F2経験者オサリバンが面食らったノックアウト予選。接触ペナルティは「僕の方が前にいた」
2025年3月10日(月)6時50分 AUTOSPORT web

鈴鹿サーキットで行われた2025年の全日本スーパーフォーミュラ選手権の第1・2戦。FIA F2で2勝した実績を持つザック・オサリバン(KONDO RACING)は日本で初めてのレースを迎えたが、両レースともに夕方のメディアミックスゾーンでは、テストの時とは一転して険しい表情をしていた。
■序盤からポジションを上げた第2戦
3月8日の第1戦ではQ1Aグループで5番手通過を果たし、最終的に10番グリッドを獲得したオサリバン。実はノックアウト方式は初経験ということで「今まではヨーロッパで30分の計時予選だったから、新しい方式の予選が楽しみだよ!」と金曜日の時は笑顔を見せていたが、いざ初めての予選となると、その難しさを痛感していた。
「予選が難しいと感じた。この(ノックアウト)方式でアタックラップは1周だけだから、そこですべてをまとめないといけない。それを朝一番の走行でやらないといけないから、リズムを掴んでいくことも含めて難しかった」とオサリバン。
トップ10圏内からデビュー戦を迎えたがスタートで出遅れてポジション後退。その後はセーフティカーが3度も出る展開でうまく順位をあげて8位でフィニッシュしたが「決勝ではスタートが悪く、ポジションをいくつか落としたのは残念だった」と、こちらも課題が残る第1戦となったようだ。
それらの経験を活かした翌日の第2戦予選ではQ1Bグループでわずか0.067秒足りず7番手敗退となったが、「前日と比べると差が縮まったけど、残念ながらQ2には行けなかった」と結果に対してはそこまで悲観をしている様子はなく、前日失敗したスタートも第2戦では成功してひとつポジションを上げると、スプーン立ち上がりでオーバーテイクシステムを使って130Rで大嶋和也(docomo Business ROOKIE)をパス。その勢いで2周目の1コーナーではイゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)も抜いた。
「スタートはうまく行って、最初はペースも良かった」とオサリバン。3周目にピットストップを済ませて後半のロングスティントで更なるポジションアップを狙ったものの、これがうまくいかず、後半スティントでは徐々に劣勢となってしまった。
実際にオサリバンも「ピットストップのタイミングが早すぎたこともあって、後半スティントはトリッキーな展開だった。僕が予測していたことと比べると、デグラデーションは大きかった」と話すなど、苦労した様子がうかがえた。
苦しい状況が続くなか、終盤28周目には後方から迫ってきた野中誠太(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)とのバトルの中で、2コーナー立ち上がりで野中の右フロントとオサリバンの左リヤが接触。これでコントロールを失ったオサリバンがコースオフを喫し、戦線離脱を余儀なくされた。
この時の状況については「ターン2のエイペックスでは僕の方が前にいてコーナーの出口でも前にいた。僕はそのままコースを使いたかったから、その流れで立ち上がっていったらコンタクトがあった」とオサリバン。
公式アプリ『SFgo』のオンボード映像で確認すると、2コーナーでアウト側にいた野中に対して半車身ほどオサリバンが先行している状態。「(アウト側に野中がいることは)もちろん分かっていた。だけど、あの時は僕の方が前にいたから」と説明した。
一方、野中はこの状況について「僕が1コーナーでアウトから仕掛けていって、彼も2コーナーのディフェンスで膨らんできたんですけど、僕に対してのスペースがほぼないような状況で、僕はコースに留まるのに必死という状況でした。それでも彼が(アウト側に)向かってきたので、タイヤ同士がヒットした形」と語っていた。
なお、この件についてはオサリバンに対して『危険なドライブ行為』として、レース後に5秒加算のペナルティが課された。
サイド・バイ・サイドでコーナーに進入していった時に相手のスペースを残すのか、その時点で前に出ている車両にラインの優先権があるのかについては、昨年の第7戦富士で起きた山下健太とニック・デ・フリースの件が思い出される。こういったところも、スーパーフォーミュラを戦っていく上で経験のひとつになった部分かもしれない。

開幕大会を終えて「正直言うと、上出来な週末とは言えないものだった」と意気消沈気味のオサリバン。
それでも「このチャンピオンシップは簡単じゃないなと。今の僕たちはもっと改善していかなければいけないところがある。次のもてぎでどこまで上に行けるか、とにかく頑張るよ」と、次大会での挽回を誓っていた。
次のモビリティリゾートもてぎは彼にとって初走行となるコース。事前のテストもないため、金曜日に行われる2回のフリー走行でアジャストしていく必要がある。
ちなみにコースを事前に覚える方法についてオサリバンは「基本的にオンボード映像で勉強するつもりだ」と、シミュレーターは使わないとのこと。「どれも名の知られたコースだから、(オンボード映像の)データもいっぱいある。まずは鈴鹿の経験が終わったけど、もてぎ以降は新しいトラックが続くから楽しみだ」と語った。