『逆襲のシャア』のラストは結局どういうことだったのか 公開から30年経っても続く議論
2018年9月30日(日)9時0分 キャリコネニュース
1988年3月。機動戦士ガンダムシリーズの劇場版作品『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』が公開された。ちょうど今年は映画の封切りから30周年になる。
なるほど、最近になってやけにサザビーのプラモの新作情報やら、幻の機体ナイチンゲールの完成品トイの発売が告知されていたはずである。
この映画、宇宙世紀モノのガンダムが好きな人なら、ほとんどのオタクが観ているはずだ。作品内の時系列的な意味では、アムロ・レイとシャア・アズナブルという長年のライバル関係にあった2人の最後の登場作品である。
タイトルこそシャア推しされているが、実質的には双方が本作の主役になっており、ファースト以来のファンにとっては総決算のような映画と考えてよい。(文:松本ミゾレ)
「生還するわけじゃなく何も解決しないのに、次に繋がる終わりでもない…」
先日、2ちゃんねるに『逆襲のシャアって極めて独特な終わり方だよな』というスレッドが立った。スレ主は、主役2人が生還するわけでもなし、戦争が決着するわけでもなし、何か問題が解決するわけでもなし。これまで何となく受け入れて観ていたものの、特殊なアニメだったと書き込んでいる。
この意見に賛成だという人って案外多いんじゃないだろうか。僕もこれまでに何度も観返している。ただ、この映画はそれ以前のガンダム作品とは尺がそもそも違う。完全に第二次ネオジオン抗争を描き切ることは、最初から目指していなかったようには思える。
あくまでもこの作品の主軸はアムロとシャアの退場劇なので、あの結末はあれはあれで正解だと考えている立場だ。
ニュータイプでもわかり合うのは難しい 2人は消息不明ということの是非
それでは、スレッドに寄せられた書き込みを紹介したい。
「アムロはあれで死んだのは間違いないだろう。シャアのエゴ(アクシズを地球に落下させる)に付き合わされて死んだ」
「まぁ逆シャアって新規にオススメは出来ん作品ではある。初めて見たら『は?』な印象で終わる」
「アムロとシャア最後の対決と期待して見に行ったらそんなに面白くなかった記憶が」
「誰が作ったのかどうして動くのかもよく分からない謎のサイコフレーム」
受け止め方はまさに千差万別といった具合で、ネガティブな意見も結構目に付いた。元々本作って、1986年から87年まで放送されていた『機動戦士ZZガンダム』終盤でシャアが台頭するというシナリオが用意されていたのに、土壇場になって映画で決着を設けることになったという経緯を持つ。
監督・脚本の富野由悠季にしてみれば、果たしてどんな胸中で制作していた作品だったのか。これについては色々と思いを馳せてしまう部分があるオタクも多いだろう。
後年に制作されたガンダムシリーズには、シャアそっくりなキャラクターも登場こそしているが、あくまでもシャアもアムロも、この作品を最後に以降の年代には登場しない。となると、終盤でアムロがアクシズを食い止めようとしつつもシャアとの口喧嘩の最中に消息不明になるというのは、なんだか皮肉というか「結局分かり合えないまま死んだのか」と虚しい気持ちになるのはたしかだ。
だけどこれって富野ガンダムにはよくあるもので、ニュータイプ同士だってなかなかお互いを完璧に理解できないという描写は珍しくなかった。ではどうしたら完全に理解しあえるのかというと、これはどちらかが死ぬしかなかった。
本作の場合、両者は消息不明で幕を閉じる。が、普通に考えれば死んでいるはず。となるとお互いに肉体とエゴから脱したと考える余地が生まれる。個人的には、精神だけのシャアとアムロは、その後地球圏をさまよっていたララァの魂とも融合をしていったのではないかと思っている。
描写の先にどういった展開が起きているのかを想像しやすいという点では、本作のクライマックスもそこまで悪くないんじゃないだろうか。
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