遅すぎても、早すぎてもダメ?!投手・大谷が受けたピッチクロック違反の驚きの中身

2023年4月7日(金)11時43分 ココカラネクスト

(C)Getty Images

 遅すぎても、早すぎてもダメなのか。エンゼルス・大谷翔平が5日のマリナーズ戦で投手としても、打者としても、今季から採用の新ルール「ピッチクロック」の違反を受けた。1試合で投打ともに違反した最初の選手、という取っつきやすい枕詞がメディアに躍ったが、実は投手として宣告された違反には別の意味があった。

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 ピッチクロックは長すぎる野球の試合時間短縮のために始まった。投手は捕手から送球を受けてから、走者なしでは15秒以内、走者ありでは20秒以内に投球しなければならない。打者は残り時間が8秒以下になる前に、打席で準備を整え構えなければならない。違反した場合には、投手なら1ボール、打者なら1ストライクが宣告される。

 打者・大谷はこの制限時間を守れなかったのだが、投手・大谷は制限時間はオーバーしていなかった。宣告時点でピッチクロックは残り13秒もあった。ただ、相手打者が構える前に投球動作に入ったとして、違反が宣告された。ルールでは打者が先に構えなければならず、また投手は打者が構えてから投げなければならないと定義されている。要するに、本来ペナルティーを受けるべく「遅い」からではなく、逆に投球動作に入るのが「早すぎる」として1ボールを宣告されたのだ。

 大谷は3月30日のアスレチックスとの開幕戦でも、5回終了時に「投球間隔が早すぎる。打者がしっかり構えてから投げなさい」と注意を受けていた。前回は警告で済んだが、今回は2度目ということでペナルティーを科された。

 大谷自身も投球動作に入るという動きについて、試合中、また試合後にも審判に入念に確認したことを明かしている。「審判の方もグレーゾーンみたいな感じだった。ルールができてまだそんなにたっていない。試験的になる部分ももちろんあるし、対応していくのはみんな同じなので」と試合後に語っていた。

 確かにピッチクロックによって投手が投球テンポを早めることによって、投手が有利になると指摘する声もある。メッツのマックス・シャーザーはオープン戦でこのピッチクロック対策に早いテンポで投げ込み、今回の大谷と同様に打者が構える前に投げたとしてボークを宣告された。それでも「このルールは好きだ。投手がテンポを支配できる。生かすことができる」と導入に歓迎の意を示していた。

 遅くても、早すぎてもダメとはなんともやっかいなルールに映るが、平均試合時間はここまで30分近く短縮され、3時間を切るレベルで推移している。大谷が話したように導入まもなく、いずれ選手や審判にも「慣れ」というか、ちょうど良い「間」であり「基準」が醸成されていくのだろう。それまではどこか奇妙な感覚を強いられることとなりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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