「やる気を奪う管理職」が無意識にやってしまう1つの習慣
2024年4月21日(日)6時0分 ダイヤモンドオンライン
人が次々辞めていく、上司と部下の会話がない、メンバーのモチベーションが上がらない――コロナ明け、チーム内コミュニケーションに悩んでいる人も多いかもしれない。そんな悩める人たちに話題となっているのが、北の達人コーポレーション(東証プライム上場)・木下勝寿社長の最新刊『チームX(エックス)――ストーリーで学ぶ1年で業績を13倍にしたチームのつくり方』。神田昌典氏は「世界的にみても極上レベルのビジネス書」と絶賛した。これまでのシリーズ『売上最小化、利益最大化の法則』は「20年に一冊の本」と人気会計士から評され、『時間最短化、成果最大化の法則』はニトリ・似鳥会長と食べチョク・秋元代表から「2022年に読んだおすすめ3選」に選抜。だが、その裏には「絶頂から奈落の底へ」そして「1年でチーム業績を13倍にした」という知られざるV字回復のドラマがあった。しかもその立役者はZ世代のリーダーたちだという。そこで今回、本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。本書を読み解くのは、独自の目標実現法「行動イノベーション」アプローチで、キャリア構築・人材育成に携わってきた大平信孝氏だ。『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』(かんき出版)をはじめ、ベストセラー作家でもある大平氏は『チームX』をどう読み解いたのか。連載5回目は、「部下のやる気を奪う管理職の特徴」について話を聞いた。(構成・川代紗生)
Photo: Adobe Stock
やる気を奪う管理職は、「部分的にできていること」をスルーしがち
――ある程度、責任のある仕事を任せないと部下は育ちません。一方、仕事のチャンスをプレッシャーに感じすぎてしまい、精神的につぶれてしまう部下もいます。ちょうどいいバランスを見極めるには、どうすればいいでしょうか
大平信孝(以下、大平):「問題なくできる領域」と「チャレンジングな領域」の境界線を見極められると、見立てをつけやすくなると思います。 そのプロジェクトを任せたとして、どこまでが現状の実力でスムーズにこなせる部分なのか。今までにもやったことがあり、だいたいの手順も把握しているなど、これまでの経験でこなせる範囲をあらかじめ把握できていると、部下も対策を立てやすいですよね。
部下のスキル不足を解消するためのステップとして、なにより最初に取り組むべきなのは、部下の「できていること」を理解し、それを承認することです。 私がこれまでさまざまなクライアントと接してきた中で気づいたのは、上司と部下のコミュニケーションギャップが生まれる大きな原因は、上司が部下を「仕事ができる・できない」のいずれか、「オール・オア・ナッシング」で判断するところにある、ということです。
――仕事ができる・できないの二択で判断してしまうのは、たしかにありがちですね。
大平:誰しも、できている部分もあればできていない部分があるものです。 けれども、管理職は「できる人」と「できない人」という極端な区分けで評価してしまうことが多く、部下の「部分的にできていること」をスルーしてしまうことがよくあります。
――それだと、「できる人」になろうと努力している部下も、「どうせ上司は見てくれないから、がんばってもムダ」という気持ちになってしまいますよね。
大平:ええ。ですから、チャレンジングな仕事を任せる場合にも、そのプロジェクトに必要な作業を洗い出してみて、そのうちどれくらいが「既知の領域」で、どれくらいが「未知の領域」なのか、一緒に整理できるといいと思います。 自分が任された側の場合も、同様です。「10ある作業のうち、1、2、3はばっちりです。後半の4~10は今回はじめてやることなのでサポートいただきたいです」というように、あらかじめ互いに合意を取り、期待値の調整ができているとスムーズです。
組織の肥大化にマネジメントがついていかない問題
――よく、「成長のためには、実力の120%くらいの目標がちょうどいい」と言ったりしますが、大平さんはどう思われますか?
大平:それは私も同意見です。あまり高すぎてもバーンアウトしてしまう可能性が高いため、その人の実力と精神的余裕がどの程度なのか判断したうえで、その人の2、3割プラスくらいの仕事を任せられるといいのだと思います。
『チームX』でも「組織の肥大化にマネジメントがついていかない」という項目がありました。
“全メンバーが10人以下の頃は手分けして仕事をやっていたので、誰が何をやるか、すぐにわかった。だが、100~200人規模になると、一人ひとりは全体の一部の仕事しか担わない。なのに、10人の頃と同じマネジメント体制のまま組織だけが拡大していた。 メンバーのうち、全体が見えているのはごく一部だけ。業績が落ちたとき、一人ひとりが何をすべきかわからなくなっていた。(本書P59より)”
このように、組織が大きくなるにつれ手が回らなくなり、仕事を丸投げせざるをえない状況に陥ることも多々あると思います。『チームX』で解説されていたチーム変革のノウハウを取り入れつつ、それぞれの部下とコミュニケーションを取るときには「オール・オア・ナッシング」にならないよう気をつける。 日々できることを一つひとつ積み重ねて、成果の出るチーム作りをしていけるといいですね。
目標実現の専門家 メンタルコーチ
アドラー心理学と脳科学を組み合わせた独自の目標実現法「行動イノベーション」を開発。2万人以上の目標実現・行動革新サポートを実施。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン・ジャパン株式会社のマネージャー向けコーチング研修を継続的に提供。「2030年までに次世代リーダーをサポートするプロコーチを1000人送り出し、日本を元気に!」を目標に掲げ、プロコーチ養成スクール「NEXT」を開講。12冊の著作は累計55万部を突破。主な著作に24万部を突破した『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』(かんき出版)がある。
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