「あの夜が人生を大きく変えた」『クレイジージャーニー』出演・丸山ゴンザレスに聞く、アジア諸国の変化

2022年10月18日(火)7時0分 tocana

※ こちらの記事は2016年7月14日の記事を再掲しています。


 TBS系列の深夜バラエティ『クレイジージャーニー』で、ひときわ強い存在感を放つのが、危険地帯ジャーナリストの丸山ゴンザレスだ。世界各地のスラムに踏み入り、そこに暮らす人々の生活実態や犯罪の実情を探る姿が、刺激を求める視聴者の支持を集めている。


 そんな丸山のデビュー作が、2005年に出版した『アジア「罰当たり」旅行』だ。まだ20代だった丸山が、アジアを旅して遭遇した珍事や、「罰当たり」な体験を綴った旅行記である。この度、新しいエピソードを加筆した『アジア「罰当たり」旅行 改訂版』を、6月13日に刊行! 処女作刊行から10年を経て感じるアジア諸国の変化と、丸山自身の旅の変化について伺った。


–丸山さんは、いつから旅に興味を持ち始めたのでしょうか。


丸山 親父の趣味がアウトドアで、小学生の頃からちょっとした冒険に連れて行かれていました。山奥までキャンプしに行ったり、日本の名水100選に入らない、親父いわく「伝説の湧き水」を汲んで、コーヒーを淹れたりしていましたね。高校生になると、夏休みや春休みに青春18切符を買って、1人で国内を旅するようになりました。


—-国内旅行を経て、1998年に初の海外渡航を試みたんですね。


丸山 当時は、旅に出ようという気運が大きくて、東南アジアに行くと大学生がたくさんいました。96年に『進め!電波少年』で猿岩石がヒッチハイク旅をして、タイ国際航空の「タイは、若いうちに行け」のCMが流行って、沢木耕太郎先生原作の『深夜特急』のテレビシリーズも放送されたので、バックパックの入口はタイというイメージが強くありましたね。とはいえ、バンコクまでのチケットは当時結構高かったんです。すごく安い時期で7〜8万くらいでしょうか。ノースウエスト航空とかエア・インディアがお手頃価格で人気だったんですが、深夜発早朝着の便でしたね。それで行くことが多かったですね。おかげで、バンコク行く時に昼間の移動だと、いまだに違和感ありますよ。


–最初に行った時は、何日間の旅を想定していたのでしょうか。


丸山 航空券をオープンで購入して、帰国日は決めていませんでした。大学生は、授業が始まる前にきっちり帰った人もいたし、戻らない選択をした人もいましたね。僕は授業が始まってから2週間経った頃に帰ってきたことがあって、「旅しちゃってました。すいません」って、先生に頭を下げていました。今思うと、結構イタい奴だったな〜って思いますね。


 



–滞在期間が長くなると費用もかかりますよね。


丸山 当時言われていたのは、航空券込みで1カ月10万円。宿代込みで1日500〜1000円が相場でした。タイとかインドでも1食が30バーツとか30〜40ルピーで、1食100円しなかったですね。当時よく見かけた光景ですが、旅をしに来ているのに、みんな宿から動かなくなってお金を使わなくなるんですよ。そのうち自己矛盾に苛まれて、「もう来たくない」「何しに海外に来たんだろう」って言い出す人もいましたね(笑)


—-『アジア「罰当たり」旅行』には、バンコクに着いて早々に、衝撃の洗礼を受けたエピソードが書かれています。


丸山 僕としては、風俗で出会った相手の子が実はニューハーフだったことよりも、その一部始終を宿の連中が見ていたことの方が衝撃として大きかったです。でも、そういう事件を一つ起こすと仲間として打ち解けやすくなるんですね。初渡航から数年は、その頃に出会った人たちと交流しながら旅を続けていました。そういう意味で、初日の夜が人生を大きく変えたなと思います。



—-今タイに行っても、当時の丸山さんのような体験ができるでしょうか。


丸山 今、タイは先進国になろうと動いているので、バンコク=風俗の街というイメージは薄れてきています。パッポン、タニヤ、ソイカウボーイ、ナナプラーザ……、僕が若かった頃に栄えていた色街も時代遅れや古臭いとか、外国人のオッサンたちが集まる街って感じに評価もかわっています。時々、「タイなんてパッポンにタイ料理、マッサージで終わりでしょ」とか、ステレオタイプのイメージを言う人がいますが、それはもう10年前の話です。「この人は最近行ってないんだな」と思います。


–丸山さんが「罰当たり」旅行をしていた頃とはずいぶん変わったんですね。


丸山 旅行記を書いた2005年と比べると、本当に大きく変わった感じがします。到着する空港もドンムアン空港からスワンナプーム空港に変わったし、エアポートリンクができて空港からタクシーに乗らずに街中に行けるし、高架鉄道や地下鉄もできました。旅に来る人種も、昔は欧米人や日本人が多かったけど、今は韓国人や中国人、東南アジアの人たちが増えていますね。


–いま、当時のタイのような街はどこになるんでしょうか。


丸山 ラオスやカンボジアですね。次はミャンマーと言われています。でも、多くの旅人が、あの頃のバンコクを探している感じはありますね。カオサンで飲んでいると、あっというまに日本人や外国人旅行者の集団ができあがって、パーティーになって飲み明かす。その日、あの場所でしか出会えない連中が騒いで散っていって……。そういうことを繰り返せる場所は、もうないんじゃないでしょうか。『アジア「罰当たり」旅行』は、あの頃の熱狂を閉じ込めた記録のような本だと思っています。


【丸山ゴンザレス】


●丸山ゴンザレス
1977年、宮城県生まれ。考古学者崩れの犯罪ジャーナリスト・編集者。國學院大學大学院修了。無職、日雇い労働などからの出版社勤務を経て独立。現在は国内外の裏社会や危険地帯の取材を続ける。國學院大學学術資料センター共同研究員。著書に『アジア親日の履歴書』(辰巳出版)。筆名で、丸山佑介もあり著作として『図解 裏社会のカラクリ』(彩図社)、『悪の境界線』(文庫ぎんが堂)、『ブラック・マネジメント』(双葉社)、『闇社会犯罪 日本人vs外国人 —悪い奴ほどグローバル』(さくら舎)などがある。人気番組「クレイジージャーニー」(TBSテレビ系)に危険地帯ジャーナリストとして出演中。

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