「チャレンジは意味あった」鍵山優真、ミラノ五輪仕様のジャンプ SP初4回転フリップは転倒で4位
2025年4月18日(金)6時45分 スポーツ報知
男子SPで演技する鍵山優真(カメラ・頓所 美代子)
◆フィギュアスケート 世界国別対抗戦 第1日(17日、東京体育館)
国際大会の今季最終戦が開幕。男子ショートプログラム(SP)が行われ、世界選手権2連覇のイリア・マリニン(20)=米国=が106・08点で首位発進。日本のエース・鍵山優真(21)=オリエンタルバイオ・中京大=は93・73点の4位と大きく出遅れた。鍵山はマリニンと26年ミラノ・コルティナ五輪金メダルを争う新たな武器に、高難度ジャンプの4回転フリップに挑戦。転倒となったが、来季の五輪シーズンに向け、価値あるトライとなった。女子SPの坂本花織(25)=シスメックス=は2位、千葉百音(もね、19)=木下アカデミー=は4位。日本は2位発進。
現実を受け止めるように、演技後の鍵山は表情を変えなかった。五輪シーズンの来季を見据え、初めてSPに取り入れた4回転フリップは転倒。認定も3回転となった。これまでの4回転サルコーから2段階難易度の高いフリップに挑んだ。直前の6分間練習でも好感触はつかめなかったが、トライした。「どんなシーズンでも毎年、新しい挑戦をしないといけない。今日のチャレンジは、意味がある部分もあったと思う」。日本男子のエースとして選択肢は一つだった。
冒頭の4回転—3回転トウループの連続ジャンプでは、出来栄え点(GOE)3・66点の高加点。3位だった世界選手権以降、フリップには不安を抱えていたといい「フリップ以外を頑張ろうと思っていた」と失敗も頭に入れて、果敢に跳んだ。93・73点と大崩れはせず、父の正和コーチからは「よくまとめた」と及第点を与えられた。
王者マリニンに約40点差をつけられた3月の世界選手権。ミラノ五輪で金メダルを争う最大のライバルは、フリーで6種7本の4回転を跳ぶ異次元の構成を完遂させた。鍵山は大会後すぐにカナダに移り、来季に向けた振り付けに着手。マリニンを意識し「近づいていきたい」とフリーで跳んでいたフリップをSPに入れた。従来と比較するとジャンプの基礎点が1・30点アップする構成とした。「ここで挑戦するからこそ、来季につながる部分もある」と前進を選んだ。
ミラノ五輪に向けて、4回転ジャンプはさらに基礎点が高いルッツも練習中。「たくさん入れればいいというわけではない。きれいにGOEを稼ぐことをしっかりとやっていきたい」と自身の持ち味も見失わない。18日のフリーは今季の締めくくりだ。「失うものはない。最初から最後まで、全力で楽しみたい」と、最後は前を向いて切り替えた。(大谷 翔太)
◆世界国別対抗戦 国際スケート連盟(ISU)主催のフィギュアスケート唯一の団体戦で2009年に始まった。世界ランキング上位6か国が参加し、男女シングルは2人、ペアとアイスダンスは1組。各カテゴリーのSP、フリーともに1位を12点とし、順位ごとにポイントを獲得。獲得点の合計でチーム順位を決める。得点はISU公認。日本は12、17年大会で優勝。