【コラム】バルサ撃破に沸いたローマ、会長は観光名所の噴水に歓喜のダイブ!?

2018年4月18日(水)17時55分 サッカーキング

4強進出に喜んだのは選手や監督だけではなかった [写真]=Getty Images

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 試合後のロッカールームはまるで優勝したかのような雰囲気だった。チャンピオンズリーグ準々決勝のファーストレグで大敗したローマが、セカンドレグでバルセロナを破り、ミラクルでベスト4入りを果たした。この大金星に喜んだのは選手だけではなかったようだ。

 バルサとの初戦は1−4と惨敗。そこから歴史的勝利を収めたのには、エウゼビオ・ディ・フランチェスコ監督のサプライズ戦術があった。ズデネク・ゼーマンの下で指導者としての修業を積んだ同監督のベースは4−3−3。バルサ戦セカンドレグの前に行われたセリエA第31節のフィオレンティーナ戦でも、通常通りの布陣で戦いホームで0−2と敗戦していた。その夜、同監督は朝の5時まで眠れず、そこで「バルサにプレスをかける違うやり方」を思いついたのだという。

 初戦を見て、正直、私も「監督として成長し続けているが、まだヨーロッパの壁は厚い」と感じた。しかし、ディ・フランチェスコ監督は「結果がすべてで、批判も受ける。だが私は信じていた。そして選手たちにそれを伝えた。我々はポジティブだった」と諦めてはいなかった。スタディオ・オリンピコにバルサを迎えたローマは、3−4−1−2、3−4−3のフォーメーションで試合に臨んだ。“奇襲”といってもいいだろう。同監督が「私は気が狂ったのかもしれない」ともらしたほどだ。

 左サイドバックのブルーノ・ペレスを控えにし、中盤右にアレッサンドロ・フロレンツィを置いて厚みを出す。エディン・ジェコを中盤ラインに近づけたコンパクトな方法を取った。トップのパトリック・シックも機能し、開始早々のジェコのゴールを皮切りに、後半にはダニエレ・デ・ロッシのPK、そして82分にはコスタス・マノラスがダメ押し点を決めて、準決勝への切符をつかんだ。一方のバルサは想定外の3−4−3になすすべがなく、準々決勝で姿を消すことになった。

 選手やチーム関係者はもちろんのこと、イタリア系アメリカ人ジェームズ・パロッタ会長の大喜びぶりはすさまじかった。試合後にローマ市内の観光名所、ポポロ広場の噴水に歓喜のダイブ。市から罰金450ユーロ(約6万1000円)の罰金が科せられたが、同会長にとっては痛くもかゆくもない。「こんな形で喜びを爆発させてしまい、反省している。真似しないでほしい。また23万ユーロ(約3100万円)をローマのパンテオン前の噴水修復代として寄付することに決めた」と太っ腹な発言まで飛び出した。

 ローマがベスト4に進出したことで、経済効果は9000万ユーロ(約120億円)以上にもなるといい、モンチSD(スポーツディレクター)は来シーズンのための選手確保の資金ができたとホクホク顔だ。

 次に戦うリヴァプールは、オールド・ファンにとって懐かしいチームだろう。34年前の1984年5月、チャンピオンズリーグの前身であるチャンピオンズカップの決勝で戦い、PK戦の末に敗れたのがリヴァプールだった。ディ・フランチェスコ監督は「これで満足していてはいけない。キエフを目指す」と決勝地まで一気に戦い抜くつもりだ。

文=赤星敬子

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