佐藤輝明の強打者ぶりを物語る異次元の「.394」 かつて大打者に「何回やっても打てない」と断じられた大砲の“変貌”
2025年4月21日(月)6時0分 ココカラネクスト

2発の確信アーチを放った佐藤輝明。その打棒に聖地・甲子園が揺れた。(C)産経新聞社
虎の大砲が本拠地・甲子園で異彩を放った。
4月20日に甲子園で行われた広島戦で、「4番・三塁」で先発した阪神の佐藤輝明は4打数4安打、2本塁打、6打点と活躍。初回と5回にそれぞれバックスクリーン左へと突き刺さる特大弾を放ち、虎党たちの度肝を抜いた。
【動画】再現性の高いバックスクリーン弾 1試合6打点の佐藤輝明の豪快アーチ
3日前のヤクルト戦から「4番」として再抜擢された26歳は、この試合までの直近5戦3敗と負け越している影響もあって、どこかどんよりとした甲子園の空気を一掃した。
初回、2死二塁から相手先発の森翔平の143キロの直球をバックスクリーン左に運んだ佐藤は、3回2死二塁の局面で迎えた第2打席には、カウント3-0から内角低めに投じられたカットボールを強振。ライナーで弾き返した痛烈な打球は、右翼手のグラブをはじく二塁打となった。
その後も佐藤の勢いはどうにも止まらない。5回の第3打席には、カウント1-0から広島の2番手である鈴木健矢が投じた127キロの直球を粉砕。高々と舞い上がった打球はあっという間にバックスクリーン左へと突き刺さった。
第4打席にも右前打を放ち、4打数4安打の固め打ち。8-1での阪神の勝利に貢献した佐藤は、巨人の岡本和真を抜き、本塁打王争いで単独トップ(7本)に浮上。さらに打点(17)でもセ・リーグトップを快走し、OPSもリーグ2位の.991にまで上げた。
虎の4番の存在感は高まる一方だ。三振数は12球団トップの25と相変わらずの粗さは否めないが、確実性が課題となっていた打率も.273と向上。かつて元ヤンキースの松井秀喜氏から「今の打ち方だったら何回やっても打てない」と断じられたこともあったが、ここにきてどっしりとした理想的な姿を見せつつある。
さらに興味深いのは長所である日本人離れしたパワーに磨きがかかっている点だ。
今季に佐藤が放った18安打のうち11安打が長打(7本塁打)で、長打率から打率を抜き、純粋なパワーを推し量る指標「ISO」は.394を記録。この指標は.200以上で「優秀」とされるだけに、まさに異次元と言える。
虎党たちの期待の大きさゆえに何かと批判の的となるスラッガーだが、今年は充実の日々を送っている。昨季に7号を放ったのは8月3日のDeNA戦なのだが、今季は早々と到達してしまった。その事実だけでも変貌ぶりが伺える。
無論、前後を打っている森下翔太が打率.311と安定しているからこそではあるが、今の佐藤は自身の強みを最大限に生かせている。その活躍は阪神が優勝を争っていく上での肝となるだけに、頼もしいばかりだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]