公表されない「待ち時間」、わかりやすい会場地図…来場者で共有「万博協会に集約してほしい気持ちも」

2025年5月27日(火)14時33分 読売新聞

待ち時間の表示が置かれたカタール館。来場者はこうした情報をネットで発信している(大阪市此花区で)

 大阪・関西万博の来場者が、パビリオンの待ち時間などの便利情報をインターネットで発信している。情報を集約したサイトや、わかりやすい会場の地図も共有され、万博を効率よく楽しむために来場者同士が助け合っている。(中山真緒、猪原章)

協会は公表せず

 「シンガポール10分で入れました」「ちょっと前イタリア4時間」——。静岡県内の会社員男性(29)が4月上旬に作ったサイト「万博GO」では、各パビリオンの待ち時間が一覧で表示され、来場者の書き込みや投稿時間も閲覧できる。

 ネット上のコミュニケーションサービス「ディスコード」に来場者が投稿した情報を集約しており、アクセス件数は、1日約5万件に上る。1日の来場者数が増加し、会場内の混雑が深刻化していることを受け、待ち時間を知りたいというニーズは高まっている。

 サイトを使う大阪府富田林市の会社員女性(39)は「アメリカ館が2時間待ちと知って列に並ぶのを諦め、別のパビリオンに切り替えた。効率よく回ることができるのでありがたい」と話した。

 万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)は、パビリオンの待ち時間を公表していない。担当者は「どれくらい並ぶかをどのように来場者に伝えるかの運用は、各館に任せている」と説明する。入り口で待ち時間を掲示しているパビリオンもあるが、万博会場は広く、全体像を把握するのは難しい。

 サイトを作った男性は取材に対し、「万博協会に集約してほしい気持ちもある」としつつ、「万博をみんなで作り上げて成功に導いていく感覚で、楽しい」と語った。

180万回閲覧

 来場者による情報発信は、ネット時代に開かれる万博特有の現象といえる。

 パビリオンの見所や混雑度などをまとめた表を「takacho_01」のアカウントでX(旧ツイッター)に公開しているのは、同府箕面市の会社員男性(35)だ。

 ファミリー層や修学旅行生などの区分けごとに、どのように楽しめるかなどが書かれており、訪れるパビリオンを決めるのに便利と好評。5月11日から10日間で約180万回閲覧されたという。

 男性は「公式の発信が少なく、情報収集に疲れて自分用にまとめたものを共有した。同じような人が多く、役に立ててよかった」と話した。

 このほか、パビリオンが予約制かどうかや給水器の場所などを書き込んだ会場地図もSNSで公開され、印刷して持ち歩く来場者も多い。

 地図をプリントアウトして会場を訪れた大阪市の会社員(55)は「公式アプリだと地図を拡大して表示させないとどのパビリオンかわからないが、SNSにある地図はパビリオンの名前と場所が一目でわかる」と歓迎する。

インスタで助言

 大阪府豊中市の主婦(45)は、インスタグラムで万博について投稿している複数の人とやりとりし、効率的な回り方などの助言を受けている。

 入場時の待ち時間について尋ねたところ、「極力待たないためのオススメは予約枠(の開始時間)よりも後に行くことです」と返信をもらった。例えば、午前10時の予約なら10時半に行けば待ち時間が少ないと助言されたという。

 この女性は「詳しい人に教えてもらえるのはすごく助かる。『万博を一緒に楽しみましょう』という優しさを感じる」と話した。

 万博協会幹部は「一般の方がわかりやすい情報を発信していることは把握している。協会としても費用や優先順位を考えて、できることをしていきたい」と述べた。

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