知らないうちに「脳のゴミ」が溜まっている…毎日2杯飲むと"認知症リスクが3割下がる"スーパーで買える飲み物

2025年5月27日(火)8時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/krblokhin

老後を健康に過ごすには、どうすればいいのか。医師の鎌田實さんは「認知症は突然発症する病気ではない。発症リスクを下げるために、おすすめの飲み物やストレッチ方法がある」という——。(第3回)

※本稿は、鎌田實『医師のぼくが50年かけてたどりついた 長生きかまた体操』(アスコム)の一部を再編集したものです。


写真=iStock.com/krblokhin
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■認知症は“生活習慣の積み重ね”で進行する


仕事や家事に追われる毎日。気づかないうちに、脳も体も少しずつ疲れをため込んでいませんか? 最近、人の名前が出てこなかったり、うっかりミスや忘れ物が増えたりしていると感じるなら、脳の衰えが始まっているのかもしれません。


最近、ぼく自身も、人の名前がすぐに出てこなかったり、会話の中で「ほら、あれ」や「それそれ」といった言葉が増えてきたと感じます。脳の衰え、とりわけ認知症は、決して他人事ではありません。


意外に思われるかもしれませんが、認知症はある日突然発症する病気ではありません。糖尿病などと同じように、生活習慣の積み重ねによって進行する「生活習慣病」のひとつなのです。だからこそ、今のうちから習慣を見直すことで、認知機能の低下を防ぐことは十分に可能です。


実際、認知症の前段階にあたるMCI(軽度認知障害)の時期に適切な対策を取れば、正常な脳の状態に戻ることもできる──そんな希望が、近年の研究からわかってきています。


■緑茶を飲むといい


ぼくがぜひ、毎日の習慣として、食事や休憩タイムに飲んでほしいのが緑茶です。国立長寿医療研究センターの研究では、緑茶を1日に2杯以上飲むと、認知機能の低下リスクが約30%下がったと報告されています。


また別の調査では、1日に飲む緑茶の量が1杯(100ml)増えるごとに、記憶の形成にかかわる「海馬」の年間萎縮率が減少することもわかっています。


これは、緑茶に含まれるカテキンやテアニンなどのポリフェノールが持つ、抗酸化作用や抗炎症作用のおかげ。アルツハイマー型認知症の要因であるアミロイドβ、通称「脳のごみ」の増加を抑える働きも期待できるなど、緑茶は認知症予防の救世主かもしれません。


緑茶のカテキンは80度以上で溶出されます。熱いお湯でじっくり淹れた渋みの効いたお茶で、心身をリラックスさせながら、脳活もしてしまいましょう。


また、脳をより元気に保つためには「運動」も欠かせません。食事と運動は、健康を支える両輪。この2つがそろってはじめて、脳も体も健やかに保つことができます。


そこで、ぜひおすすめしたいのが、「かまた体操」の「バンザイスクワット」です。


医師のぼくが50年かけてたどりついた 長生きかまた体操』(アスコム)より

■体のコンディションは朝昼夜で異なる


「かまた体操」とは、ぼくが佐賀県で開催している「がんばらない健康長寿実践塾」、通称「鎌田塾」の健康運動指導士や塾生たちと一緒に考案した、オリジナルの健康体操です。


たとえば、塾生の中にも、毎朝、ラジオ体操をしている人がいます。もちろんラジオ体操はすばらしい体操ですが、私たちの体のコンディションは朝・昼・夜で違い、それぞれの時間帯で、体が必要としている動きも違うのです。


そこでぼくは、朝・昼・夜に分けて行う、計6つの体操を考えました。1日3回、それぞれの時間帯に適した体操を2つずつ行うだけ。1つの体操が約30秒ですから、朝・昼・夜、それぞれ1分。


年齢を重ねて、筋肉量や骨密度が下がった状態でハードな運動をすると、むしろ体の負担になってしまうことがあります。最適な運動量で毎日続けられることを大切に、脳・筋肉・血管・腸・骨の5つの力をバランスよく高められるように考えた体操、それが「かまた体操」です。


写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

■筋肉を動かすと「若返りホルモン」が出る


「かまた体操」で特に意識したのは、太ももやふくらはぎなど、大きな筋肉を積極的に動かすことです。その理由のひとつは、筋肉を動かすことで「マイオカイン」が分泌されるから。マイオカインとは、筋肉から分泌されるホルモンの総称で、「若返りホルモン」とも呼ばれています。


このマイオカインには、


・血圧や血糖値を下げる
・動脈硬化を予防する
・抗うつ作用
・免疫力を高める
・がんのリスクを減らす


などの、体にうれしい健康効果が期待されているのですが、さらに注目すべきなのは、脳細胞の成長や修復を助けるマイオカインが存在することです。つまり、筋肉を動かすたびに、体だけでなく脳まで元気になる──。そんなイメージで、「かまた体操」に取り組んでいただければと思います。


■「バンザイスクワット」のやり方


もちろん、今回ご紹介している「バンザイスクワット」でも、しっかりと太ももやふくらはぎを刺激することができ、マイオカインを分泌させる効果が得られます。


体と脳にエンジンをかける体操として、ぜひ取り入れてみてください!


1.足を肩幅に開き、まっすぐに立ちましょう。両手を上げ、大きく息を吸って準備します。


医師のぼくが50年かけてたどりついた 長生きかまた体操』(アスコム)より

2.息を吐きながら、腕をゆっくり前に下ろします。同時にお尻を突き出しながらひざを曲げていきます。


※つま先よりひざを前に出さないことで、ひざの負担を軽減できます。


医師のぼくが50年かけてたどりついた 長生きかまた体操』(アスコム)より

3.手を腰の上まで回し、ひざの角度は45度くらいまで曲げ、息は吐き切ります。


※徐々に深くして、ひざを90度くらいまで曲げられるようになると、さらに血圧や血糖値を下げてくれます。


医師のぼくが50年かけてたどりついた 長生きかまた体操』(アスコム)より

4.息を吸いながらゆっくりと1の位置に戻ります。2〜4をあと5回繰り返します。できるようになったら10回、目標は50回!


医師のぼくが50年かけてたどりついた 長生きかまた体操』(アスコム)より

毎日手軽に続けられ、効率よく強い足腰を育てるスクワットは、何歳になっても健康の基本。ぼくも長年、実践し続けています。


とくに、大腿四頭筋と呼ばれる太もも前面の筋肉や、内側の内転筋群を鍛えるには、スクワットが断然おすすめ! スクワットで強い太ももになれば、階段の上り下りが楽になり、買い物などの負担も軽減。日常生活の自由を広げてくれます。


太ももの大腿四頭筋が伸ばされることで、先述の若返りホルモン「マイオカイン」があふれますし、「BDNF」という脳由来の「神経栄養因子」も出るため、認知症予防にもぴったり。


■90歳を超えても楽にできる


さらにぼくは、スクワットに「バンザイ」の動きを取り入れて、ヒンズースクワットに近い動きにしました。じつは、黒柳徹子さんもこれに似た体操をされています。



鎌田實『医師のぼくが50年かけてたどりついた 長生きかまた体操』(アスコム)

腕を高く上げる動作では、背中の筋肉も使うため、この「バンザイスクワット」なら、スクワットに上半身への刺激を加えた全身運動になります。


体の横のライン=体側もしっかり伸び、横隔膜などの呼吸筋がゆるんで呼吸が深くなるため、副交感神経に働きかけ、自律神経を整えることにもなります。


「バンザイスクワット」は、朝のかまた体操の1つですので、朝食後にやれば、全身が目覚め、午前中のパフォーマンスが格段にアップ。90歳を超しても、この体操なら楽にできます。ぼくの知人の有名な彫刻家が寝たきりになりかかったとき、この体操で仕事に復帰できました。


■頭をスッキリさせるストレッチ


最後にもうひとつ、頭痛を和らげて、頭をスッキリさせる簡単な体操をご紹介しましょう。それが、「血流解放ストレッチ」です。


頭痛の約8割を占める緊張性頭痛は、スマホやパソコンを見るときに首を前に突き出す「スマホ首」が原因になっていることが少なくありません。


そこでポイントになるのが、首と胸をつなぐ胸鎖乳突筋という筋肉。ここをじんわり伸ばして血流を改善すれば、首や頭の疲れが取れ、頭痛も楽になっていきます。それでは、実際にやってみましょう。


1.左手を右の鎖骨のあたりに当てます。


医師のぼくが50年かけてたどりついた 長生きかまた体操』(アスコム)より

2.首を左に倒してから、そのまま後ろに倒します。鎖骨が上がらないように手で押さえながら、10秒間、しっかり首を伸ばしましょう。反対側も同じようにして、左右1回ずつ行います。


医師のぼくが50年かけてたどりついた 長生きかまた体操』(アスコム)より

このストレッチによって首まわりの血流が改善されると、たまった疲労物質が流され、頭部への酸素や栄養が行き届きやすくなり、緊張性頭痛がスッと楽になるという効果が期待できます。仕事中やデスクワークの合間にも簡単にできるので、ぜひ取り入れてみてください!


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鎌田 實(かまた・みのる)
医師・作家
1948年、東京都生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、諏訪中央病院に赴任。「地域包括ケア」の先駆けをつくり、長野県を長寿で医療費の安い地域へと導く(現在、諏訪中央病院名誉院長)。現在は全国各地から招かれて「健康づくり」を行う。2021年、ニューズウィーク日本版「世界に貢献する日本人30人」に選出。2022年、武見記念賞受賞。ベストセラー『がんばらない』(集英社文庫)ほか書多数。チェルノブイリ、イラク、ウクライナへの国際医療支援、全国被災地支援にも力を注ぐ。現在、日本チェルノブイリ連帯基金顧問、JIM-NET顧問、一般社団法人 地域包括ケア研究所所長、公益財団法人 風に立つライオン基金評議員ほか。
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(医師・作家 鎌田 實)

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