2月19日から「心身ともにソワソワ」する『雨水』。五臓の「肝」が活発になるこの時期に起こりやすい身体のトラブルとは?二十四節気別<暮らし方><養生><旬のもの>

2024年2月18日(日)8時0分 婦人公論.jp


雨水(2/19〜3/4頃)<『二十四節気の暦使い暮らし - かんぽう歳時記』より>

「二十四節気」とは中国で誕生した旧暦(太陰太陽暦)で、1年を約15日ごとに24等分した季節の名称のこと。この連載ではその二十四節気に沿った過ごし方や備え方、旬の食材を、漢方コンサルタントの櫻井大典さんが紹介します。「二十四節気は不調を防ぎ、日々をより豊かに過ごすための“知恵”の結晶」と語る櫻井さん。今回紹介する季節は「雨水(2/19〜3/4頃)」です。

* * * * * * *

雨水(うすい) 2/19〜3/4頃


寒さが少しずつやわらぎ、雪や氷が溶け、大地が潤い始める頃。

ウグイスが鳴き、草木の芽が出始め、春一番が吹くなど、春の足音が間近に感じられることでしょう。

この節気の終わり頃には、桃の節句(ひな祭り)があります。

春の五臓(注)である「肝」をいたわる養生——深呼吸、早寝早起き、日光浴など——を意識して、ゆったりとリラックスして過ごしたい時期です。

(注)中医学の考えで、「五行論」に基づく「肝、心、脾、肺、腎」の5つを「五臓」といいます。いわゆる「五臓六腑」の五臓にあたります。

中医学的 雨水の暮らしかた


・心と身体の状態

立春に引き続き、冬の「陰気」が減り、ますます「陽気」が増えていくので「そろそろ活動しなければ!」とエネルギーが湧くのを感じられるでしょう。


『二十四節気の暦使い暮らし - かんぽう歳時記』(著:櫻井大典・土居香桜里/ワニブックス)

一方で、なかなかその変化についていけない焦燥感から、心身ともにソワソワしている人も多いはず……。

春は、肝の季節なので、肝が活発に働きます。活発になるということは、プラスにもマイナスにも振れ幅が大きいということ。

つまり、肝が元気な人は、ウキウキした気持ちが湧いて活動的になれるのですが、裏を返せば、肝に負担がかかり、弱りやすくなるとも言えます。

その結果、肝の不調が悪化しやすくなるのです。

・起こりやすい不調

先述の通り、春は肝の不調が出やすくなります。肝の不調から便秘、ガスが溜まるなど、胃腸トラブルに見舞われる人が多いでしょう。

また、肝は身体中の「筋(すじ)」をコントロールしているので、この時期は、足がつる・肩がこわばるなど、筋の不調を感じる人も多いかもしれません。

血流不良による悪化を招くことがないよう、まだまだ冷えには注意が必要です。

メンタル面では、情緒不安がよく見られる時期です。怒りっぽくなる・イライラ・憂うつ・焦燥感など、自律神経の乱れによる不調が出やすくなりがちです。

養生


雨水の養生キーワードは、血(けつ)(注)を補う「補血(ほけつ)」と、肝を柔らかく健やかに保つ「柔肝(じゅうかん)」。

とくにイライラなどの“怒り”の感情は肝を弱らせてしまうので、とにかくこころを穏やかに過ごすようにしましょう。

イライラしたら、深呼吸を意識して。

春の陽気を胸いっぱいに吸い込むことで、自然と交感神経が落ち着き、リラックスすることができます。

また、できれば朝は早めに起きて、ゆるりと近所や庭を散歩しながら、春めく気候を感じるといいでしょう。

春と秋は「早寝早起き」、冬は「早寝遅起き」、夏は「遅く寝ても早く起きる」と覚えておいてください。

また、肝の時間とされる午前1時〜3時には、きちんと睡眠を取ることが必須です。

太陽をしっかり浴びたり、深呼吸で「陽気」を取り入れつつ、肝が司る「筋」を伸ばすストレッチをすれば、この時期にピッタリと合った、肝をいたわる養生となります。

(注)中医学において「血」は、身体に栄養と潤いを運び、メンタルの安定にも作用する液体です。

中医学的 雨水の旬のもの


・旬の食材1 イカ

イカは、肝の働きを助けて血を補う、春先に最適な食材。しっかり血を補ってくれるので、貧血・月経不順・不正出血などの女性特有のトラブルにも効果的です。

また、メンタルの安定や目のかすみなどにも一役買ってくれます。養生的には、お刺身よりも加熱して食べるほうがいいでしょう。

おすすめの食べ方は「イカ団子」。鶏団子と同じように、片栗粉、卵白、塩と一緒にフードプロセッサーですり身にして固めれば、出来上がりです。

まだ肌寒い日がつづきますので、温かいスープに入れていただくと、身もこころも温まります。

・旬の食材2 春キャベツ

冬キャベツは1〜3月頃が旬で、春キャベツは3〜5月に旬を迎えます。キャベツは、胃腸を元気にして脾を補う、まさに食べる胃腸薬。

キャベツは「補五臓(ほごぞう)」といって、肝・心・脾・肺・腎すべての働きを高め、元気にしてくれる最強食材なんです!

五臓は感情ともつながりますので(五志)、メンタルを安定させ、さらに足腰を強くしてくれる効能もあります。

・旬の食材3 金柑(きんかん)

1〜3月が旬の金柑は、気のめぐりを良くして肝の働きを助けるフルーツです。酸味と甘味があり、消化を助け、痰を解消して咳を鎮めてくれます。

定番の甘露煮のほか、春キャベツと一緒に酢のものにするのもおすすめです。酢の酸味は、気血のめぐりを良くする肝を元気にしてくれます!

※本稿は、『二十四節気の暦使い暮らし - かんぽう歳時記』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

婦人公論.jp

「二十四節気」をもっと詳しく

「二十四節気」のニュース

「二十四節気」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ