大谷翔平とは「時代が違う」と指摘 偉大なる本塁打王ボンズが異論「今の選手は心配無用。ただ打ちまくるだけ」
2025年3月8日(土)7時0分 ココカラネクスト

現球界で異彩を放つ大谷(左)。その存在を「特別」と語ったのはボンズ氏(右)だ。(C)Getty Images
昨今の球界において一挙手一投足に注目が集まっているのは、大谷翔平(ドジャース)なのは間違いないだろう。長い球史においても数少ない二刀流を続ける彼の存在は、スポーツ界全体で見ても稀有。その異端さ、そして娯楽性に大衆の関心は高まるばかりだ。
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そんな稀代のスーパースターに異論を唱えるレジェンドがいる。現地時間3月6日に米ポッドキャスト番組『All the Smoke』に出演したバリー・ボンズ氏だ。
禁止薬物の使用疑惑で晩節を汚したボンズ氏だが、90年代後半から2000年代のメジャーリーグにあって、彼もまたお茶の間をにぎわせる存在だった。とりわけ圧巻だったのは2001年で、打率.328、73本塁打(年間史上最多)、137打点、OPS 1.378のハイアベレージを記録。球界を騒然とさせた。
MLB史上最多となる通算762本塁打など金字塔も叩き出してきたボンズ氏にとっても、大谷は「ピッチングも、バッティングも、ずば抜けている。さらに走塁も素晴らしい。まさに完璧で、あの実力に疑いの余地はない」と断言する偉才だ。しかし、還暦になるレジェンドは「彼の凄さは明らかだよ。ただね、時代とともに野球のスタイルってものは変わったんだ」と続けている。
「私がプレーしていた頃と今の野球はまるで違う。私の時代ならオオタニが何も考えずに2本もホームランを打つなんてことはない。それはありえないんだよ。その前に1球は頭に向かって投げられてくるからね。それに盗塁を2つ決めるなんてこともない。誰かが、打席に立った段階で彼の膝を狙って潰しにくるはずだ。昔の野球はそういうゲームだったんだ。誰であろうと関係なかった」
暗黙のルールが色濃く存在し、今のよりもどこか殺伐としていたという自身の現役時代との“比較論”を口にしたボンズ氏。稀代のスラッガーは、「今の選手のようにバットを高く放り投げて、ベースを一周するようなマネをすれば、私の時代なら打ちのめされて、星が見えるどころか、病院送りだ」とポツリ。「だから常に気を付ける必要はあった。ホームランを打った次の打席に何が来るかは分かっていた。内角へのボールだ」と続けた。
さらに「時には慎重になることもあった。でも今はその心配は無用だ。ただ打って、打って、打ちまくるだけだ」と苦笑いを浮かべたボンズ氏。だが、それでも大谷は「特別だ」と言う。
「オオタニだけは違う。彼は本当に凄い選手だ。個人的な意見としては、彼にはぜひ打者に専念してほしいと思う。あの打撃の才能は規格外だからね。投手としては、やはり疲労が負担になるだろうね。だから時々ブルペンから登板するのがいいんじゃないかと思う。DHをやっているわけだから、ブルペンから出てきて1イニングか2イニング投げることもできる」
同じ左のホームランバッターとして大谷への持論を語ったボンズ氏。環境の違いに関してはやや筋違いな論調な感は否めないが、それでも彼が「特別」と認めるところに、二刀流スターの凄みは現れている。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]