IHI所有「ペンシルロケット」の一部が実機と判明。国分寺市役所の企画展で展示
2025年3月25日(火)21時0分 マイナビニュース
IHIは、同社が所有する「ペンシルロケット」の鑑定を行ったところ、尾翼筒部分が実機であることが確認されたと発表。3月21日から4月21日まで、国分寺市役所で開催中の「ペンシルロケット展」に出品中だ。同展の会場は国分寺市役所 多目的スペースで、入場無料。
2025年は、東京大学生産技術研究所の糸川英夫教授のチームが1955年4月12日に実施した、戦後日本初のロケット発射実験である「ペンシルロケット水平発射実験」から70年目にあたる。
発射実験場のあった東京都国分寺市では、70周年の記念事業の一環として、ペンシルロケット水平発射実験に使用された実機を専門家が鑑定する「ペンシルロケットを探せ! キャンペーン」が実施されており、IHI所有のペンシルロケットの一部が実機であることが判明した。
国分寺市役所で開催中の「ペンシルロケット展〜平和利用を目的にはじまった日本の宇宙開発」では、全国から“里帰り”したペンシルロケット実機や、当時の様子から現代にいたるまで、日本の宇宙開発にまつわるパネルなどを展示中。主催は国分寺市。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の協力のもと、日本宇宙フォーラムが企画・運営している。
なお同ロケットは通常、IHI HISTORY MUSEUM「i-muse」(東京・江東区豊洲)で展示されており、同館での展示再開は4月下旬予定とのこと。
阪本成一氏(国立天文台教授/総合研究大学院大学教授)のコメント
i-museにレプリカとして展示されているペンシルロケットの尾翼筒部分が実物なのではないかとは10年ほど前から気づいていましたが、このたび国分寺市の計らいで手に取って鑑定する機会をいただきました。その結果、レプリカとされていたものが、尾翼筒の実物のみならず、通常では観察が困難なロケット内部に「燃料押さえ板」の実物を含むものであることを確認しました。この部品は燃料の吹き抜けを防ぐために導入されたものであり、発射実験に使用することが想定されていました。尾翼筒の実物の発見は、2015年の国分寺市の記念事業を通じて鑑定・発見され国分寺市に寄贈されたもの以来であり、今回が15例目となります。当時の状況を知る関係者も高齢化が進み、貴重な実機の散逸が懸念されるため、鑑定の相談が寄せられることを願っています。
なお、ペンシルロケットの国分寺での発射実験は、機体の重量バランスや燃料の量、尾翼角などの条件を変えて1955年4月12日から23日にかけて27回行われましたが、今回実物であることが確認された尾翼筒は、燃料全量、尾翼角5度に対応するものです。同型の尾翼筒を用いた発射実験は5回行われましたが、今回確認された尾翼筒が実際に発射されたかどうかは不明です。
レプリカのノーズ部分を含めた機体構成はFull-25D(燃料全量、ジュラルミン製ノーズ、尾翼角5度)で、株式会社IHIエアロスペースが所有し野口聡一宇宙飛行士とともにスペースシャトルSTS-114で地球を周回したものと同型です。