フィリップス・オークション、5月27日に香港で開催するモダン&コンテンポラリーアート・イブニング&デイセールにて、出品作品の70%がオークション初登場

2025年5月21日(水)14時17分 PR TIMES

イブニングセールでは90%の作品が市場初登場となり、注目のラインナップを揃える

【香港、2025年5月21日】- フィリップス・オークションは、5月27日に香港で開催されるモダン&コンテンポラリーアート・イブニング&デイセールの出品ハイライトを発表しました。本セールでは、時代や地域を超えて活躍する著名アーティストによる優れた作品を厳選し、出品作のうち70%がオークション初登場となります。アートマーケットにおいてますます求められる「フレッシュ・トゥ・マーケット」な作品群を中心に、ジョージ・コンド、アニッシュ・カプーア、ハーナン・バス、ジョナス・ウッド、加藤泉、草間彌生といった国際的に評価の高い作家たちの作品が揃います。

イブニングセールのハイライトのひとつとなるのが、ジョージ・コンドによる《Blues in F》です。本作は、作家が2020年に展開した「Blues Paintings」シリーズに属し、それぞれの作品タイトルが異なる音楽の調(キー)に由来しています。ピカソのキュビスムに影響を受けながら、コンドはそこに心理的な要素を加え、怒り、不安、恐れといった感情を可視化しています。2020年のパンデミック下に制作された本作は、孤独や疎外感といったテーマを内包しながら、普遍的な人間の感情に深く響く作品となっています。これまでオークションに登場したことはなく、2021年に上海の龍美術館で開催された、コンドにとってアジア最大規模の個展「George Condo: The Picture Gallery」にも出品された重要作です。


また、アニッシュ・カプーアによる《Untitled (Organic Green / Apple Red)》も見逃せない作品です。磨き上げられたステンレススチールに深みのあるラッカーを施した本作は、カプーアの代表的な凹面ミラーシリーズの中でもひときわ際立つ一点です。わずかに窪んだ円形の鏡面が、有機的なグリーンから光を帯びたアップルレッドへと滑らかに移ろい、空間認識を揺さぶるような視覚体験を生み出します。本作は単なる反射物ではなく、“フィールド・ミラー”として、物質と非物質、現実と夢幻をつなぐ媒体となり、色彩そのものが変容の力を帯びる詩的な世界へと鑑賞者を誘うのです。この没入感と謎めいた存在感は、形なきものを具現化するカプーアの芸術的力量を示すものであり、彼の創作哲学の到達点ともいえる作品です。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/132287/17/132287-17-2fb2aafb354f1e5415200e26eee67aa5-2371x2700.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]ジョージ・コンド ,Blues In F, 2021 予想落札価格:HK$12,000,000〜20,000,000/US$1,540,000〜2,560,000
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/132287/17/132287-17-0a299c2398d6983edb967b1ad4256093-3900x3900.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]アニッシュ・カプーア,Untitled (Organic Green / Apple Red), 2015 予想落札価格:HK$3,500,000〜5,500,000/US$449,000〜705,000
注目を集める西洋コンテンポラリーアート作品

アメリカの現代画家ハーナン・バスは、ナビ派の影響を独自の視点で再解釈することで、現代絵画における最も個性的な表現者の一人として頭角を現しています。今回市場初登場となる《Case Study (Harvey, Palmist/glove collector)》では、強迫的な情熱に取り憑かれた人物たちを描き、奇矯さとコンセプチュアル・アートの境界を曖昧にしています。主人公のハーヴィーは、分類学的に整理された手袋のディスプレイの前に立つ姿で描かれ、個人的な執着がどのように美学的な主張へと昇華され得るかを示しています。背を向けた男性の病的な肌の描写は、デカダン派の美意識を想起させ、また、手相占い師と手袋収集家というハーヴィーの二重のアイデンティティは、存在と不在のあいだに生じる観念的な緊張感を生み出しており、バスが一貫して描き続けている、常識と神秘のあいだに生きる人物像への関心を体現しています。


ラシード・ジョンソンによる《Untitled Escape Collage》も今回が初のオークション登場となる作品で、有機的なフォルムを通して「人種」「アイデンティティ」「歴史」といったテーマに迫ります。2016年以降、ジョンソンの代表的シリーズとなっている「Escape Collage」は、絵画、彫刻、インスタレーションを融合させ、普遍的な象徴と個人的な記憶を織り交ぜたビジュアル・コスモロジー(視覚的宇宙)を構築しています。シカゴでの育成環境やアフリカ系ディアスポラ文化に根ざした本シリーズでは、ヤシの木、アフリカの仮面、動物の皮、陶器のタイルなどが用いられ、都市の現実と幻想を往復しながら、多層的な感情と集団的な記憶が複雑に絡み合っています。
https://prtimes.jp/a/?f=d132287-17-ed160d563e5135cc20cfdcb95f54a8ba.pdf同じく今回が初出品となるのが、アメリカ人アーティストのジョナス・ウッドによる《Punch and Judy》です。本作は2015年にロンドンで開催されたウッドの初個展で発表されたもので、彼が2010年頃から取り組んでいる鳥かごのモチーフを中心に据えています。鉢植えや植物、鳥かごといった日常のオブジェをモチーフとすることで知られるウッドですが、鳥かごはやがて、構造と感情を併せ持つ複雑な象徴として発展していきました。《Punch and Judy》では、キャンバスを覆うように大きく描かれた鳥かごが空間を歪ませ、抽象と具象のあいだを巧みに行き来しています。本作には、英国の伝統的な人形劇に由来するフォークロア的要素や、ウッドが長年にわたり影響を受けてきたアンリ・マティスへのオマージュも込められており、親しみと異化、現実と幻想の絶妙なバランスが表現されています。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/132287/17/132287-17-f577b874e32c5557957ca3e453db89d1-2255x2700.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]ハーナン・バス,Case study (Harvey, Palmist/glove collector), 2014 予想落札価格:HK$3,000,000〜5,000,000/US$385,000〜641,000
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/132287/17/132287-17-5a143e5a298a695010fb62996a818a5f-2980x2285.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]ラシード・ジョンソン,Untitled Escape Collage, 2017 予想落札価格:HK$3,500,000〜5,500,000/US$449,000〜705,000
[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/132287/17/132287-17-0cfc45e02a261f5805836a65f66848ff-1866x2700.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]ジョナス・ウッド,Punch and Judy, 2015 予想落札価格:HK$3,300,000〜5,500,000/US$423,000〜641,000
注目の日本人アーティストたち

加藤泉による《Untitled》は、等身大に近い木彫作品であり、木材特有のかすかな香りを含む感覚的な存在感によって、鑑賞者との直接的な対話を生み出します。楕円形の目と青緑色の顔は原初的な生命力を想起させ、胴体や腕に走る金や土のような色の線が、立体感と動的な要素を与えています。胡坐をかいた姿勢の本作の周囲には、樹脂製の小さな彫像が配置され、ユーモラスかつトーテミックなモチーフによる視覚言語を形成しています。加藤の作品は、人間の身体表現やアニミズム的な民俗への関心を反映しており、鑑賞者の主観的な解釈を促すとともに、古代的な文化意識とも共鳴しています。


今季のオークションでは、加藤によるもうひとつの大型インスタレーション作品も出品されます。本作は、スピリチュアルな人物表現と素材の異種融合を象徴
するもので、高さ約3メートルに及ぶ人体形態が、手染めのテキスタイル、パステル、刺繍、革、手彫りの石などの多様な素材によって構成されています。加藤の直感的なアッサンブラージュの手法により、自然素材は命を宿した象徴的な要素へと変容します--石は肉体に、布は皮膚に。中央の人物像の仮面のような顔と大きく見開かれた黒い瞳は、言語を超えた意識の存在を示唆し、両脇に置かれた石像が性別、質感、時間といった形而上的な二元性を表しています。本作は物語を語るのではなく、観る者に思索を促す「存在」として立ち現れ、解釈を超越した聖なる時間のなかに身を置くような体験を与える作品です。


草間彌生の《Red Petals》は、彼女の作品群のなかでもユニークな位置づけにある作品で、「花」というモチーフを中心に据えています。草間は1950年代からこのテーマに取り組み、テート・モダンやM+ミュージアムでの大規模な回顧展でも大きく取り上げられてきました。このモチーフには、自然への憧憬や、種苗業を営んでいた家族の記憶、さらには草間自身の心理的風景といった個人的な背景が重ね合わされており、花は宇宙における生命と死の循環の象徴として描かれています。《Red Petals》では、有機的なフォルムの反復と、赤と黒の鮮烈なコントラストが際立ち、草間の自然に対する抽象的かつ観念的なアプローチを体現しています。


塩田千春による《State of Being (Dress)》は、「記憶」「アイデンティティ」、そして人と人とのつながりをめぐる目に見えない糸をテーマにした、感情に訴えるインスタレーション作品です。本作では、黒や赤の糸が幾重にも絡み合う空間の中に、身体を持たないドレスが宙づりにされています。空間に浮かぶそのドレスは、そこに不在である人物の存在と、その人が背負っていた記憶を呼び起こします。塩田はドレスを「第二の皮膚」と捉え、糸でそれを包み込むことによって、過去の人生や感情の重みを可視化しています。
[画像6: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/132287/17/132287-17-e7d25788f90aa37e079d12b045d29431-2025x2700.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]加藤泉,Untitled, 2022 予想落札価格:HK$1,800,000〜2,800,000/US$231,000〜359,000
[画像7: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/132287/17/132287-17-0d47d6792f4abb241b390865d70b5952-3900x3900.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]加藤泉,Untitled, 2018 予想落札価格:HK$400,000〜600,000/US$51,300〜76,900
[画像8: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/132287/17/132287-17-9dc1b19031b9899c3591b553875169f1-2051x2392.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]草間彌生,Red Petals, 1986 予想落札価格:HK$1,500,000〜2,500,000/US$192,000〜321,000
[画像9: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/132287/17/132287-17-090c711363b7b4fae5cb9da75fed9baa-3900x3900.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]塩田千春,State of Being (Dress), 2020 予想落札価格:HK$400,000〜600,000/US$51,300〜76,900

モダン&コンテンポラリーアート:イブニング&デイセール
オークション日時:2025年5月27日(火)午後4時(香港時間)
会場:香港九龍オースティンロード西8号、西九文化区 WKCDAタワー G/F
展示期間:2025年5月16日〜27日、午前11時〜午後7時(香港時間)
詳細はこちら:https://www.phillips.com/auction/HK010225

フィリップス・オークションについて
フィリップス・オークション:世界中の好奇心と冒険心が、アート、デザイン、高級品と結びつき、インスピレーションを与えてくれる場所です。20・21世紀の作品を売買するグローバルなプラットフォームとして、フィリップスは近・現代アート、デザイン、写真、エディション、時計、ジュエリーの分野において専門知識を提供しています。オークションと展覧会は主にニューヨーク、ロンドン、ジュネーヴ、香港で開催され、更に、ヨーロッパ、アメリカ、東京を含むアジア各地に代表オフィスが置かれています。フィリップスでは、ライブ及びオンラインオークションを定期的に開催しています。また、プライベートセール、鑑定、査定、ファイナンシャルプランニングに関するサポート含め、収集に関する幅広いサービスとアドバイスも提供しています。詳細につきましては、ホームページをご覧ください。


<本件に関するお問い合わせ先>
東京:Tokyo@phillips.com +81-3-6273-4818
〒106-0032 東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル4F フィリップス・オークション東京


香港:Ingrid Hsu, Head of Public Relations & Corporate Communications, Asia Ingridhsu@phillips.com

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