西は「スボ手」東は「長手」 線香花火は2種類あるって知ってる?
2017年7月29日(土)17時0分 Jタウンネット
夏の夜、みんなのテンションが上がる遊びといえば花火。昔ながらの線香花火は2種類あり、西日本と東日本で親しまれてきたタイプが違うのをご存じだろうか。
その名も「スボ手」と「長手」。Jタウンネットは、線香花火の製造所に、その違いを聞いてみた。
世代によっても認識は違う
西日本では、昔からワラスボ(藁の柄)先に火薬を付けた「スボ手」が親しまれてきた。花火の先を斜め上に向けて火をつける。
一方、東日本では、カラフルな和紙に火薬を包んだ「長手」が親しまれてきた。昔は関東地方でワラが手に入りにくく紙すきが盛んだったためにこの形になったといわれ、スタンダードな線香花火として全国的に広まった。
東日本出身の記者は西のスボ手を知らなかったが、徳島県出身の60代男性にふたつの写真を見せると「線香花火といえば、これでしょう」と迷わずスボ手を指した。奈良県出身の20代男性は、「(スボ手を見て)子どものころに遊んだ覚えはあるが、今はこっち(長手)」と、世代によっても認識は違うようだ。
スボ手を作っているのは1社だけ
いま、スーパーなどで売られている線香花火のほとんどは長手タイプで中国製が多い。国産の線香花火を作っているのはわずか3社。その中で唯一、東西両方の線香花火を扱っている筒井時正玩具花火製造所(福岡県みやま市)の筒井今日子さんに話を聞いた。
線香花火の魅力は、微妙な火薬の量や着火したときの気候によって、1本ずつ違う「咲き方」をすることだと言う。
「スボ手牡丹は、線香花火の原形で300年間変わらない形だといわれています。ワラの太さによって微妙に火薬の量が違ってきます。長手は0.08グラムの火薬を包むのですが、100分の1グラム違っただけでも影響が出るから、1本たりとも同じものはできないんです」
線香花火の燃え方は4段階に分けられ、それぞれに植物の名前がついている。花火に火が付き、ジジジジ......と玉になる姿は「蕾」。次にパチパチと玉から火花が散るのは「牡丹」。その勢いが増すと「松葉」になり、最後は「散り菊」。
東西の線香花火は、筒井時正玩具花火製造所のホームページかいくつかの取扱店で手に入る。