「カミソリ入りのファンレターが届いたり…」浅野ゆう子が語る“女性のアンチファン”に嫌われていた時代と、それが180度変わった瞬間

2025年5月5日(月)8時0分 文春オンライン

 人気コミック原作のNHK夜ドラ『ワタシってサバサバしてるから』、通称「ワタサバ」のシーズン2が5月5日にスタートする。


 シーズン2の「婚活編」に登場するカリスマ婚活コンシェルジュ・東堂百合子を演じるのが浅野ゆう子さんだ。


 ドラマや映像での浅野さんはトラッドなファッションを着こなすドライなキャラクターを演じる印象が強いが、プライベートでは57歳の時に結婚し、家事などとても人間的な側面も披露してきた。婚活コンシェルジュ役にも“縁”を感じる。


 浅野さんにドラマのこと、自身の「ウェットorドライ」な性格のこと、結婚生活の意外な一面などについてお話を聞いた。



浅野ゆう子さん ©文藝春秋 撮影・深野未季


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——『ワタシってサバサバしてるから』シーズン2のオファーを受けたときの思いはいかがでしたか。


浅野ゆう子(以下、浅野) 私は読書が趣味で、本を読んでクールダウンすることが多いんですね。最近は漫画が原作の映像作品がすごく多いので、漫画もよく読むようになりました。なので「ワタサバ」も実はずいぶん前から読んでいたんですよ。自分が読んで面白いと思ったものが映像化されると、「見る目があったな」とか自己満足を感じますね(笑)。


——「ワタサバ」も映像化すればいいのに、と思っていらっしゃった?


浅野 そうなんですよ。今回の東堂百合子さんも漫画で読んでいたので、オファーをいただいたときも自分なりに想像を膨らませました。でも脚本を頂戴したら原作とは全然違うキャラクターで描かれていて。私をイメージして“当て書き”して下さったそうで、とても楽しいキャラクターになっています。


——原作とはどんな感じに違うんですか。


浅野 原作では眼鏡にパンツスーツのキャリアウーマンといった印象ですが、私が演じる百合子さんは常にミニスカートで髪も盛り盛り。自分で結婚相談所を経営しながらも、あわよくば自分が何度目かの結婚をしたい、という野心家の女性です。実はモデルになる方がいらっしゃるそうで、「ああ……なるほど」と。


「思ったことをすぐ口に出しちゃうのも私とは違うところだなぁと」


——浅野さんへのあて書きだとどんな風になるんでしょう。


浅野 服装も行動もイケイケな人です。私はそういうイメージなのかしら?(笑)実は私は普段全然そういう服は着ないんですけど。ただ東堂百合子さんはとても仕事熱心で、この道一筋30年というタイプの人。そういう部分は親近感を持ちました。思ったことをすぐ口に出しちゃうのも私とは違うところだなぁと思いましたが。


——浅野さんはぐっと飲み込むタイプなのですか?


浅野 若い頃は出ちゃうこともありました。でも、よろしくないということがわかってきた頃から言葉にする前にちょっと考えてから発言するようにしました。特に今の時代、思ったことをすぐ口にしちゃうと、炎上とかも怖いですからね。保守的とまでは思いませんが、そこは時代によって考えが改まった部分もあるかもしれません。


——浅野さんから見て、ドラマの主人公の網浜さんはどんな人物でしょう。


浅野 サバサバ……というか、どちらかというとガサツですよね(笑)。でも、それを見事にキュートに演じているのが丸山礼ちゃんなんですよ。大きいお目目がキョロキョロ動いて、怒られそうなセリフや芝居をしているのに、それがあまりに可愛くて。礼ちゃんはカメラが回ってない時も一生懸命で素敵なんです。


——それはどんなところから感じたのですか。


浅野 俳優は年齢やキャリアを重ねてくるとだんだん、リハーサルではまだまだ控えめにして、本番に向けて少しずつテンションを上げていく。でも彼女はテストから一生懸命なんです。心配になっちゃう時もありましたが、礼ちゃんのプロ根性に刺激ももらいました。


——「サバサバとガサツ」は、どんなところが違うと思われますか?


浅野 サバサバはさっぱりしてて同性に支持されそうですけど、ガサツは人に不快感を与えるのでは?(笑)。


「アイドルの男の子と対談したりすると、カミソリ入りのファンレターが届いたり…」


——浅野さんはサッパリした印象で女性のファンも多いですが、『抱きしめたい!』(フジテレビ/1988年)などでは、ウェットな恋多き女性・夏子を演じていましたよね。プライベートの浅野さんご自身はどちらが近いんでしょう。


浅野 私は色々なことをすぐ忘れちゃう性格で、根には持たない方なので、そういう意味ではさっぱりしているのでは?と思います。でも演じるうえでは逆に、『抱きしめたい!』の夏子のような、男性の前で親友の悪口を言ってみたり親友の好きな人をとってしまうような、女性に一番嫌われるタイプを演じるのが楽しくて大好きなんですよ。『大奥』(フジテレビ/2024年)のこわい総取締瀧山もしかり。今回も礼ちゃんとのバトルは楽しかった(笑)。


——たしかに「友達になれなさそうな女性」の役も多いですよね。


浅野 私は歌手としてデビューした当時、女性のアンチファンがすごく多かったんです。アイドルの男の子と対談したりすると、カミソリ入りのファンレターが届いたりしていました。まぁ、仕事だからって説明してもしょうがないし、割り切っていました。


——俳優さんの好き嫌いは役の印象に大きく左右されますよね。


浅野 そんな経験もあり、同性に嫌われる女性のタイプというのがわかっていた部分もあり、逆に嫌なキャラクターの役はデフォルメして作りやすく、演じて楽しかった。


——女性のファンが増えたのはいつ頃からですか?


浅野 トレンディドラマに出演させていただいたら突然! 180度逆転して今度は女性のファンしかいなくなっちゃったんです(笑)。私自身は特別何か変わったわけでもないのに、不思議な、面白い現象、世界だなぁと思いました。


——ファン層が180度変わったのは、空気として感じましたか。


浅野 感じました。やっぱり『抱きしめたい』効果が大きくて、ファッションブックという写真集を出させていただきサイン会をしたらお客さまが女性しかいませんでした(笑)。握手をして泣いてくださったり。同じ女性に好きといっていただけることが、こんなにも嬉しいことなんだと、とても大きなプレゼントをいただいた気持ちになりました。


——逆に、男性ファンは去っていった?


浅野 20歳前後は水着や露出の多いものを着るセクシー路線を走っていましたので、男性ファンばかりでしたが、俳優として仕事がドラマに移っていって女性としての色気を感じられなくなっちゃったのかもしれませんね(笑)。まぁもともと色っぽくはなかったんですけど(笑)。作家の林真理子先生が「普通、仕事を続けていくと、だんだん洋服を脱いでいく。洋服を着込んでいって、売れたのは珍しい」とおっしゃってくださったこと、とても嬉しかったです。


——本当はウェットなのに物わかりのいい風を装うことが「自称サバサバ」と揶揄された時期もありましたが、今は弱音や愚痴をそのまま出していこうという雰囲気ですよね。


浅野 「日本人はNOが言えない」と昔から言われてきましたが、嫌な思いを抱えたことが重荷になって精神的に疲れてしまうのであれば、これは嫌ですと言えちゃうのは良いことだと思いますね。


——浅野さんご自身はNOが言えるほうでしたか。


浅野 一度若い頃に、ドラマの衣装合わせで「私はこれは着られない」と言ったことがあるんです。そうしたら演出家の方に「たしかに浅野ゆう子はこの服は着ないよね。でもこの役の人は着るんだよ」と言われて、確かに! と納得したことがあります。キャラクターのイメージをプロの方が相談して持ってきてくださった。それ以来、理由が納得できたらNOは言わないようにしようと決めました。


親しい人からの「本当に遠慮しぃだよね」「もう少し女性らしくしたら?」


——プライベートではいかがですか。


浅野 プライベートの方がどうしても気を遣っちゃいます。友人にご飯に誘われて、疲れて乗り気じゃない時も断れなかったり。友人に会いたい気持ちが勝ってしまうのもありますけど、「本当に遠慮しぃだよね」とよく言われます。


——それは旦那様にも同じですか?


浅野 夫には「もう少し女性らしくしたら?」と言われることが多いので、あまり遠慮もウェットさもないかもしれませんね。もしかすると友人に対してが、一番ウェットかもしれません。


——ドラマで演じる結婚相談所の社長さんもかなりキツイ結婚観ですよね。


浅野 顔は良いに越したことはないけど大事なのは外見ではない、かといってお金でもない、愛情があればそれで良いんだ、と。


——ということはいま結婚の相談を受けたら、そのアドバイスを採用しそうですか?


浅野 します……と言いたいところですけど、結婚の相談は私じゃない人にしたほうがいいんじゃないかなと思います。だって私が結婚したのは57歳の時ですから、もうちょっと早く決めた人に聞いた方が良いと思います(笑)。

〈 「1人で生きていく気満々」だった浅野ゆう子が57歳で結婚した意外な理由と、「もうちょっと女性らしくしよう」と言われた時の“無理しない”対処法とは 〉へ続く


(田幸 和歌子)

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