「ウ○コでも漏らしたのか」北朝鮮の若者、金正恩を過激に批判
2025年5月22日(木)4時57分 デイリーNKジャパン
金正恩総書記について、北朝鮮の若者たちの間で辛辣な批判が飛び交っていると、韓国のサンド研究所が運営するサンドタイムズが報じている。
複数の北朝鮮内部の情報筋がサンドタイムズに明かしたところによれば、若者の間では体のラインがはっきり現れる「スキニージーンズ」が流行している。放埓(ほうらつ)な体型の金正恩氏には着こなせないものだろう。このような見た目に対する意識の変化が、指導者へのイメージ批判にもつながっているという。
平安北道の情報筋は「最近、新聞やテレビでプーチンと元帥様(金正恩氏)の写真を頻繁に見かける」とし、若者は2人のファッションを比較しているとの述べた。
そして、「ズボンをピチッと履けば格好よく見える。今はそれが流行だ」と語り、「若い指導者なら、プーチンのようにカッコよく服を着こなすべきだという声が広がっている」と述べた。
1952年生まれのプーチン大統領は、今年73歳を迎えるが、日頃の体力管理によって筋肉質の体型を維持している。一方、1984年生まれで今年41歳とされる金正恩氏は、体重が140キロに達し、複数の成人病を抱えていると伝えられている。
そのビッグシルエットのファッションに、こんな評価がなされている。
「プーチンは年を取ったのに、体も引き締まっていて服装もスマートだが、わが元帥様は腹が出ていて、ウ◯コをお漏らししたようなズボンを履いている」
北朝鮮で最高指導者の権威を傷つける行為は、死刑にすらなりかねない重罪と見なされる。
それでも金正恩氏のファッション、体型などについては、最高指導者就任当初から口さがない若者たちの批判の的となってきた。それがついに「お漏らしズボン」という露骨な表現を使うに至ったのだ。
北朝鮮で高官を務めた経験を持つ脱北者のA氏はサンドタイムズに対し、「北朝鮮国民は外の文化の影響を受け、自分のファッションだけでなく、指導者のファッションにも関心を持つようになった」と述べた。
かつて平壌の男性たちは、金正恩氏のヘアスタイル「覇気ヘア」を真似していた。また、李雪主(リ・ソルチュ)夫人が女性のファッションリーダー的存在となっていた時期もあった。
だが昨今、ロシアとの交流が盛んになるにつれ、「ロシア人のようにきちんとしたスタイルの服を着るのがカッコいい」といった空気が広がっているという。金正恩氏のファッションは「時代に取り残されている」という認識が住民の間で広がっているのだ。
北朝鮮当局はいまだに服装や外見に対する統制を試みているが、市場経済の拡大、携帯電話の普及、韓国の文化コンテンツの流入、海外の情報へのアクセス拡大などにより、若い世代の意識はすでに大きく変化した。
かつての北朝鮮社会では考えられなかった指導者の外見に対する言動は、社会の抑圧された空気に「穴」が生じつつある兆しだとする見方も存在する。
両江道(リャンガンド)の情報筋は「今では言えないことは何もないくらい、住民は皆『マルパンドン』(反政府的発言を行う分子)だ」と述べた。最高指導者への批判は死刑になりうるほどの重罪だが、誰か一人を処罰したところで、効果がないほど広がってしまっているとのことだ。
こんな状況を変えようと青年教養保障法を制定するなどして、若者に対する思想教育を強化しているが、押し付けを非常に嫌う彼らは、表面上従順なフリをして、友人たちとの会話では「あのお漏らしズボン野郎」とこき下ろしているということだ。