夏休み4人家族16万円の旅費を2万円下げるコスパ革命…フェリーからケーキ食べ放題まで"驚きの宿"ベスト7
2025年5月23日(金)16時15分 プレジデント社
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/nikom1234
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■夏休みの国内旅行は1人当たり約4万円
家族のレジャー費ほど難しいものはない。どれくらいが最も妥当か、その額が不確かだからだ。大いに使って良し、使わずもまた良し。家計の大蔵大臣のパパママは悩むばかりである。
加えて、近ごろの宿泊費の高騰が、その悩みを一層大きくしている。新型コロナ5類移行以後の国内での需要の増加や、インバウンド客の増加が主な要因と言われており、ビジネスホテルでも1泊1万円以上するのは、もはや常識となった。公私共に全国各地に宿泊している筆者も、そのような傾向を日ごろ肌で感じている。
調査(株式会社JTB「2024年夏休み(7月15日〜8月31日)の旅行動向」)によれば、夏休みの国内旅行は「子供づれ(中学生まで)の家族旅行」が全体の24.5%を占め、増加している。また、旅行期間は「1泊2日」の割合が増え、やはり高騰が影響しているのか、短くなっている。
1人当たりの旅行費用は平均4万2000円であり、「4人家族/2泊3日」を基準として16万円超になるわけで、大人数の家族旅行においてはアップ分が大きくなり、思わず出費をためらってしまうのも自然な流れである。
今年は最大で11連休にもなったゴールデンウィークの収支決算もおぼつかないままに、夏休みの計画シーズンもすぐそこだ。旅行計画は先手必勝だといわれるが、一に情報、二に情報である。そこでファミリー向けの国内旅行で、お得な情報を集めてみた。
■フェリーは移動しながら宿泊できる絶好の機会
国内を車で移動することの多いファミリー層におススメなのが、フェリーでの移動である。言うまでもなく車が積めるので、高速道路の渋滞知らず。そしてお父さんの運転の負担も減るし、寝ている間に目的地に到着するのが強み。
さらに最近のフェリーでの船旅は、船体のリニューアルなどもあって、ちょっとした海上の贅沢を味わえる。
たとえば「商船三井さんふらわあ」は、北海道航路として「苫小牧〜大洗(茨城県)」、さらに九州航路として、「大阪〜別府」「神戸〜大分」そして「大阪〜鹿児島」という路線を運航していて、それぞれ船内ではコンサートやマジックショーなどのイベントが開催。また、食事はもちろんのこと、展望大浴場やショッピングも楽しめる。
クルーズの旅といえば、とかく豪華で高額なイメージであるが、フェリーでの移動は比較的リーズナブルに非日常を味わえる絶好の機会なのである。
たとえば、2023年就航の「くれない」「むらさき」が運航している「大阪〜別府」航路では、大人1人当たりの片道運賃が1万3200円からだ。3〜4名定員の「グループ和室」を使うと1人当たり2000円の追加で済む。同区間を新幹線+在来線特急を利用した場合、1万9120円かかることから、宿泊費を加えると1人当たり3万円ほどとなるため、半額ほどで非日常が楽しめるということになる。
■子どもにも絶妙なロードサイドホテル「旅籠屋」
車で移動のファミリーには、ロードサイドのホテルチェーン「ファミリーロッジ旅籠屋」がリーズナブル。「お手本はアメリカのMOTEL」というコンセプトで、全国で約70店舗を展開。キャンピングカーは高いし駐車場所が限られるのでちょっと、というニーズにも応えてくれる。
全国の旧街道沿いを歩くのが最近の趣味である筆者が、静岡県の旧東海道歩きの途中で、「宿場町」的な気分で利用したのは「浜名湖(はまなこ)店」。ここは母屋となるフロントのある建物とは別に、宿泊できる部屋がアパートのような別棟になっていて、子どもが走り回ったり泣いたりしても周囲に気兼ねすることがない。また、宿泊棟の裏をJR東海道線が走っているため、電車好きのお子さんには絶妙の「サービス」にもなる。
料金は、浜名湖店ホームページによると、レギュラーシーズン、1室4名利用で1万2100円。室料なので、1名当たり3000円ちょっとで宿泊できることになる。通常のビジネスホテルで1泊1名8000円としても、5000円×4名分が節約できる計算となる。
筆者は以前、アメリカ・マサチューセッツ州の「タングルウッド音楽祭」に参加するツアーを毎夏に企画して、常に音楽祭会場に近い同じホテルに滞在したのだが、そんな古き良きアメリカのリゾートロッジを感じさせるような雰囲気であった。
■シャトレーゼ経営のホテルはケーキ食べ放題
食事も重要なポイントだ。旅館では、子どもの大好物が少なめなのが悩みであるファミリーにとって、ブッフェスタイルの食事は救い主である。最近は朝食ブッフェを売りにするホテルが増えているが、宿泊費も総じてじわじわ上がってきている。
そんな中で、山梨県発祥のスイーツ専門店であるシャトレーゼグループが経営しているホテルはおススメ。長野県小海町(こうみまち)にある「ガトーキングダム小海」では、スイーツ専門店直営のリゾートらしく、チェックイン後の午後には数種類のスイーツが食べ放題。また、夕食には、信州の食材を含めたブッフェに加えて、ここでもシャトレーゼの店頭で販売されている、通常1個当たり300〜500円程度するレギュラーのケーキやスイーツが食べ放題となっていて、家族連れに大人気となっている。
また、朝食にも本格的なヨーグルトがずらっと並ぶ。敷地内にはファミリーでも楽しめるスノーリゾートと、ゴルフ場も併設しており、他に移動しなくても十分楽しめる。冬季には、ホテルからスノーリゾートに向かう「ケーブルカー」も運行されていて、それに乗って往復するだけでもじゅうぶんに楽しい。
宿泊プランは「早割り」はもちろんのこと、「2段ベッド付ファミリールーム」や「愛犬同伴OK」の別棟コテージなど選択肢も多岐にわたり、計画時から気分が盛り上がること請け合いだ。
筆者撮影
「ガトーキングダム小海」で食べ放題のスイーツを堪能 - 筆者撮影
■人気ホテルの嬉しいプラスアルファ
同じく朝夕のバイキングが人気の「大江戸温泉物語グループ」のホテルは、カラオケや遊戯施設の利用がファミリーにとってお得。時間帯やホテルによっては、無料で楽しめる施設もある。筆者は先日、山梨県の石和(いさわ)温泉にある「ホテル新光」を家族旅行で利用した。その際、「チェックアウト後の午前中はカラオケルームが無料で利用できる」とのことで、バイキング朝食後のひとときをカラオケで満喫したのが忘れがたい。
さらに、ファミリーにお得なサービスで知られるホテルとしては、「テーマパーク・遊園地併設のホテル」がある。群馬県嬬恋村(つまごいむら)にある「ホテルグリーンプラザ軽井沢」は、「軽井沢おもちゃ王国」のオフィシャルホテルとして、同じ敷地内のテーマパークで1日楽しむことができる。特に大規模なアスレチックやニジマス釣りなどの体験型アクティビティが人気だ。
大分県別府市の「城島(きじま)高原ホテル」には、隣接する遊園地「城島高原パーク」や「城島高原ゴルフクラブ」が併設される。もはや1日では遊びきれない充実ぶりだ。特に、パーク内では日本初の木製コースター「ジュピター」が人気で、筆者もそれが目当てで宿泊したことがあるが、そのスリルはなかなかのもの。
筆者撮影
木製コースター「ジュピター」が人気の「城島高原パーク」 - 筆者撮影
いずれもテーマパークのフリーパス付のお得な宿泊プランがあることが特徴で、バイキングの食事や大浴場も楽しむことができる。
■お得なビジネスホテルのファミリーユース
京都や東京などの訪日インバウンド観光客で賑わう都市は、ベースとなる宿泊費が高い。
特に首都圏においては、一般の出張などの日本人ビジネスマンが、社内規定(1泊当たり8000〜1万2000円が通例)で予算の上限によって都内のホテルに泊まることができない。そのため、神奈川県(特に新幹線新横浜駅付近が人気)や、遠く千葉県や茨城県(つくばエクスプレス沿線など)で宿を取り、通勤ラッシュに揉まれて都心へ「通勤」するような状況となっている。
そんなときは、地方都市のビジネスホテルを選んでみるのはどうだろう。東京や京都を少し外して栃木県や茨城県、そして関西なら滋賀県や奈良県などに宿泊し、そこを基点に動く発想だ。たとえば山梨県では、外国人観光客の多い富士河口湖町や富士吉田市はたしかに混んでいるが、甲府市などはまだまだ外国人も少ない。
甲府市内にある「ホテル1-2-3甲府・信玄温泉」は、甲府市内にあって天然温泉がある。本来はビジネスホテルなので1人部屋がメインだが、2〜3人で利用する場合はそうした小ぶりの部屋をシェアする考え方で、ファミリー利用に優しい料金設計であることがポイントだ。
たとえば、1名利用1泊5500円の部屋を3人で利用する場合は、1人当たり3166円となる計算に。ビジネスホテルの場合、部屋が多少狭く、2人部屋はセミダブルベッドになっているケースも多いので予約の際には注意が必要であるが、普段ビジネスホテルとして営業しているため週末でも安価の場合が多い。ファミリーでのレジャー宿泊にはお得感があるので、これまた力強くおススメしたい。
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古関 和典(こせき・かずのり)
ロケ地研究家、コンテンツツーリズム研究家
1973年、兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、旅行会社に入社。映画『のだめカンタービレ』のヨーロッパロケを担当して以降、社内でチームを立ち上げ、数多くの映画、テレビドラマ、アニメ等のコンテンツ制作の業務に携わる。2023年、法政大学大学院政策創造研究科修士課程修了。現在は業務の傍らでロケ地研究家として「ロケ地ラボ」を主宰し、各大学や地域での講演も行っている。
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(ロケ地研究家、コンテンツツーリズム研究家 古関 和典)