「ごみが少ない」万博支える未来の技術…清掃アプリ活用・「ごみ箱ロボ」自動走行
2025年4月29日(火)23時0分 読売新聞
大阪・関西万博の会場で、スマートフォンのアプリを使ってごみや汚れた場所を把握し、速やかに清掃する仕組みが活用されている。自動走行の「ごみ箱ロボット」も導入され、最新技術が万博のイメージアップに貢献している。(山根彩花、石渕譲)
万博会場の面積は東京ドーム33個分相当の約155ヘクタールに及ぶが、来場者からは「ごみが少ない」と評価する声が聞かれる。米国から訪れた男性(62)は「会場がとてもきれい。日本の文化だと思う」とたたえた。
会場の清掃を担うダスキン(大阪府吹田市)など5社が導入したのが、GPS(全地球測位システム)機能を用いた専用アプリだ。巡回役がごみや汚れのある場所や写真をアプリ内の会場マップに登録。リーダー役が清掃スタッフを現場へ向かわせる。「未対応」「対応中」の状況もわかる。
ダスキンの松山敦・コントラクト推進室長は「『未来社会の実験場』が万博のコンセプトなので、清掃でもデジタル技術を取り入れた。会場の隅々まで『きれい』と感じてもらえるように取り組んでいく」と話す。
大屋根リング(1周約2キロ、高さ20メートル)の遊歩道では、「ごみ箱ロボット」が、人が歩くよりもゆっくりした速度で進む。全長1・3メートル、高さ1・2メートルの箱型で、側面に燃えるごみやペットボトルなどを分別して回収するための投入口がある。
3次元の立体地図や測位技術を組み合わせて自動走行。内蔵したセンサーとカメラが周囲の状況を確認し、衝突を防ぐ仕組みだ。水〜金曜日の午前10時〜午後4時、リング上を1日1〜2周している。大阪府東大阪市の会社員女性(49)は「かわいらしい。ごみ箱が近づいてきてくれるのはおもしろいですね」と話していた。
開発した三菱電機(東京)は、万博でのテスト結果を分析し、イベント会場やリゾート地で手荷物を運んだり、広告を掲載したりする用途でも使いたい考えだ。