また何かの折に触れて、ふと彼女に思いを
とは言え、結婚に限らず、人生に起こる出来事というのはすべからくそういうものです。起こった出来事をどう解釈するかはきわめて主観的なもので、数学のように一つの答えがあるわけではないので、自分の心境や状況によって、「あれでよかった」「もっとああすればよかった」などと異なる感慨が生じます。
それでも、「あのときの自分なりに精いっぱいやった結果だ」と当時の自分を認めてあげられるならば、過去をひどく引きずることは少ないと思います。「婚約解消が正解かどうかはわからない。でも、自分なりに精いっぱいやった。その結果、なるようになったのだろう」と心から思えれば、前を向きやすくなるはずです。
トピ主さんは、彼女との交際からプロポーズ、婚約解消までの道のりで、その時々で自分なりに精いっぱいやった、という実感がありますか。投稿には別れの原因は書かれていませんが、2人の間に決定的な亀裂が生じて修復不可能になった、あるいは、お互いに歩み寄る方法はないか、ギリギリまで模索してみたものの、この結末になったということならば、そうなる運命だったと解釈しても良いのではと思いました。
トピ主さんが彼女と密に過ごした時間は、長い人生において1年半のみです。「1年半前の自分に戻っただけだ」と考えることで少し気分がラクになるなら、そうしてみるのも一つの方法かと思います。
あるいは、「この経験から確実に得るものはあった」と考えてみるのもよいのではないでしょうか。彼女に出会い、婚約破棄を経験したことで、トピ主さんの価値観や考え方は多少なりとも変化したことでしょう。彼女と
「結婚したい気持ちに気づけた、結婚願望が強くなった」ということであれば、それも一つの経験からの学びと言えるでしょう。婚約解消という出来事において、仮に知りたくなかった現実を知ったとしても、「それでも自分はこういう人間でありたい、こういう人生を歩みたい」という意思を持つことができれば、主体的な生き方ができると思います。
これまでのまとめです。▽「人生プランの大幅な再構築が必要になったのだから、憂鬱でおっくうになって当然だ」▽「自分なりに精いっぱいやった結果として、なるべくしてなったことだと受け止めよう」▽「幸せで、しんどい経験だったが、確実に得るものはあった」
このような考え方が、トピ主さんが立ち直る助けになれば幸いです。応援しています。(フリーライター 外山ゆひら)