花粉症の人は気をつけたほうがいい…食べると他のアレルギーを引き起こすおそれがある"赤い野菜"
2025年4月7日(月)7時15分 プレジデント社
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AlexRaths
※本稿は、村川哲也『子どもの一生を決める花粉症対策』(小学館クリエイティブ)の一部を再編集したものです。
写真=iStock.com/AlexRaths
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■栄養バランスの取れた食生活が大事
じつは、腸内環境が悪化すると、花粉症にかかりやすくなったり、重症化するおそれがあります。腸内環境が悪化する原因には、ストレス、加齢などがあげられますが、脂っこい食事や野菜不足も影響するとされています。
腸内環境を乱す食べ物の代表例が、トランス脂肪酸が多く含まれているジャンクフードです。ポテトチップス、ポテトフライ、ハンバーガー、フライドチキンなどは高脂質の上、塩分も多く、食べ過ぎると花粉症になりやすいだけでなく、肥満になるなど体に悪影響を及ぼします。
当たり前かもしれませんが、栄養バランスのとれた食生活を送ることが何よりも大事になります。
そのほかに、花粉症の人が食べると、ほかのアレルギーを引き起こすおそれがある食べ物もあります。
ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で栄養価も高い野菜や果物ですが、意外にも花粉症にとって良くないものがあります。その一つがトマトです。
■トマト、メロン、スイカには要注意
スギやヒノキの花粉症の人がトマトを食べると、唇が腫れたり、口の中がピリピリしたり、のどがイガイガしたりすることがあります。これを「口腔アレルギー症候群」といい、スギやヒノキに含まれるタンパク質と、トマトに含まれるタンパク質が似ているために起こる症状です。
ただし、口腔アレルギー症候群を引き起こすタンパク質は熱に弱く、加熱すると症状が出ないこともあります。ただ、100%出ないわけではないので、少しでも気になる症状が出たら、子どもにトマトを食べさせるのは控えましょう。
次に、気をつけなければならないのは夏においしいメロンやスイカです。スイカは水分が多くカリウムが含まれるため水分補給に適しており、メロンもカリウムのほか、ビタミンC、葉酸など体に良い栄養素が含まれた食品ですが、カモガヤやイネ科の植物の花粉症がある場合は、口腔アレルギー症候群を起こすことがあります。
■食後に「口がヒリヒリしない?」と子どもに聞く
なお、ハンノキの花粉症がある人は、リンゴ、モモ、ナシ、キウイ、メロン、スイカなどで、シラカバの花粉症の人はリンゴ、モモ、サクランボ、ヨモギとブタクサの花粉症の人はメロン、スイカ、セロリなどで、口腔アレルギー症候群が起こることがあります。
写真=iStock.com/K3
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/K3
これらの食品を食べさせるときは、食後に「口がヒリヒリしたりしない?」と子どもに聞きましょう。ヒリヒリするようだったら、すぐに耳鼻咽喉科に相談してください。
■両親が花粉症でなくても発症するケースはある
まだ子どもが発症していなくとも、「自分が花粉症だから子どもも花粉症なのではないか」と不安な方も多いかと思います。とはいえ、父親や母親が花粉症だからといって、必ずしも子どもが花粉症になるとは限りません。
ただ、両親のどちらかがアレルギー体質だと、子どももアレルギー物質に反応しやすくなります。そのため、両親のどちらかが花粉症の場合は、子どもも花粉症になりやすい可能性があります。
その一方で、両親が花粉症でなくとも、子どもが花粉症になるケースが多々あります。
「自分が花粉症でないから、子どもも大丈夫」とは思わずに、疑わしき症状が出たら耳鼻咽喉科にかかってほしいと思います。
また、本書で述べてきたように花粉症の発症や重症化には、遺伝以外に食生活や住環境が大きく関係してきます。まずは、できることから改善していくのが現実的な策になるでしょう。
■花粉症には生活環境が大きく関係している
村川哲也『子どもの一生を決める花粉症対策』(小学館クリエイティブ)
具体的にどんな人が花粉症になりやすいかという部分までは、現在のところわかっていないのですが、花粉症は誰でもかかりうる病気であるということはいえるでしょう。
ただ、花粉症には生活環境が大きく関係しています。たとえば、コンクリートの多い街に住んでいることで発症・重症化しやすくなりますし、生活習慣が乱れて免疫機能が低下している子どもも花粉症になりやすいと考えられます。
また、排気ガスを多く吸うと花粉症になりやすいと考えられています。排気ガスを吸うと鼻の粘膜が過敏になります。そうすると、鼻の中に入ってきたスギ花粉に免疫細胞が反応するため、排気ガスは間接的に花粉症を引き起こすともいわれます。
■花粉症対策はいくらでもやりようがある
さらに、食生活によって花粉症を発症させたり、悪化させたりすることもあります。インスタントラーメンや菓子類などを頻繁に食べることで腸内環境が悪化してしまうからです。
そのほか、ストレスや不規則な生活も腸内環境を悪化させ、花粉症になりやすい体質をつくる可能性があります。
生活環境が、花粉症の発症や悪化と関係しているということは、逆にいえば、後天的な要素が大きく影響するため、花粉症対策はいくらでもやりようがあるのです。
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村川 哲也(むらかわ・てつや)
医師
医学博士。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会専門医・日本気管食道科学会認定専門医・日本レーザー医学会専門医。防衛医科大学校卒業後、カリフォルニア大学バークレー校ローレンスバークレー国立研究所勤務などを経て、2007年に喜平橋耳鼻咽喉科を開業、現在に至る。花粉症治療の中でも、特に舌下免疫療法の治療実績は日本有数を誇る。
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(医師 村川 哲也)