“スポーツカー黄金時代”にヴァルキリーで挑むアストンマーティン「競争が激しいからこそ参加する」

2025年2月5日(水)17時45分 AUTOSPORT web

 耐久レース部門のボスであるアダム・カーターによると、アストンマーティンは『ヴァルキリーAMR-LMH』での最初のシーズンレースで「競争力を発揮」することを目指しているという。同ブランドは現在、WEC世界耐久選手権とIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の両キャンペーンに挑む準備を進めている。


 6.5リッターV型12気筒NAエンジンを搭載するアストンマーティン・ヴァルキリーのレースカーは、2月28日に中東で行われるWEC開幕戦『カタール1812km』で公式戦デビューを果たし、2週間後にはアメリカ・フロリダ州で開催される『セブリング12時間レース』でウェザーテック選手権に初参戦する予定だ。


 これらのプログラムが開始されるのに先立ち、イギリスの老舗スポーツカーブランドは5日、​トム・ギャンブル、マルコ・ソーレンセン、ロス・ガン、ロマン・デ・アンジェリスの4名がハート・オブ・レーシング・チームが運営する“アストンマーティンTHORチーム”に参加すると発表。以前確認されたハリー・ティンクネルとアレックス・リベラスとともにトップクラスでアストンマーティンを代表することを明らかにしている。


 カーターは選ばれたメディアに対し、ヴァルキリーAMR-LMHにとって最初のシーズンにおける現実的な野望を語り、ますます競争が激化するトップクラスのプロトタイプレースで地位を獲得することを期待していると述べた。


「私たちは競争相手の実力を充分に尊重している」と同氏。「我々はつねにそうしてきたし、それがアストンマーティン・レーシング(AMR)がWECとIMSAの両方でレースをしたいと考える理由の一部だ」


「競争が激しいからこそ、自分たちの実力を見せるために参加する意味がある」


「我々はそれを尊重しているため、もし私たちが競争力を示すかたちで2025年シーズンを終えることができれば、私はそれを良いポジションとして受け止めることができる」

IMSA GTPクラスで、ロス・ガンとロマン・デ・アンジェリスがドライブする23号車アストンマーティン・ヴァルキリーAMR-LMH(アストンマーティンTHORチーム)


■ル・マンに向けてテストを継続


 アストンマーティンによると、5日にマシンカラーリングが公開されたヴァルキリーAMR-LMHは、昨年7月にロールアウトされて以来、ヨーロッパ、中東、アメリカのサーキットでのテスト走行距離が15,000kmに達したという。


 カーターは、ハイブリッドシステムを使用しない最新のル・マン・ハイパーカー(LMH)規定マシンがレース前のテストを事実上完了していると述べ、今後は6月のル・マン24時間レースに備えてシーズン中のさらなるテスト走行が予定されていると説明した。


「今年に入ってから、私たちは最初のレースイベント(WEC開幕戦)に行くことに完全に集中している」とカーターは語った。


「マイレージを伸ばすために年間を通じてテストを計画している。とくに、おそらく誰にとっても驚きではないと思うが、ル・マンに向けてテストを継続する予定だ」


「数週間後にカタールで開催される最初のレースの車検が終われば、テスト規制が適用される。そのためクルマを出荷する前のシェイクダウンなどを除き、最初のレースを前にしたテストは事実上中止した」


「そしてル・マンに向けて、レギュレーションで許可されている範囲内で耐久テストなどを続けていく」

他メーカーが純粋なプロトタイプでレースに臨むなか、アストンマーティンはエイドリアン・ニューウェイが設計に携わったヴァルキリーのロードカー(右)の派生モデルをベースにレーシング・ハイパーカー(左)を開発した


■ドライバーラインアップの核となる“能力のミックス”


 カーターはまた、ヴァルキリーをドライブすることとなった6名の選考プロセスについていくつかの洞察を提供し、プロトタイプの経験を持つドライバーと、よりGTに重点を置いたバックグラウンドを持つドライバーを組み合わせることにしたと述べた。


「もちろん、テスト中はドライバーをミックスしてきた」と彼は語った。


「テスト期間中は能力のミックスを行ってきた。(プロトタイプの)経験があるドライバーと経験のないドライバーがいるなかで、彼らがどれだけうまく適応できるかを確認するためだ」


「私たちは、誰がドライバーのラインアップに入るかという見通しを持って出発し、実際に最終的なクルーを決めるために相対的な基準と比較することで、事実上のデューデリジェンスを効果的に行った」

WECハイパーカークラスは007号車と009号車の2台体制。IMSA GTPクラスには1台のヴァルキリーAMR-LMHが参戦する


 注目すべきは、マクラーレンのファクトリードライバーとして2年間の在籍期間を終えたあと、同じ英国車ブランドのプログラムに参加したギャンブルが含まれていることだ。


 23歳のイギリス人はマクラーレンのファクトリードライバーとなる以前、ハート・オブ・レーシングでウェザーテック選手権に散発的に出場した。またユナイテッド・オートスポーツではELMSヨーロッパ・ル・マン・シリーズのLMP3タイトルを獲得し、ステップアップしたLMP2クラスでも勝利を挙げている。


「ハート・オブ・レーシングのアストンマーティンでレースに出たとき、彼は非常に良いパフォーマンスを見せくれた」とカーターは語った。


「トム(・ギャンブル)は才能において成熟度と能力の高さを示し、その頃からつね注目されていた。以来、彼は他のブランドでレースをしてきたが、彼は自身のチャンスを見出した」


「彼はフォーミュラレースの出身であり、ダウンフォースカーのバックグラウンドを持っている。そのため(ハイパーカーに)適応している。私たちは彼をテストしたが、非常に良いパフォーマンスを見せてくれたよ」


「また、彼のフィードバックはとても良いもので、私たちの期待と一致していた。つまり彼はチャンスを与えられ、それを見事につかみ取った。純粋に実力でその地位を獲得したんだ」


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