データドリブンの経営で物量を増加せよ ~コスト削減から売上の増大へ ACROVEと日本郵便東海支社の取り組み~
2025年5月1日(木)10時0分 PR TIMES STORY

(左)日本郵便株式会社 東海支社 (右)日本郵便株式会社 東海支社
愛知西部物流ソリューションセンター 郵便・物流法人営業部
センター長 前山 昌親 課長 大島 卓朗
(中央)株式会社ACROVE
共同創業者 COO本部 CX第一営業本部
CX事業部 営業部ダイレクトユニット マネージャー
中村 太一
まえがき
ACROVE(アクローブ)社は、独自のソフトウェア「ACROVE FORCE」を利用し、データドリブンな意思決定と実行でEC売上最大化を支援しているスタートアップ企業である。Forbes30 Under30 2024にアジアと日本で同時受賞した若き起業家、荒井 俊亮が立ち上げたACROVE社は、現在、日本郵便との取り組みを進め、東海支社含めた全国13支社のうちほとんどの支社との連携を開始している。同社の実現するオペレーショナルエクセレンスと顧客のブランド価値最大化について、現場のキーパーソンたちに聞いた。
株式会社ACROVEの提供するサービスとは
インタビュアー:最初にACROVE社の沿革、事業内容について教えてください。
株式会社ACROVE 共同創業者 COO本部 CX第一営業本部
CX事業部 営業部ダイレクトユニット マネージャー中村 太一(以下、ACROVE中村):ACROVEは、2018年に株式会社アノマとして、わたしを含む3人の仲間ではじめました。プロテインのD2C(Direct To Customer:消費者への直販)事業が起点です。プロテインの事業では、ブランドを立ち上げ、プロテイン開発から始めて、どのようにすれば売上が伸びるのかなど、業務を通して商流に関わるノウハウを学んでいました。
そこに新型コロナウイルスという未知の事象が発生し、多くの事業主の方が非対面、非接触のD2Cモデルの導入を検討することになったため、わたしたちのノウハウを提供していこうということになりました。というのも、ECが主流のアノマ事業への打撃はほとんどなかったのですが、暗いニュースが続き閑散とする街を見た時に、自分たちのためだけの事業ではなく、この状況に対して何か出来る事業をしたいと思ったためです。それが、現在の当社のECモール分析ツールACROVE FORCE を活用したEC売上最大化支援の「CX事業」になります。
2022年からは「ECロールアップ事業」も開始しました。これは、EC領域における成長可能性の高い事業やブランドをM&Aを通してグループ化し、ブランドと事業の価値最大化を目指す事業です。CX事業では、実務支援をメインとしていましたが、深刻化する昨今の社会的課題である労働者不足にも応えるべく、事業を拡大しました。そこで、育成型・事業承継型の M&Aを積極的に行い、ACROVEグループにジョインして頂いています。グループ会社化後は、当社のデータや人材、ノウハウを提供し、売上・収益向上を目指して一緒に事業運用をしています。
インタビュアー:中村さんが所属されている「CX事業」について具体的にどのような取り組みを行っているのでしょうか。
ACROVE中村:多岐に渡りますが、ECモール(楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングなど)の運用支援が最も長く提供しているサービスです。
これまでに累計200社以上のEC店舗の立ち上げ、運用支援、また、収益改善コンサルティングを実施してEC売上の最大化を一気通貫で支援してきました。
例えば、ある食品事業者様は、実店舗なしでも販路を拡大できるEC販売を検討していましたが、運用担当者がいないため着手できずにいました。そこで当社がAmazonのアカウント開設から出品、ページ開設、運用まで伴走支援を行った結果、約1年でオフライン販売20年分以上の売上を達成出来ました。
EC販路拡大における課題やフェーズに応じた柔軟な支援ができることが、ACROVEのCX事業の強みです。
最近では、上記のECモール売上最大化支援の他にもサービス幅を拡充しています。M&Aで複数のEC周辺サービスを展開するB2B会社がグループジョインしたためです。自社オンラインショップの構築支援や自社ECサイトでの販売促進、B2Bオンラインショップの構築、商品企画など今までご提案ができなかった領域もカバーできるようになっております。
インタビュアー:少し話は戻りますが、ACROVE社のCX事業ならではの強みとして、お客様が特に評価している点は何だと思われますか?
ACROVE中村:お客様ごとに異なりますが、大きくは二つだと思います。一つは、コンサルティングだけではなく、手を動かす実働支援までACROVE側で対応する点、もう一つは、短期目線ではなく中長期目線の幅広いサポートを提供している点が、お客様に評価いただく声として多いと感じております。
また、社内で複数ブランドの運営を行っていることもあり、「どのタイミングでどのような問題が起きやすいのか」「次のフェーズではどのような課題が出やすいのか」「問題が起きた際の対処方法はどうするか」など、お客様が実施したことのない先の話でも、事業者目線、現場目線で会話ができる点も、自社ブランドを運用しているACROVEならではの付加価値として感じていただいているかと思います。
ACROVEと日本郵便東海支社の取り組み
インタビュアー:今回開始したACROVE社と日本郵便東海支社の取り組みは、具体的にどのようなものでしょうか。
日本郵便株式会社 東海支社 郵便・物流営業部
本部営業担当 課長 大島 卓朗(以下、日本郵便 東海支社 大島):ACROVE社と、互いの強みを持ちあって何かできないかACROVEの中村さんと当社の愛知西物流ソリューションセンター長である前山とディスカッションして施策を検討しました。
ACROVE中村:共催ウェビナーが最初の取り組みでした。
東海エリアの企業様は「内製化」「地場密着」のイメージが強く、外部パートナーへの障壁があるのではと感じていたため、まずは企業の皆様へ有意義な内容を共有できればという目的で、登壇したことを覚えております。
しかし、ウェビナー登壇後にお客様と実際に話してみると、私が持っていたイメージとは異なる反応があり驚きました。現場の方々は、「外部パートナーと積極的に連携したい」「新たな情報を常に取り入れたい」という意欲を持っており、私たちに対しても多くのご意見をいただきました。
そのため、オンラインでの打ち合わせだけでは理解しきれない点も多いと感じ、直接現場の営業の方々やお客様のもとにお伺いすることにしました。共催ウェビナーを開催したことがきっかけとなり、お話の機会を得られたことも多々あります。訪問した際には、企業様ごとに具体的な提案を行うようにしています。
日本郵便株式会社 東海支社 愛知西物流ソリューションセンター
センター長 前山 昌親(以下、日本郵便 東海支社 前山):当社の倉庫をお使いいただいているお客様で出荷量が落ち込んでいるお客様がいました。事情を聞いてみたところ「受注処理が追いついていない」とのことでした。そこで、ACROVEさんに相談したところ、受注業務をACROVEにアウトソースする提案がありました。アウトソースを実行し、ボトルネックを解消したところ、売上の推移はすぐに反転していきました。
インタビュアー:売上以外に取り組んだことは何かありますか?
日本郵便 東海支社 大島:別の角度だと、PB商品の転売防止についての取り組みがあります。美容系の商品を販売している製造会社において、販売代理店へ卸す中で転売行為の可能性があることがわかりました。転売されることで、PB商品の市場価値が低下するため、製造元としては転売元を何とかして見つけたいというニーズに注目しました。そこでACROVEの中村さんと打ち合わせを行い、お互いの強みで転売行為のエビデンス(証拠)を突き止める策を考えました。当社は物流行程の中で専用バーコードの管理を徹底することでエビデンスを取得。ACROVEさんはEC通販の商流からエビデンスを取得することで、物流(上流から)と商流(下流から)のエビデンスという付加価値を生み出すことができました。お客様へ直ぐに提案したところ成約となり、先月より2拠点の倉庫でロジ作業を受託させていただき運用しております。
インタビュアー:東海支社とACROVE社の取り組みですが、具体的にはどのように拡大しているのでしょうか?
日本郵便 東海支社 大島:わたしたち東海支社には12の営業本部があります。共同営業を進めるにあたり、スモールスタートを心掛け、地道にエリアごとに3回に分けて、ACROVEさんとの共同営業の取り組みについて説明会を実施しました。現在は東海管内の全エリアで営業本部と連携して共同営業を拡大しております。また同時に商流から物流につながる課題解決をテーマにオンラインセミナーも年2回程度、開催しております。セミナー1回あたりに100社ほどお集まりいただいています。ACROVEの中村さんに講師として登壇いただいたこともあります。
両社の出会いのきっかけ、出会いが今までと違ったところ
インタビュアー:話は少し戻りますが、ACROVE社と東海支社が出会ったきっかけはどのようなものでしたか。
日本郵便 東海支社 大島:正直、出会いは最悪でした(笑)。
当社の愛知の営業本部が地元のメーカーと商談していた際に、出荷作業を東京の倉庫会社にアウトソースしていることが分かり、物流を当社のLSC(Logistics Solution Center:物流ソリューションセンター)に移管することでお客様と合意したところ、本社からストップがかかりました。日本郵政キャピタルが投資しているACROVEが受注関係を受託しており、倉庫会社もACROVEさんが関係しているから「勝手に動くな」と言われました。
我々としては困った限りで時間だけが経過をしてなかなか前に進めない中、ACROVEの中村さんが中部支店長として名古屋に赴任されたとお聞きしました。そこで本社経由でACROVEの名古屋支店長を紹介してくださいとお願いし、中村さんにお会いいたしました。お会いしたところ話が大変盛り上がり、ACROVEという企業にすごく興味が湧き、物流ソリューションセンター長の前山も含めたディスカッションにつながっていきました。
流通には、物流・商流・金流の3つがあるといいますが、日本郵便は商流に弱いところがあり、商流に強いACROVEとの連携は、補完関係を築くことが出来ると思いました。また
ACROVEさんと当社のラストワンマイルの物流網は特に親和性も高いことがわかり、早い段階で優良なパートナー企業として見るようになりました。
インタビュアー:ACROVE社というスタートアップとの取り組みは、いつもと違うものでしたか。
日本郵便 東海支社 大島:はい、全然違うものでした。とにかく営業に対するフットワークが素晴らしいです。コミュニケーション面もオンライン・ツールを駆使してスピーディです。案件毎の提案書も驚くほど速く仕上げてくるので、当社としても正直「付いていくのが精一杯」という場面もありました。ACROVEさんとの共同営業のスピードが速いと顧客側の判断も速くなり、受注確率も確実に上がっていると思います。
日本郵便 東海支社 前山:わたしも営業に同行することがありますが、ACROVEさん独自の知見や経験を一緒に聞くことが出来、大変勉強になっています。そして、その先にはシナジー、共創があるわけです。
インタビュアー:ACROVE社から見て、日本郵便との取り組みは、いつもと違うものでしたか?
ACROVE中村:ご承知おきの通り、日本郵便のネットワークはすでに日本全国に広がっています。わたしは営業出身なので身に染みて感じるのですが、わたしたちのようなスタートアップが日本全国を営業するとなると何年かかるか分かりません。すでに全国のネットワークがそこにあるというのは、非常に大きいです。そして、次に日本郵便というブランド、信頼です。スタートアップが単独で営業先をドアノックするのと、日本郵便と一緒にドアノックするのでは、結果が大きく違います。
両社の今後の狙いと拡がり
インタビュアー:非常にうまく連携が進んでいるようですが、今後、拡大したい取り組みはありますか。
日本郵便 東海支社 大島:今年度までは、EC通販を中心とした業種に営業を仕掛けていましたが、今後はいままでなかった業種にも拡げていきたいと思っています。例えばB2B領域になります。当社の強みは郵便物の物流網を活用した、薄物や小型の荷物になりますので以前は、B2B領域は当社のみでの営業取組が進んでいませんでした。しかしACROVEのB2B領域における受注業務DXソリューションのシステムなどを活用することで、労働人口減少や人材育成という企業課題を解決することができます。またそのリソース活用で新たに生まれる商流(D2C)を創造し、新しい価値を提供することできます。その先には当社のラストワンマイルの物流網を活用いただき、お客様の商流を広げるお手伝いができるのではと思っています。
ACROVE中村:日本郵便さんとの連携では、大島さんのおっしゃる通り、今年度まではまず「どんどんやろう」というモードでした。今後も継続して、現在展開しているエリアに加え、まだサービスを展開できていない、離島や北海道・中国地方・沖縄の事業者様のお力になりたいと思っています。ACROVEとしては、育成型・事業承継型M&Aを実現し、グループで取扱う商材、業種を拡げていきたいです。売上最大化支援のCX事業では、B2Bに拡大余地が大きいと思っています。CX事業では引き続き日本郵便さんと組むことで、小型の荷物は「ゆうパック」、大型の荷物は日本郵政のグループ会社である「JPロジスティクス株式会社」の輸送網との連携した配送などを行っていきたいです。
日本郵便 東海支社 前山:物流ソリューションセンターというオペレーションを担当しているわたしたちとしては、生産労働人口減少時代に対応する省人化が大きな命題です。マテハン(マテリアルハンドリング:物流関連機器)の領域は日本郵便としても投資領域になっていますし、それに呼応したアップデートは必須要件になってくると思っています。
日本郵便 東海支社 大島:「2024年問題」(トラックドライバーの労働時間制限)をはじめ、生産労働人口の減少など、わたしたちを取り巻く環境は課題だらけですが、物流で解決できる課題も多いと考えています。例えば国土交通省が提唱しているコンパクトシティの発展があれば輸配送の最適化が可能になります。また衛星回線を使った通信網の発展(6G)などにより、長距離輸送の自動運転化なども実現できると思います。また、並行してIOT(Internet of Things:全てのモノがインターネットでつながること)の領域も拡大するでしょうから、ACROVEの得意とするデータドリブンのオペレーション、意思決定の分野においても更に追い風になると考えています。
ACROVE中村:生産労働人口の減少により、物理的な販売形式を伴う小売業の運営のハードルが上がってきます。その代替となるのはECだと思います。そして、生産労働人口の減少の背後にあるのは、高齢化社会になることでしょう。買い物アクセス困難圏の層に対する応援施策としてのECの存在は大きいと思います。ACROVEが取り扱う業種の拡大、対象エリアの拡大を通して、そこをお手伝いできることに、非常に大きな意義を感じています。
あとがき
今回のインタビューを通じて浮かんだのは、ベンチャー投資の領域でも時折出てくる「再現性」という言葉だった。ACROVE社の前身となったアノマ社での施策の再現性を事業化したACROVE社でのCX事業、そのCX事業の要素を取り込んで実現した日本郵便東海支社との連携での再現性、そして、今後の日本郵便の全国の支社における再現性を予感させるものであった。
文/株式会社ディスラプターズ 執行役員 曽根 康司
【会社概要】
名 称: 日本郵政キャピタル株式会社
設 立: 2017年(平成29年)11月1日
所在地: 東京都千代田区大手町2-3-1
代表者: 代表取締役社長 足立 崇彰
事業内容:1.投資業務
2.経営及び財務に関するコンサルティング業務
3.前各号に付帯又は関連する一切の業務お問い合わせ先
公式サイト: https://www.jp-capital.jp
【問い合わせ先】
広報担当者
e-mailアドレス: press@jp-capital.jp
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