13歳少女の「覚醒剤人生」は、“密売所”でセックスに溺れる“クスリ漬けの母”のせいで始まった…“ヤクザの子”が振り返る「衝撃人生」
2025年5月4日(日)18時0分 文春オンライン
〈 火遊びで家が全焼、煙草とシンナーは小学生から常習…虐待されて育った“13歳の少女”が義兄にレイプされながら「考えていたこと」 〉から続く
国家から「反社会的組織」と定義されている暴力団。その構成員や準構成員の家族、とりわけ子どもはどのような人生を過ごし、大人になっていくのか。『 ヤクザの子 』(石井 光太著、新潮社)から、16歳の風俗嬢とヤクザが不倫した末に生まれた赤塚未知のケースをお届けする。なお、登場する証言者やその関係者は、身に危険が及ぶことを考慮して全て仮名にしている。(全3回の3回目/ 1回目を読む / 2回目を読む )

◆◆◆
千葉市内の住宅地に建つごく普通のマンションが、稲川会の若い衆の部屋住み用の寮だった。2LDKの部屋には、数名の構成員が暮らしていたが、他にも様々な人間が出入りしていた。構成員たちが覚醒剤の密売をしていたため、密売人たちが仕入れに来たり、クスリ漬けにされた女性たちが、セックスと引き換えに無料で覚醒剤をもらいに来たりしていたのだ。
未知は「ヤバいところに来た」と思ったが、義母に虐待されたり、義兄にレイプされたりするよりはマシだった。慣れとは恐ろしいもので、1週間も経てば、個室から聞こえてくる女性の喘ぎ声や、床に転がる注射器を何とも思わなくなった。
数週間が経ったある日、未知はマンションで仲間とともにシンナーを吸いながら幻覚を楽しんでいた。別の部屋からは、もう1時間以上も女性の大きな喘ぎ声が響いていた。覚醒剤をつかった乱交は毎日のことなので何とも思わなかったが、あまりに声が大きく耳障りだった。
「ったく、どこのバカ女だよ。ヒーヒーわめきやがって」
未知はシンナーを手にして仲間たちとつぶやいていた。
数十分して部屋のドアが開くと、半裸の女性が出て来た。20代の後半だろうか。髪はボサボサに乱れ、目の瞳孔が開き、全身から汗が噴き出している。
覚醒剤中毒の女性は、母親だった
一目見て覚醒剤中毒だとわかった。女性は通り過ぎようとしたが、ふと未知の前で立ち止まった。顔を覗き込んで来たかと思うと、呂律の回らない声で言った。
「あんたさー、さっきダチに『ミチ』って呼ばれてたよなー」
「だったら、なんだよ」と未知は答えた。
「もしかして、あんたの親父って住吉会の敏夫?」
稲川会のマンションで、住吉会の名を出されたので血の気が引いた。未知は言った。
「あんた誰なんだよ」
「うちが先に訊いたんだから、まずそっちから答えるのが筋だろ!」
「答えてやるよ。敏夫は私の親父だよ。それが何だ」
女性はニヤリと笑った。
「そっか。敏夫、元気か?」
「知るか。もうあの家は出たんだ。大体、あんた誰よ」
「うち? あんたの母親だよ」
「は?」
「あんたの母親だっつってんだろ! 紹子つうの。敏夫から何も聞いてねえの?」
「まだアンパンなんてやってんだ。クスリはやらねえの?」
あまりに突然のことで、未知は頭が真っ白になった。2歳の時に敏夫に引き取られたため、実母の紹子のことはまったく記憶になかったので、このような形で再会するとは想像もしていなかった。何より、母親がこんなに壊れた女であることに愕然とした。 紹子は、未知がシンナーを手にしているのを見て言った。
「あんた、まだアンパンなんてやってんだ。クスリはやらねえの?」
未知は覚醒剤は未経験だった。母親は馬鹿にしたようにゲラゲラ笑いはじめた。
「まだガキだな。怖いのか」
「そ、そうじゃねえよ」
「ポンプ(注射器)が怖いなら、飲めばいいじゃん。つくってやるよ」
紹子は覚醒剤を取り出し、その場でシロップに溶かしてジュースにした。未知もここまでされて引くわけにはいかない。「飲んでやるよ」と言って一気に飲み干した。
こうして「覚醒剤人生」が幕を開けた
最初は何も感じなかったが、少しして頭がキーンと音を立てはじめた。やがて全身が鳥肌立ち、すさまじい高揚感に包まれた。自分が巨人か神に変身したような感覚だった。
紹子は言った。
「すげえ気持ちいいだろ。これであんたも共犯だな。ポンプの方がずっと効くから、今度はそっちでやってみろよ」
そう言って注射器を差し出した。血管に直接流し込めば、どれだけの快楽を手にできるのか。未知は迷わずにシャツの袖をまくり、腕を差し出した。
これが地獄の入り口だった。13歳から30年以上にわたる覚醒剤人生が幕を開けたのである。
(石井 光太/Webオリジナル(外部転載))
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