【角田裕毅F1第13戦密着】スピンはPUトラブルに影響せず。走行時間を失うも「他車のオンボード映像を見て学習」
2021年F1第13戦オランダGPのフリー走行1回目、セッション開始から十数秒後、コースインした角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)は、最初のバンクがついたコーナーであるターン3で後方から来たチームメートのピエール・ガスリーにイン側のラインを譲り、緩やかに立ち上がっていった。よく見ると、『エアロレーキ』と呼ばれる動的状態で空気の速度、流量、角度、圧力などを測定するセンサーが取り付けられてあった。
エアロレーキを装着しての走行では、ラップタイムはまったく重要ではないため、チームメイトに進路を譲ったわけだ。しかし、直後のターン10でスロットルを開けた瞬間にスピン。マシンにダメージを与えることはなく、すぐに走行を再開。もう1周した後、ピットインした。すぐにピットアウトした角田だったが、直後に再びピットイン。そして、角田はその後、フリー走行1回目で再びコースインすることはなかった。
「午前はいくつか空力コンポーネントをテストしましたが、パワーユニットにちょっとした問題が発生して、調査のために走行を切り上げざるを得ませんでした。走行できなかった時間は他のマシンのオンボード映像をたくさん見て、午後のセッションまでにできるだけ多くのことを学ぶようにしていました」(角田)
パワーユニットにトラブルが発生してピットインする直前に、角田がスピンしていたため、そこになんらかの関係があったのではないかと心配したが、ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターによれば、「それはまったく影響していない」と言う。
ガレージに戻ってきた角田のマシンは、エンジンカウルが外され、メカニックやエンジニアたちによって入念にチェックされた。
フリー走行1回目に再びコースインできなかったのは、「一部電装系周りのハーネスに損傷が出ていて、それらの交換やその真の原因、その辺りを明確にするという作業を行っていた」(田辺TD)からだった。
「ただし、原因に関してはすべて把握できて、損傷パーツはすべて交換してフリー走行2回目に臨み、フリー走行2回目での走行で、問題がなかったことが確認されています」(田辺TD)という。
こうして角田のオランダGPは事実上、フリー走行2回目から始まったわけだが、角田に焦りはなかった。それは前半戦で課題だったレース週末の組み立てが、後半戦は改善されているからだ。
前半戦の角田はライバルチームやチームメイトとのタイム差を気にするがあまり、マシンに完全に自信が持てる前にプッシュして、コントロールを失ってクラッシュした苦い経験がある。
ベルギーGPは雨が降る難しいコンディションだったが、マシンにダメージ与えることはなかった。そして、それはトラブルとともに幕を開けたオランダGPでも同じだった。初日13番手だが、数字以上に力強さを感じた1日だった。
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