「太陽の塔」重要文化財へ…文化審議会が答申、琵琶湖疏水施設は国宝指定求める

2025年5月16日(金)17時0分 読売新聞

太陽の塔

 文化審議会は16日、1970年大阪万博のシンボルで、芸術家の岡本太郎が手がけた「太陽の塔」(大阪府吹田市)を重要文化財(建造物)に指定するよう文部科学相に答申した。55年を経て大阪で再び万博が開催される中、高度経済成長期の日本を象徴する万博の貴重なレガシー(遺産)として評価された。

 太陽の塔は大阪万博テーマ館の中心施設として建設された。万博のメインテーマ「人類の進歩と調和」に対し、プロデューサーを務めた岡本太郎は縄文土偶を思わせる対極的な反近代の象徴としてデザイン。来場者に強烈な印象を与えて親しまれた。

 高さ70メートルの巨大で特異な形状で、建設には当時の最先端技術を結集した。胴体の複雑な3次元曲面には数学的解析を用いた。25メートル突き出した腕の内部に人が入れる構造で、現在の技術でも困難とされる高い強度を実現した。

 万博閉幕後に撤去される予定だったが、反対する署名活動などにより保存が決まった。耐震改修工事を経て、2018年から万博以来の内部の一般公開が始まった。建造物では「瀬戸内海歴史民俗資料館」(高松市、1973年)に次いで2番目に新しい重要文化財になる。

 後藤治・工学院大教授(日本建築史)は「これほど多くの人が共通認識を持って歴史を振り返ることができる文化遺産は少ない。将来的に美術工芸品として重文指定される余地もあり、多面的な価値を持つ稀有けうな建築物だ」としている。

 文化審議会は、琵琶湖の水を京都に引き込む運河「琵琶湖疏水そすい施設」(大津市、京都市)のうち南禅寺水路閣などを国宝に、大津運河などを重文に指定することも求めた。舟運や発電、水道の機能を持った明治日本の都市基盤施設で、近代の土木構造物として初の国宝となる。

 その他の重文の答申は次の通り。

 ▽スカイハウス(東京都文京区)▽旧京藤家住宅(福井県南越前町)▽建中寺本堂(名古屋市)▽建中寺徳川家御霊屋ごれいや(同)▽旧今井貯木場施設(愛知県豊田市)▽旧下村家住宅洋館(京都市)

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