だから12年間毎日語学学習を続けて8カ国語を習得できた…外国語を上達させる"たった1つ"のコツ

2025年4月26日(土)16時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

新たに物事を習得するときに必要なことは何か。作家・翻訳家の宮崎伸治さんは「難易度の高いスキルが得られるまでの道のりは辛く長いため、楽しさだけでは動機として不十分だ。やる気を維持するためには、他人の助けを借りるといい」という——。

※本稿は、宮崎伸治『50歳から8か国語を身につけた翻訳家の独学法』(青春出版社)の一部を再編集したものです。


写真=iStock.com/takasuu
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■外国語が上達するコツは「長く続ける」がすべて


「どうすれば外国語が上達するのですか?」


このような質問への私の答えは、「とにかく長く続けること」です。


というのも外国語が神経になじむまでに長年の歳月がかかりますし、日本で生活をする以上、学習をストップしてしまったら実力は下がる一方だからです。


したがって上達するには長く続けることが最低条件なのです。


続くか続かないかは、動機がすべてです。「しんどいのにこんなことやっても意味がない」と思った瞬間、学習がバカバカしくなります。


逆に、「やりたい」という気持ちが続けば、学習を続けられます。


長続きできるか否かは自ら「やりたい」と思えるよう自分を動機づけられるか否かにかかっているのです。


一言で「動機」といっても、さまざまな種類があります。


ひとつは、「楽しいから」「学習自体の価値を信じているから」「達成感があるから」「もっと詳しく知りたいから」「挑戦が好きだから」といった、内発的動機(自分の内面からわいてくる動機)です。


一方で、「親にやれと強制されたから」「必須科目だから」「進学に役立つから」「就職・転職に役立つから」「友達に負けたくないから」「お金儲けにつながるから」といった、外発的動機(自分の外側から生じる動機)もあります。


「楽しいから」で学習が長続きできれば理想的ですが、「楽しい」という感情は消えやすく、いずれ成長がストップしかねません。上達するには「楽しい」だけでは乗り越えられない壁があるからです。


■「楽しいから」以外にもさまざまな動機をブレンド


私たちは日本語にしても苦労せずに身につけたわけではありません。小学校、中学校、高校で国語の授業を受け、国語や漢字の試験を何百回も受けているのです。けっして「楽しいから」だけで日本語をマスターしているのではありません。


したがって、本気で上達したいなら、「楽しいから」以外にも「有能感」「熟達」「挑戦」などさまざまな動機をうまくブレンドして、やる気を長続きさせることがコツです。


内発的動機と外発的動機の特徴をまとめると、表のとおり。


出所=『50歳から8か国語を身につけた翻訳家の独学法

内発的動機は「快感を得ること」が目的です。


快感を得る方法はいくつかあり、一つは「楽しさ」を感じることです。歌うのが好き、絵を描くのが好き、ピアノを弾くのが好き、将棋が好き……。人それぞれ、義務もないのに「楽しいから」と自発的に行動していることがあります。


また、上達して得られる「有能感」も一種の快感です。うまくなれば、もっとうまくなりたいという内発的動機が生じることでしょう。


さらに「挑戦」自体からも快感が得られます。たとえば私の場合、検定試験を受ければ、「自分なりにベストを尽くした」という充実感が得られ、自然と学習意欲が湧いてきます。


一方、外発的動機は他人から是認されることが目的です。ですから他人の目がつねに気になり、認められなければ落胆することでしょう。ただし、外発的動機も工夫しだいで内発的動機に変えることもできます。


■行きづまったら助けを借りる


「楽しいから」で長続きできれば一番理想的ですが、難易度の高いスキルが得られるまでの道のりは辛く長いものです。


想像してみてください。未体験の「あっ、楽しそう」と感じるものを見つけたとします。スキージャンプ、囲碁、ジャグリング、バイオリン演奏、ハンマー投げ、料理……。あなたは「楽しそう」と始めて、そのままずっと努力し続ける自信があるでしょうか?


その道のプロから「このスキルを身につければ楽しいよ」といくら説かれても、続く自信が私にはありません。楽しさを味わえるまでの苦労が想像できるからです。


つまり、楽しさだけでは動機として不十分なのです。


では、「楽しい」という感情が消えそうなとき、どうすればやる気を維持できるか。一つの方法は、助けを借りることです。


59歳のある日のこと、ふと「ピアノが弾けるのって素晴らしいな」という感情が湧いてきてピアノを購入しました。音楽経験ゼロだった私は、楽譜にカタカタで「ドレミファソラシド」を書き入れて1音1音、鍵盤を押し始めました。


1カ月ほど練習したものの、上達する自分が想像できず、練習がおっくうになりかけました。そこでピアノ教室に通うことにしたのです。


運良く、先生は「ピアノがうまくなりたい」ではなく「ピアノを楽しみたい」という私の願望を受け入れてくれました。しかも、ただひたすら褒めてくれる先生だったので、ますます練習する気になりました。


他人からの働きかけで「楽しいからやりたい」という内発的動機が呼び起こされることもあるのです。


自分一人ではうまく動機付けができないとき、励ましてくれる人がいれば理想ですが、いなければ、自分に合った先生を見つけましょう。励ましになるだけでなく技術面でも指導してもらえるので一石二鳥です。


■最初は上達を目指さず「趣味」でいい


ピアノも2年目になると、もっとうまくなりたい願望が生まれ、楽譜を読む練習や楽典の勉強も始めました。



宮崎伸治『50歳から8か国語を身につけた翻訳家の独学法』(青春出版社)

好きな曲だけでなく課題曲も始めましたので、しんどい思いもします。しんどさに押しつぶされそうになったら好きな曲に切り替えて、楽しい感覚を呼び起こします。このような工夫でやる気を維持させるのです。


さらに自分への挑戦も課しています。「音楽技能検定」という検定試験を見つけ、さっそく受験しました。受験自体が私にとっては挑戦ですので充実感が得られます。


このように「楽しさ」「有能感」「挑戦」という3種類の動機をうまくブレンドして練習意欲をかきたてているため、ピアノ開始から2年間、1日も休まずに続いています。


新たな外国語をスタートする際も同じです。


まずは好きな洋画・動画を楽しむのもいいでしょう。歌が好きなら、外国語の歌詞を覚えるのもいいでしょう。「楽しもう」という動機で学習を始めるのです。楽しさはスタートを切る起爆剤となります。最初は上達を目指さず「趣味」でいいのです。


ただ、途中で投げ出したくなったら、英会話スクールなどの門を叩くのもいいでしょう。自分に合った先生に巡り会えれば、学習意欲がかきたてられます。


■交代制のマンツーマンレッスンがお勧めな理由


私が若かりし頃に通った英会話スクールなどはおよそ10校、58歳から通っている外国語会話スクールは4校あります。


その経験から私がもっとも勧めたいのは、マンツーマンレッスン、しかも毎回同じ先生ではなく、交代制で先生が替わる語学学校であればなお良いです。先生が交代制であれば、自分に合わない先生は除外してもらえる可能性が高いからです。


私の経験上、ほとんどの先生はほんの少し上達しただけでも褒めてくれます。褒めてもらえれば嬉しくなりますし、「もっと上達して先生にもっと喜んでもらいたい」という気持ちになればしめたものです。


その後、もっとうまくなりたい……という気持ちが湧いてくれば、次の段階に進みましょう。


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宮崎 伸治(みやざき・しんじ)
作家・翻訳家
1963年、広島県生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒業。英シェフィールド大学大学院言語学研究科修了。大学職員、英会話講師、産業翻訳家を経て、34歳で出版翻訳家デビュー。50歳以降に英語だけでなくドイツ語、フランス語、中国語など計8カ国語を本格的に学び始め、現在は英語・翻訳関係の資格20種類以上を含む、137種類の資格保持。おもな語学系の資格は、英検1級、独検2級、仏検準2級、伊検3級、西検4級、中検3級、HSK5級、TOPIK1級、ハングル能力検定5級、ロシア語能力検定4級など。著書『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』(三五館シンシャ)、ベストセラーとなった訳書『7つの習慣 最優先事項』(キングベアー出版)をはじめ、著訳書は60冊以上。
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(作家・翻訳家 宮崎 伸治)

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