飲食業界を襲う、コロナ禍とは別の恐怖が蔓延! グルメサイト経由で経営者の個人情報流出か?

2021年8月7日(土)8時0分 tocana


 グルメレビューサイトの「食べログ」や「ぐるなび」「ホットペ ッパー」などに掲載の飲食店を経営する者の住所や氏名など数百万件の個人情報を売り込むメッセージがSNSなどで飛び交っている。


 法人データ販売業を名乗った「営業担当者」から唐突に送られてき た売り込みは、「グルメサイト掲載の飲食店のオーナー情報」を販売するというもので、受け付けているメールアドレスに問い合わせ ると「10万件ごとに4万円、100万件を30万円で販売できる」とし、その総数は300万件以上だという。


 試しにそのサンプルを求めてみると、業者は躊躇せずデータの一部を送ってきた。ファイルはEXCELで作られたもので、 飲食店の店名、ジャンル、サイト内URL、店舗の所在地、 電話番号、席数、駐車場の有無などのほか、「経営者」 の氏名と住所、携帯電話の番号までが記載されていた。 店舗情報までならネット上で調べれば手に入るものだが、経営者の個人情報は公になっていないもの。サンプルデータでは、店によって経営者の名前が名字だけのものや、住所が町名までのもの、電話番号が欠けているものもあったが、約40店舗が記載中には、 経営者の名前がネット上で調べても店舗と結びつかないものもあり、明らかに個人情報の流出ともいえる。


 そこで、「これは違法ではないのか」と業者に尋ねると、「違法ではない」と業者から返答があった。


「個人情報保護法では、利用目的を公表していれば、本人の同意が なくても取得することが認められております。不正な手段で取得し た情報でもありませんので合法です。掲載された方が掲載に問題があるという場合は、当事者から連絡があれば即刻リストから削除する旨もデータには記してありますし、実際に応じたこともあります ので何も問題はありません」


 その「利用目的」について聞くと「研究用の提供」と、もっともらしく答えたが、合法だというデータの入手経緯を聞くと「それは企業秘密になります」とノーコメントだった。


 こうしたデータを販売するのは、いわゆる「名簿業者」として昔から知られてはいるものではある。名簿販売自体に違法性はないが、 個人情報保護法では、本人の同意なしに個人データを第三者に提供 してはならない原則がある。また、名簿情報が適切な形で収集されたかも重視されており、何百万件もの飲食店経営者が個人の連絡先 の売買を認めているとは思えない。


 そこでサンプルリストにあった飲食店の経営者に、店舗の連絡先を 通じて個人情報の売買について聞いてみたところ、やはり「 まったく知りませんでした」との回答だった。


「少し前に自分個人の携帯番号にネット広告掲載の営業電話があったので、そういうリストが出回っていたのかもしれません」


 この飲食店は後日、業者にリストから情報を削除するように連絡すると言っていたが、業者側は「ネット上では店だけのデータならた くさん売買されていますが、経営者の情報まで揃っているのは当社だけ」と自慢げだった。この業者に「 こうした情報を他にも売っているのか」と聞くと、「飲食店以外のジャンルでも対応できます」とも言っていた。


 前出の経営者は「もし私の個人情報を漏らしたのが、グルメサイト側だったとしたら巨大な情報漏洩事件になる話ですよね。 サイト側にも問い合わせてはみます」と言っている。気になるのは リストが「全国飲食店リスト」ではなく、「グルメサイト掲載の飲食店のオーナー情報」で、サイトごとに販売していることである。 サイトから情報が漏れたと見てもおかしい話ではない。


 また、ネット上のデータ漏洩に詳しいITセキュリティ業者に話を 聞いたところ「経営者の個人情報が漏れるのは危ないこと」 とする。


「営業電話に使われるぐらいで済めばいいですが、たとえばライバ ル店、もしくはトラブルになった客など、嫌がらせに使われることだって考えられますからね」


 コロナ禍で飲食業界からは悲鳴が上がっているところだが、個人情報の売買で別の悲鳴が上がらなければいいが…。

tocana

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