「見方によっては『自分はWBCを辞退する』と」大谷翔平の一言に侍ジャパン・井端弘和監督が焦った“アリゾナの乱”の詳細を本人に直撃「いつ行くのが良いですかね?(笑)」
2025年4月30日(水)13時20分 文春オンライン
2月18日(現地時間)、アリゾナ州グレンデール。昨季のワールドチャンピオンであるドジャースのキャンプ地に一人、緊張した面持ちで練習を見学する人物がいた。侍ジャパンの井端弘和監督(49)である。
黒のジャケットにパンツといういでたちの井端氏。視線の先には、二刀流復活を期して投球練習に汗を流す“日本の至宝”の姿があった。
◆◆◆
“鬼に金棒”な大谷の活躍ぶり。
ドジャース・大谷翔平(30)が開幕から絶好調だ。3月19日、日本で行われたメジャー開幕第2戦で今季第1号本塁打を放つと、米国での開幕戦となった27日にも2試合連続となる2号ソロ。その後、チームは44年ぶりとなる開幕6連勝を果たした(現地時間3月31日時点)。

在米スポーツジャーナリストはこう分析する。
「今年は昨年より長いバットを使っています。バットが長いほど遠心力が大きくなり、力強く鋭い打球が打てるようになります。しかし、長ければ長いほど扱いづらい。大谷選手が使用している35インチのバットを扱える選手は、メジャーでもほとんどいません」
“鬼に金棒”な大谷の活躍ぶり。加えて注目が集まるのが、二刀流の復活だ。
「大谷は昨年11月に左肩の手術を受けたことから、投手復帰が遅れている。まだ復帰の目途は立っていませんが、今年2月のキャンプで初めてブルペンでの投球練習を行った際には、最速151キロを記録した。シーズン中には復帰するのではないでしょうか」(同前)
大谷に期待を寄せるのは、ファンだけではない。2月中旬には、侍ジャパンの井端氏が、日本人メジャーリーガーの在籍する球団のキャンプ地を行脚。同18日にはドジャースのキャンプ地を訪問し、ブルペンで大谷の投球練習を見守ったほか、クラブハウス内で大谷や山本由伸投手(26)、佐々木朗希投手(23)と挨拶を交わした。
WBC参加を要請する下準備
「井端氏が指揮を執るWBCは、来年3月に開催予定です。ド軍訪問に先立つ17日、井端氏はエンゼルスの菊池雄星投手と面談し、『日本のために投げてほしい』と語った。当然、大谷の視察も、WBC参加を要請する下準備と見られました」(MLB担当記者)
大谷といえば、2023年の前回大会で日本を優勝に導いた立役者でもある。準決勝のメキシコ戦では9回に先頭打者で出塁してサヨナラの契機を作り、決勝の米国戦では9回のマウンドに立った。来年のWBC出場にも積極的な姿勢を見せ、昨年12月には報道陣にこう意気込んでいた。
「呼んでいただけるのであればもちろん出場する」
「僕的には何回だろうと出場したいと思っています」
性格も真面目な井端氏が困惑
そんな中でキャンプ地にやってきた井端氏。大谷との挨拶の場面では、連覇に向けて熱く語り合った、かと思いきや……。
「井端氏はこの時に大谷から言われた言葉の真意をくみ取れず、焦りまくっている。もしかしたら大谷はWBCに乗り気ではないのかもしれないと疑心暗鬼になり、周囲に相談しているのです」(NPB関係者)
この関係者によれば井端氏は、山本、佐々木を念頭に、大谷からこう言われたのだという。
「WBCは僕よりも、この2人を選べばいいんじゃないですか」
前出のMLB担当記者が語る。
「前回大会で侍の監督を務めた栗山英樹氏は、大谷の日ハム時代の恩師でもあった。ところが、井端氏と大谷は全く接点がありません。大谷の発言も、大谷なりの謙遜のようにも取れますが、見方によっては『自分は辞退する』と言っているようでもある。もともと関係性が薄いうえ、性格も真面目な井端氏が困惑するのも無理はありません」
前回大会でひと悶着があった
実際、大谷の“WBC辞退説”をめぐっては、井端氏の杞憂とは言い切れない事情があるのだ。
「シーズン開幕前の3月に行われるWBCは、ただでさえ選手に負担がかかる。加えて、開催地が米国とアジアにまたがっているため、移動距離が長いのもネックです」(同前)
また大谷の場合、前回大会で日本国内での移動をめぐってもひと悶着があったという。
「チームに合流するために東京から名古屋に移動する必要があったのですが、侍のチーム側が移動手段の確保に手間取り、結局大谷が自分でチャーター機を用意して移動したのです。こうしたことが煩わしいと感じている可能性は否定できない」(前出・NPB関係者)
「……え、どういうことですか?」
侍監督が泡を喰った“アリゾナの乱”。井端氏はいかなる心境なのか。本人の自宅を訪ねると、玄関先まで出てきて取材に応じた。
アリゾナでの大谷発言について尋ねると、
「……え、どういうことですか?」
と、表情を曇らせる井端氏。再度同じ質問をすると、思い出したように、
「『2人“も”選んでください』と言われたんです。(大谷と話している)途中で(山本、佐々木の)2人が来て、話の途中だったので『2人も』と」
——WBCの話はした?
「いや、まだ(大谷と)会ったことがなかったんで、ご挨拶っていう感じで。(WBCが)1年後にあるっていうのは伝えて……そんな程度です。あとはどのタイミングでまた聞くのかは、向こうの状況を見て。優勝争いしているところでお邪魔しても仕方ないですし」
大谷への配慮を滲ませる井端氏。侍への参加要請をしたのか聞くと、しばらく沈黙し、
「向こうがどう捉えているかは分からないですけど……こちらとしてはご挨拶をしたかった」
「分からないですよ、正直」
——監督として「ぜひ来てね」と言葉はかけた?
「それは当然ね」
——反応はどうでした?
「まぁ……『頑張ります』と」
——「出場して頑張ります」の意味?
「まあ、うん。そんなニュアンスだった。こちらも触り程度で言ったので、この時点でそういう言葉をいただいたのは非常にありがたいなと思ってます」
——正式にオファーした際には良い答えが来るという手応えはある?
「それはね、まだ分からないですよ、正直。でも監督に就任した時からアプローチはかけていますし、十分コミュニケーションは取っているつもりです」
何とも歯切れの悪い井端氏。受け答えからは苦悩も伝わってきた。
「(正式なオファーに)いつ行くのが良いですかね?(笑) とりあえずは9月なのか、ポストシーズン後なのか、それまでは静観させていただきます。それまで会うつもりはないです」
WBC辞退は大きな損失
最後に、「大谷の参加は心配しなくてもよい?」と尋ねると、
「それはね、自分だけでなくて野球ファン、全国の皆さんが期待してることだと思いますんで。今年の(大谷の)活躍を見ていただいて、怪我しないのを祈るだけですね」
侍監督と大谷の間に横たわる微妙な距離感。別のMLB担当記者が語る。
「もし大谷がWBC辞退となれば、大会にとっても大きな損失です。日本国内でも、前回大会の経済効果は654億円と試算されましたが、大谷不在ではここまでの効果はないのでは」
国民は“侍・大谷”を待っている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年4月10日号)
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