「F1大阪招致」の動きは波紋広げる 万博跡地に常設サーキット建設なら業界にメリットも

2024年1月31日(水)16時20分 ココカラネクスト

F1の大阪開催は実現するのか。今後の展開が待たれる(C)Getty Images

 大阪観光局が将来の「F1大阪誘致」を目指すと表明したことが大きな論議を呼んでいる。すでに常設サーキットの鈴鹿サーキット(三重県)で日本GPが開催されており、仮に大阪開催が決まって、かつ1国2開催が認められない場合、鈴鹿がF1カレンダーから脱落する恐れがある。F1側は積極的に市街地レースを展開しており、大阪と鈴鹿を対立させることでF1側が開催契約の契約金を釣り上げかねない事態にもなりそうだ。

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 似たようなケースがこの1月に起きた。スペインの首都マドリードで2026年から市街地コースによるスペインGP開催が決まり、長らくホストサーキットだったバルセロナ郊外のカタルーニャサーキットでF1を継続開催できるか注目を集めるようになった。

 スペインではスペインGP以外に、同国南部にあるバレンシアの公道を使ってヨーロッパGPが実施されたことがあるが、F1は1国1開催が原則。イタリアで2レース、アメリカで3レースが実施され、その原則は崩壊しているようなものだが、今季は年間24戦。働き方改革で夏休みも設けており、レース数は飽和状態に近い。

 スペイン関連では地元出身の元王者フェルナンド・アロンソしかおらず、欧州ではドイツGPもカレンダーから外れており、欧州のF1関係者もカタルーニャサーキットでの継続開催は難しいとの見方が強い。

 日本でも94、95年にTIサーキット英田(現・岡山国際サーキット)でパシフィックGPが開催され、鈴鹿の日本GPとの連闘も実現したが、トヨタの主導のもと富士スピードウェイ(富士)で2007、08年と日本GPが実施された際は1国2開催が実現せず、鈴鹿は開催カレンダーから外れた。

 元F1ドライバーの小林可夢偉も兵庫県尼崎市出身ながらX(旧ツイッター)で「ドライバーとしてあの鈴鹿を速く、気持ちよく走りたい、F1における日本GPってそれでいいと思うが」と大阪招致の動きに難色を示した。F1関係者も「公道レースはランオフエリアがほとんどなく、ミスすればガードレールの餌食になる。一瞬も気を抜けないことから走りたくない選手は多い」と指摘する。

 ただ、大阪・関西万博の跡地を常設サーキットを備えた統合型リゾートにする構想が練られており、それが実現すれば、モータースポーツ界が活気づく可能性はある。

 北海道、東北、関東、中部、中国、九州と日本各地にビッグレースができる大規模サーキットはあるが、関西だけはなぜか空白地帯だった。兵庫県中部の多可町にはセントラルサーキットがあり、かつては全日本GT(現スーパーGT)のオールスター戦を1度だけ実施した例があるが、コース距離が短いなどの理由で全日本クラスのシリーズ戦は実施されていない。

 もともと関西はレーシングカートレースなどが盛んで、歴代のF1経験者では鮒子田寛、野田英樹、井上隆智穂、中野信治、小林可夢偉が関西出身。F1招致はともかく大阪市内に常設サーキットができるメリットは大きい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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