フジテレビ「AI利活用委員会」を新設 アドバイザーに新社外取締役・稲田雅彦氏
2025年5月7日(水)18時20分 マイナビニュース
フジテレビは7日、人工知能(AI)技術の活用を推進するため、「AI利活用委員会」を設置することを明らかにした。AI技術の活用領域拡大と利用ガバナンス強化を並行して行いながら、コンテンツ企画・制作や日常業務での活用を進めるとしている。
同局ではこれまで、放送アーカイブへのメタデータ入力業務の支援などでAIを活用し、一定の効果を得たという。これを踏まえ、今後はより一層利用領域を拡大し、サプライチェーン(コンテンツ制作領域)、デマンドチェーン(マーケティングを含めたビジネス領域)、業務システム連携の3つの側面でAI利活用を推進し、総合的に生産性を高め、新たな価値創出を目指す。
一方で、AI利用に伴う偽誤情報や著作権侵害などのリスクを考慮し、安全にAIを利用するためのガバナンス強化が必要となることから、AIガバナンスの専門知識を持つ外部団体や専門家とも連携する。
「AI利活用委員会」の社内体制はビジネス部門や技術部門などの全社横断組織となる予定。アドバイザーには、3月27日に同局社外取締役となり、AIを活用したビジネスを展開する稲田雅彦氏が就任予定だ。
稲田氏は、東京大学大学院で人工知能を研究後、大手広告会社でAI・ビッグデータ事業立ち上げに従事、2013年に製造業のAI化・デジタル化を行う「カブク」を設立。大手製造メーカーM&A・売却後、シリコンバレーと東京を拠点とするベンチャーキャピタル「DNX Venutres」に参画しAI、IoTなどを中心としたスタートアップ投資を行っている。
また、20年11月に「エミウム」を設立し、歯科医療向けDX・AIソリューション事業を手掛けるなど、AIの利活用に知見を有する専門家で、フジ・メディア・ホールディングスの金光修社長は「メディアコンテンツの将来に向けての知見を備えているということで、若いですけれども非常に期待しております」と語っている。
将来的には活動範囲をフジ・メディア・ホールディングスのグループ全体に広げることを念頭に、連携していく方針。ニッポン放送は多言語AI翻訳ツール「リングイイネ!」、フジミックはAI文字起こしソフト「もじセレブ」の開発、サンケイビルは全社員対象「生成AI活用事例コンテスト」の開催、フジテレビは放送アーカイブメタデータ入力支援「メタロウ」とAIの活用を進めているが、事例を共有し、グループ全体のAI活用を推進する。