大型で非常に強い台風10号、今夜九州最接近 猛烈な風に警戒
2020年9月6日(日)6時30分 ウェザーニュース
2020/09/06 06:17 ウェザーニュース
9月6日(日)5時現在、大型で非常に強い台風10号(ハイシェン)は鹿児島県の奄美大島の南東を北上しています。南大東島地方気象台では昨夜21時38分に東の風51.6m/sの最大瞬間風速を観測しました。
台風は今後も勢力を維持して、今日昼頃に奄美地方に、今夜遅くに九州地方に最接近する見通しです。九州には特別警報の発表基準に達した状態で接近する見通しで、近年にない大規模な災害が発生しうる状況です。暴風が吹き始めてからでは避難ができませんので、躊躇せず避難するようにしてください。
▼台風10号 9月6日(日)5時
存在地域 奄美大島の南東約220km
大きさ階級 大型
強さ階級 非常に強い
移動 北 20 km/h
中心気圧 920 hPa
最大風速 50 m/s (中心付近)
最大瞬間風速 70 m/s
最盛期の勢力のまま九州接近へ
衛星画像 ひまわりリアルタイムWebより
台風10号は発達のピークとなっています。高い海水温や、弱い上空の風などの条件が整っていることから、台風はこの先も勢力をほとんど維持したまま北上する見込みで、九州に接近する台風としては異例の勢力といえます。
一昨年、関西国際空港が高潮で浸水するなど大きな被害をもたらし、近年最も強い勢力で上陸した2018年台風21号でさえ、上陸時の中心気圧は950hPaでした。今回の台風10号は920hPa程度での接近が予想されるため、直撃を免れたとしても甚大な被害が出ることは想像に難くありません。
風速25m/s以上の暴風域に入る時刻は、鹿児島県の奄美地方では今日6日(日)の明け方から、屋久島では昼頃から、鹿児島では夕方から、長崎では夜遅くからになる見通しです。
九州では暴風や高波、高潮、大雨の危険性が極めて高く、気象庁は特別警報の発表についての見通しを発表しています。台風が予報通りに進めば、気象庁は暴風・波浪・高潮の特別警報を発表するとしています。鹿児島や長崎では、これまでに経験したことのないほどの暴風が吹くおそれがあるため、特別警報の発表を待たずに避難するようにしてください。
▼台風等を要因とする特別警報の発表基準は以下のとおりです。
・本州、九州など
中心気圧930hPa以下または最大風速50m/s以上(「伊勢湾台風」級)
・沖縄、奄美
中心気圧910hPa以下または最大風速60m/s以上
家屋や電柱の倒壊、大停電、土砂災害、高潮による港湾施設の被害など懸念
台風10号による停電リスク予測
台風10号では記録的な暴風が予測されます。最大風速50m/sという予報は、時速180kmで家が走っている様子を想像しようとすると、事の重大さが実感出来るかもしれません。
家屋の倒壊や自動車の横転、電柱や鉄塔の倒壊による大規模停電、倒木や大雨による土砂災害による交通麻痺、大雨による土砂災害、高波や高潮による港湾施設の流出など、数え切れないほどの被害が予測されます。
あらゆる災害に備えて、まずは身の安全を守り抜くことを第一に考え、台風が過ぎ去るまで安全な場所で過ごすようにしてください。
台風の名前
台風の名前は、国際機関「台風委員会」の加盟国などが提案した名称があらかじめ140個用意されていて、発生順につけられます。
台風10号の名前「ハイシェン(Haishen / 海神)」は中国が提案した名称で、文字通り海の神という意味です。