サッカー界に蔓延る人種差別…ヴィニシウスが涙の訴え「プレーする気力を失う時もある」

2024年3月26日(火)9時40分 サッカーキング

会見で涙を流したヴィニシウス [写真]=Getty Images

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 レアル・マドリードに所属するブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールが、涙ながらに人種差別との闘いについて語った。25日、スペイン紙『マルカ』がコメントを伝えている。

 ヴィニシウスは2018年夏に加入したレアル・マドリードでここまで公式戦253試合に出場し、77ゴール72アシストをマーク。“白い巨人”の攻撃の主軸として数々のタイトル獲得に貢献している。しかし、23歳のブラジル代表FWはラ・リーガの舞台で度々人種差別の標的に。昨年5月にバレンシアの本拠地『メスタージャ』で行われた一戦では、一部観客による人種差別行為により、試合が約10分間に渡って中断される事態も発生した。

 現地時間26日には、レアル・マドリードの本拠地『サンティアゴ・ベルナベウ』にてスペイン代表とブラジル代表による国際親善試合が行われる。この試合は、現代サッカー界に蔓延る差別を念頭に、両国の連盟が暴力や人種差別行為の撲滅を目指す活動の一環として開催を決定。ブラジル代表メンバーに名を連ねたヴィニシウスの出場も期待されている。

 試合の前日会見に出席したヴィニシウスは「ベルナベウでブラジル代表のユニフォームを着てプレーするのが夢だった。どちらも世界最大のチームの1つであり、久々の対戦は非常に重要なものになるだろう。とても幸せだし、試合を楽しみにしているよ」とコメントしつつ、自身も標的となっている人種差別について、涙ながらに言葉を紡いだ。

「ただサッカーがしたいだけなのに、ますます悲しくなるし、プレーする気力を失う時もある。毎試合、そして毎日のように非常に悲しいことが起こっている。それは僕だけのことではなく、世界中で起きていることなんだ。僕の父も黒人だったから、常に困難を抱えていた。僕も凄まじい侮辱を受けたことがある。僕は毎日、同じような状況を経験している人々のために戦っているんだ。もしも、それが僕や家族のためだけだとしたら、続けているかは分からない。僕は大義を守るために選ばれたと感じているし、5歳の弟が僕と同じような経験をしないで済むように、毎日取り組んでいる」

 ラ・リーガで人種差別の標的となりながらも、ヴィニシウスはスペインから去ることを考えなかったという。その理由については「僕がここを離れたら、人差別主義者たちが望むものを与えてしまうことになる。僕はここで戦い続け、世界最高のクラブでプレーし、ゴールを決め、タイトルを取り続ける必要がある。そうすることで人種差別主義者たちは僕の顔を見続けることになるんだ。僕は仲間とスタジアムに足を運ぶすべての人々に喜びをもたらすために進化し続ける。会長とクラブもサポートしてくれるので、これからも毅然として強くあり続けるつもりだ」と明かした。

 ピッチ内だけでなく、人種差別との闘いにも身を投じるヴィニシウスは「近い将来、僕たちがより平等な社会に生きられることを願っている。すべての人々が普通の生活を送り、家に帰ってきた時に何の問題も感じないようにね」と語る。これからも“不屈の精神”で活躍を続けていくことだろう。

サッカーキング

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