井上尚弥戦の悪夢は「乗り越えた」 “歩行不可能”で敗れたドヘニーが再起誓う「つらかったが、もう過去。全て水に流した」
2025年3月14日(金)17時0分 ココカラネクスト

井上に防戦一方で敗れたドヘニーは、ボールとの大一番に挑む。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext
ショッキングな敗北から約7か月。38歳のベテランがふたたび王座に挑む。
ボクシングの元IBF世界スーパーバンタム級王者のテレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)は、現地時間3月15日に英リバプールのM&Sバンク・アリーナで、WBA世界フェザー級王者ニック・ボール(英国)との世界戦に挑む。
【画像】強すぎる!井上尚弥が曲者ドヘニーを粉砕!モンスターが見せた7回TKO劇を厳選写真でお届け
異例のビッグマッチに鼻息は荒い。昨年9月に東京・有明アリーナで世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)に挑戦したドヘニーは、地力の差を見せつけられる形で7回TKO負け。相手の猛打を前に成すすべなく、最後は腰を痛めて無念の棄権を余儀なくされた。
文字通りの完敗というショッキングな負け方をしたドヘニーだが、思わぬ形でチャンスは舞い込んだ。“モンスター”との興行を成功させた取り組みが評価されたことで、将来的にフェザー級での井上戦実現を公言するボールとの王座戦が実現。ふたたびタイトルマッチの機会に恵まれたのだ。
もっとも、世間のドヘニーに対する評価は決して高くはない。井上戦で打ちのめされたパフォーマンスもあり、多くのメディアやファンがボール優位という見方を崩さない。実際、22戦無敗の現王者は実力と勢いで優っている感は否めない。
ただ、ドヘニーにも数多の歴戦をこなしてきたファイターとしての自負がある。現地時間3月13日に記者会見に臨んだ38歳は「ニックが俺を見下しているとは思わないが、ボクシングを知らない愚かなメディアの連中は最悪だ」と発言。自身の敗戦を一方的に予想する風潮にくぎを刺した上で、追憶の中にいる井上戦を振り返りながら、“打倒・ボール”を意気込んだ。
「すぐにトップレベルに戻す。それこそがやる気を出す原動力になる。もちろん、あの時(井上戦)はつらかった。背中を痛めて棄権したイノウエとの試合のことはもう過去のことだ。すべて水に流した。もう俺はイノウエ戦を乗り越えたし、今はリラックスしている」
さらに「もう言葉は何の意味も持たない。土曜の夜の試合で全てが明らかになる」と続けたドヘニーは、こうも断言している。
「ボールが世界チャンピオンになったのには理由がある。だが、俺も自分の能力に自信を持っている。みんながイノウエとの将来についてあれこれ語って、興奮している。だけど、彼(ボール)は愚か者ではない。土曜の夜に厳しい戦いが待っていることを知っているはずだよ」
果たして、熟練の名手は井上戦をも見据える王者の牙城を崩せるか。リバプール決戦は、“モンスター”の近未来をも左右する一戦だけに目が離せない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]