科学大など、短期間データに基づく認知機能変化の予測AI「SOLPCS」を開発

2025年4月9日(水)6時2分 マイナビニュース


東京科学大学(科学大)と国立長寿医療研究センター(NCGG)は4月7日、短期間の認知機能テストデータを基に自己組織的に予測モデルを構築し、長期的な認知機能の変化予測AI「Self-Organized Longitudinal Prediction-Classification-Superposition」(SOLPCS、ソルピクス)を開発したことを共同で発表した。
同成果は、科学大大学院 医歯学総合研究科 臨床統計学分野の佐藤宏征講師、同・花澤遼一大学院生、同・平川晃弘教授、NCGGの鈴木啓介センター長、名古屋大学の橋詰淳講師らの共同研究チームによるもの。詳細は、IEEEが刊行する健康情報学を扱う学術誌「IEEE Journal of Biomedical and Health Informatics」に掲載された。
アルツハイマー病(AD)では、早期介入が進行抑制につながる可能性があるが、健常者の認知機能を長期間追跡調査するのは困難だ。そのため、2〜3年の短期データに基づく長期的な変化予測手法が求められている。
平川教授らが過去に開発した統計モデルと微分方程式を組み合わせた予測手法では、集団全体に共通の疾患進行パターンが想定されていた。ただしADの進行速度には個人差があるため、速い場合と遅い場合の違いを反映できず、予測精度低下の可能性があった。そこで研究チームは今回、平川教授らの手法を拡張し、短期間の認知機能データを基に自己組織的に予測モデルを構築するAIの開発を目指したという。
今回開発されたSOLPCSは、疾患進行パターンを分類して予測を行うと共に、個人の認知機能テストの実測データを重ね合わせることで、高精度な個別化予測を可能とする。その予測精度は、日米のアルツハイマー病研究データのアミロイドβ(Aβ)の陽性集団を対象とした認知機能テストで検証された。その結果、疾患進行パターンは疾患低下速度の緩徐型、中等度型、急速型に分類され、それぞれ長期的な認知機能変化が予測されたとのこと。SOLPCSは、認知機能テストにおいて最大約10%以内の誤差で長期的な認知機能の変化を予測可能と確認され、臨床応用の可能性が示唆された。
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