「偏差値マイナスから東大理III合格」勉強が大っ嫌いで宿題もしなかった元ビリ小学生の驚きの勉強法

2025年2月27日(木)10時15分 プレジデント社

出典=『医学部進学大百科2025完全保存版』(プレジデントムック)

東大医学部6年生で、「東大王」(TBS系)でクイズプレーヤーとしても活躍していた河野ゆかりさん。実は勉強嫌いだったという小学生時代から、いかにして医学部の最高峰に合格したのか。独自の勉強法を語ってくれた——。(前編/全2回)

※本稿は、『医学部進学大百科2025完全保存版』(プレジデントムック)の一部を再編集したものです。


出典=『医学部進学大百科2025完全保存版』(プレジデントムック)

■寸暇を惜しんで遊ぶ! わんぱく系小学生


小学生のころの私は、絵に描いたようなわんぱくな子供。休み時間になると真っ先に校庭に駆け出しては木登りしたり鉄棒をしたり。元気がよすぎてケガをすることも日常茶飯事でした。


家庭学習の習慣はまったくなく、学校の宿題は通学の電車内ですませるのがマイルール。というのも、本来遊べたはずの時間を勉強に費やすのが嫌だったから。「どうせ遊べない移動時間に終わらせればムダがない」と考えたのです。


とにかくできるかぎり遊んでいたい、勉強はしたくないという子供でした。幼なじみに誘われて小学校4年生から進学塾浜学園に通い始めますが、塾に入ったからといって勉強嫌いは変わりません。テキストの表紙に「うんこ」と落書きをする始末で、宿題もほとんどやった記憶がありません。


当然ながら、万年下位クラスでビリ争いの常連。偏差値で驚異の「マイナス」を叩き出したこともありましたが、恥ずかしいとも思っていませんでしたね。


そんな私を見て、母は相当気をもんだようです。「ちゃんと勉強しなさい」と口すっぱく言われましたが、当の私はどこ吹く風。怒られたくない一心で答えを書き写したり、「やったよ!」と苦しまぎれの嘘をついたりもしましたが、すべて母に見破られてはこっぴどく叱られる。そんな典型的な「勉強嫌い小学生」だったんです。


■積み重ねの重要性を痛感し、計画的な勉強にシフト


転機が訪れたのは6年生の秋ごろ。私は通っていた小学校から付属の中学校に進学するつもりだったのですが、中学受験をする友人たちも浜学園に通っていました。本気で勉強していた子たちから、成績のことでバカにされたことがあったのです。ここで、生来の負けん気に火がつきました。「なにクソ!」という気持ちで勉強に取り組み始めたのです。


ところが、いかんせん小学校生活のほとんどを遊びに費やしてきた私です。ちょっとやそっとがんばったところで、何年もコツコツと努力をしてきた子たちには追いつけるわけがありません。結果、クラスを四つほど上げることはできましたが、見返すことはできなかったのです。


後れを取り戻すのは、めちゃくちゃ大変! これは、身をもって痛感して得た教訓です。


「中学では絶対に後れを取らない! もう十分に遊んだ! これからはちゃんと勉強して負けない!」


そう自分で決めたことで、中学からは一転して計画的に勉強を進めるようになったのです。


中学入学と同時に、たまたまチラシをもらって、東大・京大・医学部受験専門塾の鉄緑会に入塾。実感したのは「授業を受けて、宿題をきちんとやる」という当たり前を続けていけば、必ず成績は伸びるということです。


入塾当時は最下位に近い成績でしたが、半年後のクラス分けでは上位のAクラスに入ることができました。さらに2年生では最上位のSAクラスにまで上がったのです。



『医学部進学大百科2025完全保存版』(プレジデントムック)

中学受験をがんばった子たちは、希望する学校に入ったばかりで、1年生のうちはまだそれほど本気を出して勉強に打ち込んではいない時期。一方で、私は小学生のころの反省から、宿題やテスト直しはきちんとこなすようにしていましたが、それが功を奏したのだと思います。


それまでは別世界だと思っていた、灘や洛南の子たちとクラスメートとなったのも嬉しかったです。成績上位者として名前が発表されるようになると、そのポジションを死守したいというプライドが芽生えます。「クラスを落としたくない」という気持ちもモチベーションとなり、中高の6年間、中だるみをすることなく、勉強に取り組み続けることができました。


「サボれば落ちる。一度差がついたら取り返すのは大変」


小学生時代に味わった苦い経験のおかげで、慢心せずにすんだ、という面もあるかもしれません。やるべきことが残っている状態で遊ぶことへの気持ち悪さが生まれて、勉強を終えて思い切り遊ぶ習慣がつきました。


■合格の鍵は、勉強時間より「戦略」


高校に進学すると、いよいよ大学受験を意識し始めます。親戚に医療関係者が多かったことや、母と祖母が大病を患ったことなどから、小中学生のころから漠然と医師になりたいという気持ちを持っていました。


中学3年生のときに、若年性アルツハイマーをテーマとした映画『明日の記憶』を見て、難病の治療について考えさせられたのもきっかけの一つです。


医学部を目指すことを決め、そこから志望校の検討を始めました。東大医学部は、全国的に見ても比較的多くの研究費が割り当てられており、東大の付属病院では希少な症例の治療にも数多く取り組んでいます。


鉄緑会内のテスト結果から、「狙えるのでは?」と手応えを得てからは、最高の学びの場に身を置きたいという思いが現実的になり、東大理三を目指すことを決意しました。


ちなみに、鉄緑会内でどのくらいの位置にいるかが、合格確率の指標として最も正確だと思います。実際に私の代は東大理三の新入生100人のうち60人ほどが鉄緑会出身者でした。


出典=『医学部進学大百科2025完全保存版』(プレジデントムック)

志望校を決めてからは、東大理三に照準を合わせた戦略的な勉強を心がけました。


目標設定では、大目標・中目標・小目標を紙にプリントして張っていました。例えば、大目標「東大理三に現役合格する」、中目標「鉄緑会の塾内模試で全科目5位以内に入る」、小目標「毎週の復習テストで満点を狙う」というような感じです。そこから逆算して1日あたりのタスクをリストアップしていました。


さらに、東大理三に合格した人の「合格体験記」でおすすめされている参考書も書き出しました。塾の先生に「このなかだったら、どれがおすすめですか?」と相談して、ベストと思われる一冊を選ぶようにしました。


授業の内容だけでなく、勉強法についても先生たちにアドバイスを求めるのはとても有効だと思います。


「こういう計画で進めようと思いますが、過不足ありませんか?」
「暗記が苦手なのですが、世界史、日本史、地理のうち、一番覚えることが少ないのはどれですか?」


具体的に相談をし、効率的な勉強ができるようにと考えていました。


ちなみに、社会科で私が選択したのは地理。地理は実は暗記科目ではありません。自然、地形、気象の基礎知識があれば、論理的に考えることで類推できる部分が大きい。暗記が苦手な学生におすすめです。


■限られた時間で効率的に! メリハリをつけて勉強


受験は、まさに情報戦です。よく「努力は報われる」と言いますが、正確には「正しい努力は報われる」のだと思います。努力の方向が間違っていたら、どんなに長時間机に向かっていても結果にはつながりません。


やみくもにがんばるより、勉強に使える時間が10あるとすれば、そのうち3は方針の検討や計画立案に費やしたほうがいい。これは受験生のときに教わって、今も変わらずに実践していることです。結果、勉強時間は短くても、効果的に学習内容が身につきました。


綿密なスケジュールを立てるようになったのは、長時間、机に向かい続けるのが苦手なタイプだったということも大きいかもしれません。


朝8時から勉強を始めたとすると、午後3時にはプツッと集中力が切れてしまうのです。だからこそ「3時までに何ができるか」が大事でした。


限られた時間しかないからこそ、効率よく取り組むことが必要だと思って、戦略を考えることに注力したのです。


また、睡眠時間は絶対に削らない、というのも私のこだわり。「寝るのが遅くなると、アホになる」というのが持論です(笑)。疲れた脳でがんばるより朝スッキリとした頭で勉強したほうが効率も上がります。(以下、後編へ続く)


河野ゆかり
東京大学医学部医学科6年生。2000年兵庫県生まれ。神戸海星女子学院小学校から系列の中学高校へ進学。学部2年生からTBSのクイズ番組「東大王」に出演。理系を目指す女子中高生に奨学金を出す山田進太郎D&I財団「STEM(理系)女子奨学助成金」のサポーターも務める。

(プレジデントFamily編集部 構成=浦上藍子 撮影=堀 隆弘 撮影協力=東京大学 伊藤国際学術研究センター内「カメリア」)

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