紫外線量の増加で皮膚がん発症リスクも上昇? 早い時期からの紫外線対策を

2024年5月17日(金)5時10分 ウェザーニュース

2024/05/17 05:00 ウェザーニュース

5月はじめには全国各地で真夏日が記録されました。初夏とは思えない強い陽射しに、紫外線の影響も心配になります。
ウェザーニュースで「今年もう日焼け止めを塗っていますか?」というアンケート調査を実施したところ、男性は「年中塗っている」2%、「もう塗っている」が12%だったのに対し、女性はそれぞれ34%、33%とすでに多くの人が紫外線対策を始めているようです。

「初夏は、肌のためにも紫外線対策を万全にしたいとき」野村皮膚科医院(横浜市神奈川区)院長の野村有子先生は注意を促します。盛夏以外でも紫外線対策が必要な理由、紫外線の影響について教えていただきます。

5月の紫外線はあなどれない

紫外線の強さは、時刻や季節、天候、オゾン量などによって大きく変わるものですが、春から夏にかけては地上に降り注ぐ紫外線量がどんどん増える時期です。
UVインデックスとは、紫外線が人体に及ぼす影響の度合いを指標化したものですが、3〜5の「中程度」と6〜7の「強い」では、日中はできるだけ日陰を利用し、長袖シャツ、日焼け止め、帽子を利用することがすすめられています。

「夏を思わせるような気温に、薄着になる人を多く見かけます。しかし、冬から春にかけては紫外線に当たることが少なかったため、体は紫外線に対して抵抗力がまだ低い状態です。
もともと、皮膚は厚さが1mmにも満たないほど薄く、とてもデリケートな部分です。無防備に紫外線にさらしてしまえばダメージを受けてしまいます」(野村先生)

紫外線のダメージとは

紫外線による皮膚への影響というと、日焼け、シミ、しわなどが思い浮かびます。
「地上で人が浴びる紫外線には、波長の長いUV-Aと波長が短めのUV-Bの2種類があります。UV-Aは地上に降り注ぐ量が多く、雲や窓ガラス、衣服などを通り抜けやすい性質をもっています。皮膚の奥まで到達するため、真皮(しんぴ)のコラーゲンを傷つけてしわやたるみの原因となります。
一方、UV-Bはオゾン層や雲などに遮(さえぎ)られて地上に届く量こそ少ないですが、エネルギーが強く、赤くなる日焼けのサンバーンやシミ、ソバカスの原因となります」(野村先生)

皮膚がん発症のリスクにも!?

皮膚に紫外線が及ぼす影響は日焼けなどだけではありません。
「紫外線は皮膚の遺伝子にもダメージを与え、人の健康へ影響を及ぼすおそれがあります。
シミやシワなどができるメカニズムにも、繰り返し浴びている紫外線により遺伝子の変異や、遺伝子の働きに異常が生じることが関わっているとわかってきています。光老化と呼ばれ、加齢による老化と違って顔面や手の甲など、太陽の光をよく浴びるところで生じやすくなります。
また、紫外線による遺伝子へのダメージは、皮膚がん発症のリスクも増加させてしまいます。皮膚がんの発症には様々な要因がありますが、紫外線の影響も大きいとされています。これまで日本人は皮膚がんは比較的少なかったのですが、年々増加傾向にあります」(野村先生)

「こちらのグラフを見てもわかるように、1997年頃と比べても、近年は紫外線量が増えています。オゾン層の破壊などにより、地上に届く紫外線量が増加すると、皮膚がんの発症も増えることが危惧されているのです。
紫外線は人類や生物にとってとても大切なものですが、健康な肌を守るためには、しっかり防ぐ必要があります」(野村先生)

早めの紫外線対策が大切

紫外線は夏以外の季節も、ビーチやアウトドアだけでなく日常生活のなかでも浴びてしまうものです。
「毎日の生活のなかで、日焼け止めを適切に使うことは必須です。ちょっとした外出はもちろん、洗濯物干し、ゴミ捨て、窓越しの光などでも気づかないうちに紫外線を浴びてしまっています。
日焼け止めは、顔だけでなく露出しているすべての部位に使いましょう。メーカーの推奨する適量を守り、丁寧に塗り伸ばします。
ベタベタするのが苦手、あるいは日焼け止めで肌が荒れるという人もいますが、今は様々なタイプが選べます。保湿剤などで肌を整えた上で、ローションタイプ、クリームタイプ、スプレータイプなど好みのものを使うといいでしょう。
雨や曇りの日でも意外に紫外線量はありますので、油断しないことが大切です」(野村先生)
爽やかな季候の5月は屋外での活動も多くなりますが、紫外線についても忘れないようにしましょう。
参考資料
WHO「Global solar UV index-A practical guide-2002」

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