「ショート動画」で国会審議解説、政策課題をAIで抽出…参院選支持拡大へSNS活用模索
2025年5月2日(金)8時54分 読売新聞
参院選
夏の参院選に向け、与野党がSNSやAI(人工知能)を使った支持拡大策に取り組んでいる。昨年の衆院選で議席を増やした国民民主党がSNS活用では先行しており、各党は新たな打ち出しを模索している。動画投稿などで政策の拡散や支持層の掘り起こしを図るが、政策本位の冷静な発信を求める声もある。(田ノ上達也、山本貴広)
自民党の松山政司参院幹事長は4月22日の記者会見で、「街頭演説をやりながら、SNSも使い、あらゆる手法で多くの国民に政策を訴えたい」と述べ、従来の活動に加えてSNSを使った発信を強化していく考えを強調した。
自民党は参院選や東京都議選を見据え、
国民民主党は引き続き、党首自らがSNSを駆使し、若者を中心とした無党派層をターゲットに支持拡大を狙う。昨年の衆院選では「手取りを増やす」をキャッチフレーズに、玉木代表の記者会見などを短く編集した「切り抜き動画」の拡散が奏功し、政策の浸透につながった。
参院選に向けても、就職活動がバブル崩壊の影響を受けた「就職氷河期」をテーマに、ユーチューブの党公式専用チャンネルを開設した。同党の榛葉幹事長は4月25日の記者会見で、SNSの活用に関し、「PRにとどまらず、多くの人とつながるツールだ」と述べ、今後も重視する姿勢を示した。
公明党も動画活用に注力する。4月24日の党中央幹事会で、政治資金収支報告書に不記載があった自民議員3人を参院選で推薦することを決定した際、SNSで批判が相次いだ。西田幹事長は動画投稿サイト「ユーチューブ」の党公式チャンネルを説明の機会として利用し、翌日の25日に公開した動画で、「全ての候補を無条件に推薦するわけではない」と語った。
立憲民主党は有権者の意見から政策課題をAIで抽出する「りっけんAI井戸端会議」(仮称)と呼ぶシステムを取り入れる。数百人から数万人規模の参加を想定し、公約への反映を検討する。
拓殖大の河村和徳教授(政治学)はSNSなどの活用について、「有権者が好む情報を優先して発信する恐れがある。話題になりにくい重要政策の発信がおろそかにならないように、注意する必要がある」と指摘する。