きぬた歯科の看板かと思ったら...「ぬれせんべい」でした 謎すぎるコラボ広告なぜ爆誕?銚子電鉄&院長に聞く

2023年7月9日(日)8時0分 Jタウンネット

見慣れた歯科の看板かと思ったら、違う——そんな広告がツイッター上で話題になった。

こちらがツイッターユーザーのgumota(@gumotani3n)さんが、2023年6月23日に投稿した、その広告の写真。

見覚えがあるという人もいるだろう。そう、あの「きぬた歯科」だ。

東京都八王子市の西八王子駅前にある歯科医院で、院長の羅田泰和(きぬた・やすかず)さんの顔写真が使われた看板が首都圏に多く設置されていることで知られている。

Gumotaさんが今回投稿したものも、きぬた歯科の広告なのかと思いきや......

「ちょうし電鉄
ぬれせんべい
JR銚子駅乗り換え」

あれ? 「きぬた歯科」なんてどこにも書いてないじゃないか!

降臨!インプラントの神

実はこれ、きぬた歯科じゃなくて、千葉県のローカル線・銚子電気鉄道(銚子電鉄)の広告なのだ。

きぬた歯科だと思ったのに......小梅太夫さんも「チクショー」と叫んでしまうかもしれない裏切りを感じさせる広告は、なぜ誕生することになったのか。Jタウンネット記者は30日、銚子電鉄を取材した。

銚子電鉄には、食品事業部がある。取材に応じたのはその食品事業部の、担当課長だった。

羅田泰和院長の顔つき広告出稿のきっかけは、広告代理店・博広社(東京都品川区)からの誘い。銚子電鉄の開業100周年を記念して東急バスの車内広告を有利な条件で出さないか、と提案されたという。

どんな広告が良いのか。何か良いプランはないものか。車内広告でインパクトを与えるためにはどうすれば......? 食品事業部の担当課長は考えた。その最中に、中央高速道路できぬた歯科の看板を目撃した。

「東京都清瀬市より銚子電鉄に出向中の職員が『あの看板をみると地元に帰ってきたがします!』と発言し、その瞬間私にインプラントの神が降りてきてささやいたのです。
いいプラン→インプラント、インパクトのある→インプラント、わしの愛車インプレッサ→インプラント」(食品事業部の担当課長)

インプラントの神に囁かれた課長は、すぐさまきぬた歯科にメールした。

「広告図案を真似せていただけないでしょうか?」

翌日、羅田院長から返事があった。快諾だったという。

院長「正直、最初は詐欺かと思いました」

そんなやりとりがあり、銚子電鉄は東京・目黒区と世田谷区、神奈川・川崎市で運行している東急バスの100台にきぬた歯科風の銚子電鉄の図案、100台に本物のきぬた歯科、20台に真面目な銚子電鉄の広告を出すことになった。

「なるべく『砧(きぬた)』がつく停留所を通るバス路線を中心に掲載しております。本広告をご提案していただいた博広社様、きぬた歯科様、東急バス様、ツイートしていただいた方に厚く、厚く御礼申し上げます」(食品事業部の担当課長)

さて......。全く関係のない企業に、自分の顔つき看板の図案を真似したいなんて申し出を受けた側の心境はどんなものだったのか。

記者がきぬた歯科・羅田泰和院長にも取材を依頼すると7月7日、「御世話になります。そうです、私本人です。羅田泰和です。笑」とメールが届いた。

——銚子電気鉄道から依頼があった時、どんな心境でしたか?

羅田院長:正直、最初は詐欺かと思いました。笑 一般的によくある、品物を勝手に送ってきて、後から請求書を送ってくるやつですね。なので、何度も「広告料は払わないで良いのか?」を聞きました。
「それは大丈夫です」との回答を頂きましたが、さすがに鉄道会社でそんな事あるのか? と掲出されるまで半信半疑でした。広告料は払っていませんが、ギャラも頂いていません。それで全然OKです。

「お世辞ではなく、マーケティングのプロだと思いました」

——なぜ、銚子電鉄の依頼を引き受けたのですか?

羅田院長:これは私のモットーなのですが、みんなで楽しめば良いという考えです。楽しんで、それが結果として相乗効果から、お金を生むことも、知名度が上がることもあるじゃないですか。なんでもかんでも契約書とか、肖像権だとか言ったら面白くない。

羅田院長:以前、きぬた歯科がYouTube動画を撮影した際、効果音を入れたく、いくつかの音楽をチョイスしました。正直、それほど売れていない曲です。それなりの金額を提示しましたが、アーティスト側がかなり高額なギャラを要求してきました。売れた曲ならいざしらず、YouTubeの再生により、アーティストの宣伝にもなるという発想がまるでない。結局、コチラがやめました。
ラジオもやっていますが、あまり売れていないアイドルグループに出演依頼をした際、やはりそこそこ高額な出演料を要求されたこともあります。それもやめました。
結局、アーティストやアイドルにとって、世に出るチャンスを失った事になりますよね。そういうことなんですよ。欲をかいた結果です。そのアイドルグループはその後、解散しました。お互いWin Winの関係を築けないから、伸びない。仕事もお金も。

——掲出された銚子電鉄の広告の感想を教えてください。

羅田院長:想像していたよりも、かなりのインパクトでした。これを考えた人はお世辞ではなく、マーケティングのプロだと思いました。セミプロを自任する私でさえも、この様な発想は無かったです。

——銚子電気鉄道以外の広告に羅田さんが出演・起用されたことはありましたか。

羅田院長:実際あったケースとしましては、立川の司法書士の方から、「顔の写真を利用していいか?」とのメールを頂き、OKしました。その結果、その方と私の画像が一緒に載った看板が多摩エリアにいくつかあります。意味は分かりませんが「相続は、きぬた歯科より歯ごたえあり」と書いてあります。笑

持ち上がったものの、実現しなかった企画もあったという。「今後もきぬた歯科以外の広告に羅田さんが積極的に出演をされる意向はあるか」と質問すると、こう答えた。

羅田院長:もちろん、大歓迎ですね。風俗とかサラ金とかは困りますが、それ以外であればぜひやりたいです。何度も言いますがWin Winの関係がビジネスは成功します。一方通行ではどちらかに不満が出て、絶対にうまく行きません

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