サウジアラビア移籍を断った8人の名選手

2025年1月19日(日)16時0分 FOOTBALL TRIBE

写真:Getty Images

近年のサッカーシーンで、目を背けられないのは2034年のFIFAワールドカップ(W杯)の開催地であるサウジアラビアだ。同国のサウジ・プロフェッショナルリーグ(SPL)は、豊富な資金力を武器に移籍市場の様相を一変させてきた。


2022年末にポルトガル代表のFWクリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)がSPLに移籍して以降、元フランス代表のFWカリム・ベンゼマ(アル・イテハド)、MFエンゴロ・カンテ(アル・イテハド)、FWムサ・ディアビ(アル・イテハド)、そしてブラジル代表のエースFWネイマール(アル・ヒラル)など、多くの欧州を拠点としていた一流選手たちがサウジアラビアのクラブに加入している。


しかし、一般市民からは想像をはるかに超えるような高額契約を提示されたすべての選手がこの国への移籍を選んだわけではない。キャリアの選択肢としての価値や競技環境への疑問、家族の意見を優先する価値観などが、金銭面での圧倒的な魅力を越えて選手の移籍決断を左右している。


ここではその金銭的な魅力を誇るSPLへの移籍を断り、自らのサッカーへの熱い情熱を示す道を選んだ8人の選手を紹介しよう。




マーカス・ラッシュフォード 写真:Getty Images

マーカス・ラッシュフォード(マンチェスター・ユナイテッド)


プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドで、1月の移籍市場の放出候補になったと報じられ続けているFWマーカス・ラッシュフォード。同選手はSPLのクラブからの3度のアプローチを断ったと伝えられている。


27歳とまだ全盛期であるラッシュフォードはイングランド代表への復帰を目指し、プレミアリーグや欧州トップクラブへの移籍を希望しており、その移籍先にはスペインの名門バルセロナなどが挙がっている。まだまだ、欧州トップクラブでの活躍が期待できる実力と若さを兼ね備えているだけにSPLへの移籍は考えられないだろう。




ウスマン・デンベレ 写真:Getty Images

ウスマン・デンベレ(パリ・サンジェルマン)


アル・ナスルは2023年にMFセコ・フォファナ(アル・イテファク)やMFマルセロ・ブロゾビッチといった選手を獲得した後、パリ・サンジェルマン(PSG)所属のFWウスマン・デンベレにも目を向けていた。当時バルセロナで契約が残り1年となっていたデンベレは、サウジアラビア移籍が現実味を帯びていた。


しかしデンベレは、アル・ナスルから提示された5年契約(年俸約68億3,946万円、週給にして約1億3,197万円)を断ったという。欧州に留まる道を選んだデンベレは現在、PSGで輝きを放つプレーを見せ続けており、選手としての価値をさらに上げたのかもしれない。




ジェイミー・バーディ 写真:Getty Images

ジェイミー・バーディ(レスター・シティ)


2023年にレスター・シティがプレミアリーグから降格した際、複数のサウジアラビアのクラブが元イングランド代表のFWジェイミー・バーディに関心を示した。しかし、バーディはこれを即座に拒否し、レスターのサポーターに安堵をもたらした。


現在38歳となったベテランストライカーであるバーディは、家族のことも考え、湾岸地域への移籍を検討外としたようだ。代わりにレスターをわずか1シーズンでプレミアリーグに復帰させる活躍を見せ、現在も年齢を感じさせない精力的なプレーで若手への見本となり、レスターのレジェンドとして無くてはならない存在となっている。




リオネル・メッシ 写真:Getty Images

リオネル・メッシ(インテル・マイアミ)


アルゼンチン代表のキャプテンFWリオネル・メッシは、メジャーリーグサッカー(MLS)のインテル・マイアミを選んだが、一時はサウジアラビア移籍の可能性が非常に高いと見られていた。アル・ヒラルは、バロンドールを7回受賞しているメッシに約1,899億円という驚異的な契約を提示していた。もし実現していれば、この金額はC・ロナウドの年棒をはるかに超える金額となっていた。


しかし、メッシはアメリカへの移籍を決断。2021年から2023年まで在籍していたPSGのホームタウンであるフランスの首都パリでの日常生活に嫌気が差していたメッシは、家族との生活をより楽しむ充実した日常生活を求め、サウジアラビアではなくアメリカの地を選択したという。


ルカ・モドリッチ 写真:Getty Images

ルカ・モドリッチ(レアル・マドリード)


アル・ヒラルは、SPLの他クラブがC・ロナウドやベンゼマといったスター選手を相次いで獲得する中、トップクラブの地位を維持するため、スペインの名門レアル・マドリードのレジェンドを狙っていた。それがクロアチアの英雄であるMFルカ・モドリッチだった。


モドリッチは、SPLで3シーズンプレーする契約として約324億2,572万円を提示されたという。しかし、常に安定したパフォーマンスを見せるクロアチア代表のキャプテンでもあるモドリッチは、自身と家族がマドリードに落ち着いていることや、世界最高峰のクラブへの愛情を理由に残留を選んだ。




セルヒオ・ブスケツ 写真:Getty Images

セルヒオ・ブスケツ(インテル・マイアミ)


元スペイン代表でバルセロナの司令塔であったMFセルヒオ・ブスケツ。ラ・リーガで優勝9回、UEFAチャンピオンズリーグ優勝3回、2010年W杯優勝、さらに2012年UEFA欧州選手権優勝という輝かしいキャリアを過ごし、2023年5月にバルセロナ退団を発表した。当時の報道によれば、PIF(サウジアラビア公共投資基金)が所有する4クラブの内の1つがブスケツを非常に熱心に獲得しようとしていたようだ。


しかし、元バルセロナのチームメイトであるメッシと同じく、ブスケツもマイアミへの移籍を選択した。後に元バルセロナのDFジョルディ・アルバやFWルイス・スアレスもこのチームに加わったことから、ブスケツの判断は正しかったと言えるのかもしれない。




ロメル・ルカク 写真:Getty Images

ロメル・ルカク(ナポリ)


2022/23シーズン、プレミアリーグのチェルシーからセリエAのインテルに期限付き移籍していたFWロメル・ルカク。同シーズン終了後にアル・ヒラルから年俸約40億円というオファーを受けていたが、ベルギーメディア『HLN』に掲載されたインタビューで、SPLのレベルに疑念を持っていたことを明かしている。


しかし、最近ではルカクの考えは変化したようだ。SPLのレベルは上がっていることを示唆していると同時に、より多くの選手がSPLでプレーするだろうと発言しており、自身も近い将来サウジアラビアの地へ降り立つことになるのかも知れない。




オリビエ・ジルー 写真:Getty Images

オリビエ・ジルー(ロサンゼルス)


2023年セリエAの名門ミランに在籍していたFWオリビエ・ジルーにとって、サウジアラビアから提示された年俸約19億円の2年契約は魅力的だったはずだ。しかしジルーは欧州でのプレーに固辞し、ミランに残留した。


その長いキャリアにおいて、アーセナルで6年(2012-2018)、チェルシーで3年(2018-2021)とプレミアリーグでプレーしたジルー。チェルシーでは2020/21シーズンにCL優勝、ミランではスクデットを2021/22に獲得。フランス代表としても2018年にW杯を優勝を成し遂げており、同国代表の最多得点者でもある。


ミランとの契約が切れた2024年のジルーをSPLの各クラブは狙っていたが、家族のことも考慮しなければならないと本人が述べており、アメリカのロサンゼルスでの挑戦を選んだと伝えられている。

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