井上尚弥「僕が殴り合いが好きだと証明できた。楽しかった」 ラスベガス大歓声 鼻血&ダウンも逆転KO!
2025年5月5日(月)12時49分 スポーツニッポン
◇プロボクシング 世界4団体スーパーバンタム級タイトルマッチ 統一王者井上尚弥(大橋)<12回戦>WBA同級1位ラモン・カルデナス(米国)(2025年5月4日 米ネバダ州ラスベガス T−モバイル・アリーナ)
世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(32=大橋)が21年6月以来、4年ぶり3度目のラスベガス凱旋を逆転KO勝利で飾った。挑戦者のWBA同級1位ラモン・カルデナス(29=メキシコ)を8回45秒、TKOで破り、プロデビューから30連勝で4団体王座4度目の防衛に成功。世界戦通算23KO勝利は伝説のヘビー級王者ジョー・ルイス(米国)の記録を約77年ぶりに更新する歴代最多で、世界戦25連勝は元世界3階級制覇王者フリオ・セサール・チャベス(メキシコ)らに並び歴代3位となった。
試合後、井上はリング上で「みなさん、きょうの試合を見ていただければ、僕が殴り合いが好きだということは証明できたと思います。すごく楽しかったです」と話した。
いつもの好戦的なスタイルではなく、ガードを固めてディフェンシブなカルデナスに対し、井上は1回、高速ジャブを次々と突き刺した。2回からはカルデナスが積極的に出て、右クロスをもらった井上が鼻から出血。ラウンド終盤にはカウンターの左フックをもらった井上が、昨年5月のルイス・ネリ(メキシコ)戦以来2度目のダウンを喫し、会場がどよめいた。
2回のダウンは「非常に驚きましたけど、冷静に組み立て直すことができました。1ラウンド目を終わって、微妙に距離は調整できたかなと思ったんですけど、2ラウンド目でちょっとずれがあったので、3ラウンド目からは絶対にもらわないようにしっかり」と距離感を修正していったことを明かした。
場内のざわつきが収まらない中、井上はバックステップも使いながらワンツーを主体に反撃。4回には左フックやボディーを交えて流れをつかんだ。5回にボディーでカルデナスの動きが止まり、6回には猛攻をかけてコーナーに追い詰め棒立ちにさせた。7回、ついに右ストレートでダウンを奪うと、8回に一気に仕留めた。
「非常にタフな相手でした。オッズ的にはかなりの差があったと思うんですけど、相手は必死に倒しに来た。ボクシングはそんなに甘くないと痛感しました」
ボクシングの大型興行が恒例行事となっているメキシコの祝日「シンコ・デ・マヨ(5月5日)」の週末。今年はスターが続々と参戦する3日連続興行となったが、2日(日本時間3日)はニューヨークで元WBC世界ライト級暫定王者ライアン・ガルシア(26=米国)が0—3判定負け。3日(同4日)にはサウジアラビアでスーパーミドル級王者サウル・”カネロ”・アルバレス(34=メキシコ)が3—0判定勝ちで2度目の4団体王座統一成功も、凡戦に終わっていた。「きのう、おとといと試合の賛否両論はありますけれども、僕が一番盛り上げることができたんじゃないかと思います」。“大トリ”の井上が米国のファンを納得させた。
プロデビューした13年以来12年ぶりの年間4試合を見据える今年、順当に2戦目をクリア。次戦は9月にWBA同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(30=ウズベキスタン)戦、12月には1試合限定でフェザー級に上げてWBA王者ニック・ボール(28=英国)との対戦プランが進められている。さらに来春、東京ドームでWBC世界バンタム級王者の中谷潤人(27=M・T)戦も計画されている。
今後について「次は9月にムロジョン・アフマダリエフと戦います」とし、ラスベガスでの戦いに「非常に待ち望んでくれたファンの方が多くいると感じました。みなさん、楽しんでいただけたら、またアメリカで試合をしたいと思います」と話すと大歓声に包まれた。