「指示はしていない」「大変残念」斎藤知事、情報漏えい疑惑を全否定 元県民局長の私的情報削除は一転、申請

2025年5月29日(木)16時0分 J-CASTニュース

兵庫県の井ノ本知明元総務部長が元県民局長の私的情報を兵庫県議らに漏らしていた疑惑について、調査していた第三者委員会は2025年5月27日、最終報告書を公表した。元総務部長が県議3人に漏えいしたと認定し、「斎藤知事らの指示があった可能性が高い」と結論付けた。

斎藤知事は、28日の登庁時に「第三者委の指摘は一つの指摘だが、昨日から述べている通り、漏えいに関する指示はしていない」と報告書の内容を正面から否定した。

第三者委:斎藤知事の証言の採用は困難と結論

28日の定例記者会見では、知事の証言と同席した元副知事や県幹部の証言に食い違いがあり、第三者委が知事の「情報漏えいを指示していない」とする証言の採用は困難と結論付けたことに質問が集中した。

斎藤知事は「答えるべきところをきちっと答えているつもり。それが全て」と語った。その上で、記者から知事の発言が信用されていないという判断をされていることに対し、重ねて認識を問われ、「私が答えさせていただいたことが伝わってないことは大変残念」と述べた。

また、辞職については「県民の皆さんに対して県政をしっかり前に進めていくということが、私の大事な役割だと思う」(27日の記者団の取材)と否定した。

報告書によると、元総務部長は24年4月、兵庫県議3人に対して、私的情報の一部を紙に印刷したり、口頭で説明したりしたという。その行為を行った理由について、元総務部長は「知事及び元副知事の指示に基づき総務部長の職責として正当業務を行ったに過ぎない」との弁明書を25年2月に提出している。

第三者委が調査を行う中、知事は指示を否定し、同席した元副知事や県幹部は元総務部長に沿う証言をしたことから、第三者委の工藤涼二委員長は27日の会見で「知事、元副知事の指示により、(議会への)根回しの趣旨で情報漏えいを行った可能性が高いと判断せざるを得ない」と説明した。

県は、27日付で元総務部長を停職3か月の懲戒処分とした。

自身の具体的な処分に初めて言及

これまで斎藤知事は、別の第三者委で元県民局長への対応は公益通報者保護法に違反することや職員へのパワハラを認定された際、自身の処分について「しっかりと襟を正して研修などを受けながら、風通しのよい職場作りに向けて尽力していく。それが私の責任の果たし方だと考えている」(3月27日定例記者会見)などと述べて、自身の処分はしない姿勢を見せていた。

一方、27日の記者団の取材に対して、自身の処分について初めて言及。翌28日の定例記者会見では、県が保有していた情報が漏えいしたことに対して「組織の長として一定の責任を感じている。自らの処分をしていきたい」と発言。具体的には「給与カットというかたちで対応をさせていただきたい」と言及した。そして、給与カットに関しては条例を改正する必要があるとし、「その準備を含め、どのようなスケジュール感、内容でできるかを今検討しているところ」と述べた。

また、NHK党の立花孝志氏らがインターネット上に公開した元県民局長の私的情報の削除要請についても、斎藤知事は過去の定例記者会見で「法的なハードルが高く、難しい」と発言。消極的な姿勢を見せていたが、県は27日、YouTubeとXを運営する事業者2社に対して、投稿の削除を要請したことを明らかにした。斎藤知事は27日、記者団に対して「法的な整理も一定必要だということもありましたので、弁護士さんなどと相談しながら、一定整理できたということで削除の申し出について本日させていただいた」と説明した。

私的情報暴露の「わいせつ文書」発言は軌道修正せず

元県民局長の私的情報をめぐっては、斎藤知事が「倫理上極めて不適切なわいせつな文書を作成されていた」(3月5日の定例記者会見)と発言した。一方で、第三者委は、地方公務員法で「保護されるべき秘密に該当する」と認定。

記者から、知事自ら私的情報を暴露した発言は撤回しないのか問われると、斎藤知事は「これまで申し上げている通り、新たな状況が生じたということで発言させていただいたと説明している」と述べ、発言に問題なかったという姿勢を崩さなかった。

そして、元県民局長への処分の撤回しないのかを問われると、「元県民局長への対応は適切だった」と従来通りの主張を繰り返した。

お笑いコンビ「ロザン」の宇治原史規氏は、27日の毎日放送「よんチャンTV」に出演して、斎藤知事の問題についてこう言及した。

「兵庫県の問題の中で非常に残念ながら命が失われた。そういうことがあったからといって、最初の告発文が全部正しいという風に伝えてはいけないし、受け取ってはいけない。反対方向の話として、告発した方が職務上であったり、何か私的なことで何か言われるようなことがあったとしても、告発文の内容の信ぴょう性には何も影響がない。これも印象操作をしてはいけないし、受け取る側も冷静に受け取らないといけない」

J-CASTニュース

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