内田恭子「慌ただしい日々の中で感じる、ざわざわする寂しさの正体は?自分のペースを見失った時、マインドフルネスが手助けに」
2025年4月16日(水)12時30分 婦人公論.jp
内田恭子さん(写真提供:Voicy)
2006年にフジテレビを退社後、フリーアナウンサー・タレントとして活躍。私生活では二児の母でもある内田恭子さん。現在は、認定MBSR講師の資格を取り、マインドフルネストレーナーとして活躍の場を広げています。そんな内田さんは、日本最大級の音声配信プラットフォーム『Voicy』で『内田恭子のゆるんでいきましょう』を配信中。その中から選りすぐりの話題をお届けします。今回のテーマは「やりたいことが見つからないときは」です。
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ふと寂しくなった時は
年度が変わるこの時期は、いろんなイベントや歓送迎会があったりと、忙しくも楽しい時期ですよね。そんな風に、みんなとワイワイやっている時は楽しいのですが、家に帰ってきた時、もしくは一人でいる時、なんだか寂しい気持ちに襲われることはないでしょうか。私自身も経験があります。
一人になるのが寂しいというわけではなく、一人になった時に、うまく一人のペースに戻れない。なんだか気持ちが高ぶって、でもざわざわしているような、落ち着かないような、一人でいるのが寂しいなと、時には孤独を感じる時もあるかもしれません。
そんな寂しさの正体、これは一体なんなのでしょうか。
寂しさと言っても、いろいろな寂しさがあると思うんですが、「突然ふと感じる寂しさ」というものがありますよね。だからといって、外に出かけて誰かと一緒にいたいという寂しさでもなく、一人でいるのが嫌な寂しさでもない。
でも、なんだか胸がざわざわして、これって寂しいのかな、なんなのかな、みたいな。ちょっと正体不明な、そんなざわざわな寂しさについてです。
自分のペースに戻る手助けに
人には自分の時間のペース、時間が流れる人それぞれのペースというものがあって。時計の針のペースとは違う、それぞれのペースがあるのですよね。人の呼吸の速度が一人一人違うように、その人に流れているペースというのも、それぞれ違うと思うのです。
私が開催しているマインドフルネスのセッションでは、この「自分のペース」を大事にしてください、と言っています。自分の呼吸のペース、自分の自然のリズムを感じていきましょうと。マインドフルネスをやる意味は、「自分のペースに戻る」ということなんです。
では、自分のペースではない時というのはどんな時なのでしょうか。それは、外出したり、外出していなくても、テレビや配信動画やラジオを視聴している時。そこにはそれぞれのペースで物事が流れていますよね。
そういった他のペース、もしくは時間というペース、他の人のペースに合わせて、私たちは日々を過ごしています。日常の大半が、そうですよね。
ですからその他のペースに飲まれていて、家に帰ってきて何もしていないのに、自分のペースに上手に戻れない時に、その寂しさを感じるのではないかなと、私は思っています。
寂しさというか、ちょっとざわつくような、ぐったりとしたような、なんだか落ち着かないような、あの独特の感じ。
その正体は、外のペースで慣れて家に帰ってきて、自分自身は本来の自分のペースに戻りたいのに、それがうまく調整できず、戻りきれていない。それがきっと、あのざわざわっとした寂しさなんじゃないかなと思います。
ただ、家にいても何もしない時間というのは少ないですよね。一人の時でも、大概私たちは動画を見たりとか、ネットを見たりとか、音楽を聞いたりとか、自分以外のペースで過ごしています。
そして、絵を描いたり、本を読んだり、家事をしている時でも、時間の制限がない時は、多分自分のペースで過ごせているのですよね。そのペースが、本来の自分にとってのペース、私たちが一番心地の良いペースだと思います。
ですが、そういった自分のペースで過ごす時間が少ないと、自分のペースがわからなくなったり、自分のペースに戻る戻り方がわからなくなってしまう。そして結局、他のペースにつられて過ごしてしまって、気が付くと「ああ疲れた」とか「ああぐったり」となってしまう。
ですから、マインドフルネスの一つの利用方法として、「自分のペースに戻りやすくするガイド」として使うのが、良いのではないかなと思っています。
静かに目を閉じて呼吸をする。自分のペースで呼吸をしていく。するとだんだんと、本来の「自分のリズム」に戻ってくることができます。
これがすっとできると、とてもほっとした気持ちになって、今まで持っていたガヤガヤした気持ちとか、ざわざわした気持ちとか、落ち着かない気持ちが、だんだんと落ち着いていくと思います。
自分のペースに戻る時間
うまく自分のペースに戻れないと、なんだかイライラしたりすることってあると思います。このよくわからない寂しさ、ざわざわとした寂しさがあるのは、とても普通のこと。その人自身に何か問題があるわけではなく、ただうまくペースがシフトできていないだけだと私は思っています。
この時期、いろいろなペースが身の回りでは起こってくると思います。世間の流れもバタバタと過ぎていきますし、新しい環境になる人も多いと思います。そして、あれもやらないといけない、これも準備しないといけない、そんな自分自身の生活も慌ただしいモードになっていきます。
だからこそ一人になった時、ふと寂しさを感じる時があるかもしれません。けれども、その寂しさを感じたら、「今は自分のペースに戻ってあげる時なんだな」と考える。そうすれば、そのまま落ち着いたペースに戻っていけるのではないでしょうか。
慌ただしい毎日だからこそ、自分のペースに戻る時間を大切にしてあげる。そのことを覚えておくといいかもしれません。
私も、仕事やらなんやらでぐったりとして帰ってきた時、やっぱりゆっくりとお風呂につかったり、何もしない時間を持つことによって、自分の本来のリズムに戻ることができています。
皆さんもぜひとも、「何もしない自分の時間」を持つための時間を見つけて、自分のリズムを取り戻してみてくださいね。寂しさの正体は、もしかしてそれでわかるかもしれません。
※本稿は、Voicyチャンネル『内田恭子のゆるんでいきましょう』の音声配信の一部を再編集したものです。
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